<マシーナリーメイデン謁見の間>
「機甲将ヴァネッサよ、先の戦闘見せてもらった。余が与えた素体を用いたサイボーグ兵とセーラーウェポンとやらの戦い、余興にしてはなかなか楽しめた」
その声に居並ぶ幹部達は頭をたれ静かに拝聴していた。
「だが、貴様に与えた命令は敵対するサイボーグの捕獲もしくは破壊だったはずだ!」
「申し訳ございません。今一度機会を、さすれば今度こそ」
「いいえ、今度は私にご命じ下さい。陛下」
懇願する機甲将ヴァネッサを他所に一人の女性が進み出た。
「ほう、獣機将アンジェラよ。お前には策があるのか?」
「はい、陛下。やつは飛行型サイボーグ。狭い所に誘い込めば、その力を発揮することはかないますまい。つきましては素体を2体いただけませんでしょうか」
「よかろう。先日捕らえた素体から好きなものを2体持っていくがいい」
「はは、ありがとうございます。それでは早速サイボーグ兵の作成にかかります」
獣機将アンジェラは謁見の間を出て行った。
<獣機将アンジェラの改造処置室>
1人の少女が手術台に拘束されている。そこへアンジェラが近づく。
「起きなさい」
アンジェラはそう一言言うと、少女に電気ショックを加える。
「ギャー!」
悲鳴が上がり、少女は目を覚ます。
「お目覚めのようね。突然だけど、あなたはこれの事が好きかしら?」
少女の前に、一匹の蜘蛛が差し出された。
「くっ蜘蛛、いやー! やめて、それを近づけないで」
少女は異常なまでに怯え、恐れた。
「あら、あなた蜘蛛のことを嫌いなの」
「くっ蜘蛛だけはダメなんです」
「そう、それじゃああなたに素晴らしい身体をあげる。二度とそんなことが言えないように」
その数時間後、アンジェラの処置室からはこの世のものとは思えない悲鳴が聞こえた。
「セーラーウェポンよ、私はマシーナリーメイデン獣機将アンジェラ貴様に挑戦を申し込む。この挑戦を受ければ我々が捕らえている改造素体用の少女を1人解放しよう。安心しろ。そいつには一切手を加えたりしない。受けるなら次の場所に来い」
モニターをOFFにしながら、博士は説明を開始した。
「これは特殊な周波数帯で流されたものだ。まあこちらの技術力があれば受け取れる考えたのだろう。場所は郊外にある例の廃病院だ」
その病院は医療ミス問題の、対応ミスがもとで閉鎖されたかなり大きなものである。
「もちろん君には行ってもらう。罠であるのは確かだが、奴等を壊滅させるためには、この程度で立ち止まるわけにはいかない」
「はい、私もそう思っていました」
こうしてSW1号が挑戦を受けることが決まった。
「ここが約束の場所ね」
「よく来たな、セーラーウェポン。私は第4手術室にいる。ここまで来るんだ。」
SW1号が病院内に入ると、館内放送がかかった。第4手術室は6階建ての病院の3階奥にあった。SW1号は注意深く進み手術室にたどり着いた。
ほとんど明かりもなく見通すことは出来ないが、辛うじて1人の女性と拘束されたセーラー服姿の少女がいることがわかる。
「ようこそ、約束の素体はそこよ」
女性は挑戦状に映っていたアンジェラだった。
「彼女は保護させてもらいます」
「ええ、よくってよ・・・ ただしこの子に勝てたのならね!!」
女性がそう言うと同時に天井から大きな塊が降ってくる。
「くっ」
なんとか横っ飛びでそれを回避したSW1号は自分を押しつぶそうとしたものを見た。それは、巨大な機械仕掛けの蜘蛛だった。しかもただ機械仕掛けなだけではない、蜘蛛の頭部に当たるところにセーラー服姿の少女が生えていたのだ。
「蜘蛛、蜘蛛、私が蜘蛛、えへへ、私が蜘蛛・・・」
しかも、少女は涎をたらしながら、うわ言のようにつぶやいている。
「この子はMB05、私の傑作と言いたいにだけど、この子自分の姿を見たら壊れちゃったのよね。蜘蛛が嫌いみたいだったんで、自分を蜘蛛にしたら好きになるかな〜なんて思ったんだけど、ダメだった見たい。けど、兵器としては1流よ。さあ行きなさい」
アンジェラが命令を下すと、MB05は10本の足をカサカサと音を立てながら迫ってきた。SW1号はレーザーブレードを構えて迎え撃つ。
「いくわよ」
掛け声を上げて飛び掛るが、直角に方向転換したMB05を捕らえることが出来ない。
「速い!!」
その後も連続で切りかかるが、自由自在に前後左右と動き回り壁や天井までも動き回るMB05に全てかわされる。
「予想どおりね、狭い室内ではあなたの飛行能力は意味をなさない。それでは室内を自由に移動できるこの子を捕らえるだけのスピードを出せない。それじゃあこちらの番ね。行きなさい、MB05!」
アンジェラが命じると、それまで動くことがなかった女性の上半身が両手を向ける。
シュルルーーー
手のひらの穴から、大量の糸が飛び出しSW1号に襲い掛かる。
「えっ、きゃー!」
SW1号は回避することも出来ず、あっという間に両手を身体に縛り上げられてしまう。
「次は足よ」
アンジェラの命令でSW1号の足もから娶られてしまう。
「ほほほ、いい様ね。それじゃあお持ち帰りさせてもらいましょうか」
「やめて、放しなさい。この、くっ、なんで切れないの」
「むだよ、これを引きちぎるには人間の25倍の力がいるわ。
今までのデータからあなたの筋力は常人の10倍程度、それでは絶対無理よ」
(このままじゃまずいわ!)
そう思ったときだった。
[非常事態用ブースト始動、緊急離脱]
目の前に躍る文字を認識するやいなや、バックパックのブースターが激しく火を吹きSW1号の身体は窓を突き破り建物の外に飛び出した。
「くそ、逃げられたか!」
アンジェラが窓の外を眺めた時には、SW1号の姿は遥かかなたに飛び去っていた。
「相性が悪い相手もいると考えていたが、ここまでとは」
回収されたSW1号を前に博士は1人つぶやいた。
「やはり2号以下の開発を急がなければ・・・」
その背後にはメタリックグリーンの人の手足が置かれていた・・・
和美が目を覚ますと、そこは自室のベッドの上だった。
手足は肌色になっており、擬人モード中のようだった。
(博士が気を使ってくれたのかな?)
昨日のことが気になったがD1もいないようなので、和美はとりあえず学校に向かった。
「和美ちゃん、どうしたの? このごろほんとに変だよ」
和美が学校に着くなり双葉に抱きつかれた。
「ごめん、双葉。今、私、疲れてるの」
和美は双葉を引き離して席についた。
放課後になり和美が帰ろうとすると、双葉が近づいてきた。
「和美ちゃん、一緒に帰ろう」
「あなた、部活あるんじゃないの?」
「少しぐらいなら大丈夫。だから帰ろ」
双葉は無邪気の顔で言ってきたが、その悩みのない表情に和美は疎外感を感じた。
(自分は決して他人に言えない悩みを抱えているのに、この子は何でこんなにも幸せそうなの?)
「和美ちゃん、なんか悩み事あるの?」
「あなたには関係ないでしょ!」
和美は思わず大きな声を出してしまった。教室中の目が集まる。
和美はいてもたってもいられずになり、教室を飛び出した。双葉はその後姿をさびしそうに眺めていた。
「和美ちゃん・・・」
双葉は1人さびしく帰宅の途についていた。
「和美ちゃん、このごろ変!」
以前なら自分を可愛がってくれたのに、半月ほど前から急に自分を避けるようになった。
「和美ちゃん、何か隠してるみたいだし。私じゃ力になれないかな?」
「僕達に全てを委ねてくれるなら、君は彼女の力になれるよ」
その声が聞こえたのはその時だった・・・
「あれ? 幸恵。双葉、今日休みなの?」
次の日、学校に双葉の姿はなかった。
(まさかマシーナリーメイデンに捕まったのでは?)
和美の心にそんな不安が浮かぶ。だがそれはHRでの担任の一言で解消される。
「斎藤は風邪で欠席だそうだ。親御さんから連絡があった」
その言葉に和美は安心にしたが、同時に
(早く敵を倒さなくちゃ。今は無事かもしれないけれど、いつ双葉や幸恵が奴等の毒牙にかかるかわからないもの)
と、心に誓うのだった。
敵のサイボーグと再戦をしようとしたSW1号だったが、バックパックが無理な緊急ブーストのせいで使用できず、そのためレーザーブレードを発生させることも出来ない。昨日の放課後に博士の研究室に行き修理を頼もうとしたが、最優先で行う作業があるとの事で取り合ってくれない。
放課後になると和美は一目散に博士の研究室に向かった。今日こそバックパックの修理をさせるつもりだった。
前日は入室を拒まれた手術室に来るように言われ、和美は中に入っていった。
「手術なら今朝のうちに終わった。それよりもここに着たら擬人モードを解きたまえ」
言われて、和美は自分がSW1号となってないことに気付いた。
「はい、わかりました」
擬人モードを解き、本来の姿を取り戻したSW1号をみて納得した。
「博士、改造と仰っていたけれど、何を改造していたんですか」
「ああ、今製造していたのはセーラーウェポン2号、君の仲間だ。見たまえ」
そこにいたのはSW1号と違い、メタリックグリーンの手足した少女の後姿だった。しかし、その体つきはとてもではないが中学生とは思えないほど小さい物だった。
「こんな小さい子を酷いです!!」
SW1号はたまらず抗議をした。
「そんな事はない。君と同じ年齢のはずだ」
「この子が私と同い年?」
その言葉を聞いた瞬間、和美としての意識に何か引っかかるものがあった。
(私と同い年でこの体格、そして昨日から居場所がわからない・・・でも、あの子は風邪で家にいるはず。そうよ、こんな所にいるはずがない!)
そう思った瞬間、SW2号の首筋に奇妙な痣を見つける。
(これは、あの子の首にもこんな痣が・・・いいえ、違う。そんなことがあるはずない)
「どうしたのかね、早くこちらに来て見たまえ」
怯えるSW1号の姿を見て博士は不思議そうに言った。
その言葉に従ってSW1号は2号の前に回りこみその顔を覗き込んだ。
そして、研究室内に悲鳴が響き渡った。
「イヤー!! ふっ、双葉! なんであなたが!!」
SW2号は和美の親友、斎藤双葉だったのだ。双葉の幼い身体は四肢をメタリックグリーに作り変えられ、綺麗な黒髪も全てグリーンに変わっていた。
「なんで! なんで双葉なんです!!」
1号は博士に食って掛かった。
襟をつかんで締め上げようとした時
[禁止事項1 製造者に危害を加えてはならない]
との文字が躍り、1号の身体がロックされる。
「怒られても困るな。私は最も優れた素体を探していて、彼女を見つけた。
そして、彼女は私に自分の体を自由にして良いと言って来たのだ」
「そんな事言う筈ないわ」
「それについては本人に訊こう。ほら2号の初起動だ」
博士がそう言うと、それまで身動きしなかった2号の瞳が開く。
「うーん、あれ、ここは何処?」
「目覚めたようだな、2号。状態はどうだ」
「はい、手足、人工臓器ともに良好です。 あっ、あれ? 勝手に口が」
2号は自分が口走ったことに不思議がっている。
「双葉!、双葉!!」
「あっ、和美ちゃんだ! やっほー。あれ体が動かない?」
2号は自分の手足が動かないことに驚いている。
「えっ、何これ、ボディーコントロール OFF? 何なの、いや助けて和美ちゃん」
その姿を見て博士は
「1号2号動いても良いぞ」
と言うと、2人とも自由になり、2号は1号に抱きつく。
「和美ちゃん、こわかったよ〜!」
「それより双葉、あなたその・・・」
「あれ、和美ちゃんすごいかっこうしてるね。服もすごいけど、手とか足まですごいよ」
「これは・・・ それよりあなたも」
「えっ、本当だ。和美ちゃんは銀だけど僕は緑だね。けどこれどうなってるの? 外れないよ」
2号は自分の手足に何か被せてあるかと思ったらしく、必死に外そうとしていた。
「それについては私が説明しましょう」
そういって博士が進み出てきたのだった。
「君はサイボーグとして生まれ変わった。いや、斎藤双葉と言う少女を素材に作り上げられたサイボーグ兵器セーラーウェポン2号、それが君だ。さあ自己紹介をしてみたまえ」
「私は博士に製造されたサイボーグ兵器セーラーウェポン2号です」
「よくできました。わかったかい?君は機械仕掛けのサイボーグ兵器だ。もう人間じゃない」
「僕、サイボーグになったの?」
そう言いながら、こちらを悲しそうに見る2号に、1号はうなずくしかなかった。
「さてそれじゃあ1号の疑問を解くこととしましょう」
博士が手を叩くとD1がやってくる。
「やあ、無事に2号になれたようだね」
「きみは、あのときの・・・」
2号はD1を見て驚いたようだった。
「さて、2号。君は斎藤双葉としてSW2号の素体になることを了承したはずだね」
「そんな事ない! 私知らない!」
「いまさらそんな事言われても困るな。D1。君がした2号の素体との会話を見せてくれ」
「はい、わかりました」
そう言うとD1はいつものように映像を映し出した。
「和美ちゃん、何か隠してるみたいだし。私じゃ力になれないかな?」
「僕達に全てを委ねてくれるなら、君は彼女の力になれるよ」
「本当。私、和美ちゃんの力になれるの」
「ああ、ただしそれには君の体が必要なんだ」
「いいよ、私の体を好きにしていいから、和美ちゃんの力になりたいんだ」
「どうだね? 2号」
「あれ? 僕、言ってる。言ってるよ和美ちゃん」
2号はそう言うと、1号の胸で泣き始めた。1号はそんな2号を抱きしめながら何もいえないでいた。
15分ほど泣きつづけた2号が泣き止み落ち着いたのを確認すると博士が切り出した。
「2号、君は自分がおかれている状況が理解できているか?」
「はい、僕は博士に改造されてサイボーグ兵器のSW2号になりました」
2号はボソボソと小さな声で答えた。
「それだけでは不十分だ、今から必要事項を説明しよう」
博士はそう言うと、敵や自分達の目的、サイボーグ兵器としての基本スペックなどの説明をしたが、2号の能力は1号と少々異なっていた。
「2号はスピードタイプのサイボーグとして開発した。そのため小柄で運動能力に優れた双葉君を君の素体としたのだ。1号に比べて、脚力を大幅にアップしており、心肺機能も改造により小型化、高性能化してある。また、武装も2号は放電装置を装備しており、体内の心肺機関を置き換えることでできたスペースの充電装置から10万ボルトまで放電が可能だ」
全ての説明が終わると博士は2号の姿を見て、
「このまま格好でいるわけにいかないな。君にもSWとしてのユニフォームを着てもらう」
そう言うと、コンソールを叩いてセーラー服を取り出しました。
「さあ、着たまえ。1号手伝ってやれ」
そう言われ2号に着せると、それは1号のものと同じデザインだがスカートとマントは2号の四肢と同じグリーンに染められていた。
「えへへ、お揃いだね。ほら、服だけじゃなく手足まで一緒だよ」
そう言いながら2号は壊れそうな笑顔で1号に笑いかけた。
「大丈夫、双葉、大丈夫よ。私が一緒にいるから。ずっと一緒にいるから」
今の1号にはそう言って抱きしめることしか、2号と化した双葉にできることは無かった。
「さて、早速だが例の蜘蛛型サイボーグを倒さねばならない。やつは、いまだ例の廃病院に潜んでいるようだ。そこで1号2号、2人で行ってやつを破壊してもらいたい。1号のバックパックは修理が完了している。受け取りたまえ」
「そんな、双葉も戦わすんですか」
1号が反対の意思を示すが2号が腕をつかみ静止した。
「大丈夫、僕もやれるから。それにこれからはセーラーウェポン2号って呼んで。僕はもう斎藤双葉じゃないんだから」
「その通りだ。ただし、2号もちゃんと1号と呼ぶように」
「はい、わかりました。博士」
2体のセーラーウェポンは廃病院に来ていた。
館内に入ると前回同様、館内放送が入る。
「あら、今回は2体セットなの。いいわまとめて捕まえてあげる」
言うだけ言って放送は切れた。
「いい2号。戦闘なれしていないあなたはできる限り後ろにいるのよ」
「うん、わかったよ。かず・・・ あっ、そう呼んじゃいけないんだね。わかったよ1号」
あの双葉までが自分を1号と呼ぶ、その事実が和美としての心を傷つけていった。
前回と同じ第4手術室、その入り口まで2体は来ていた。
「いい? いくわよ」
「はい」
そう言い合い、扉を開ける。
そこには、前回と同じ蜘蛛型サイボーグBM05と人質の少女がいた。しかし前回はいた獣機将アンジェラの姿は無かった。
「いきなさい、BM05」
館内放送からアンジェラの声が響くとBM05は猛然と襲い掛かってきた。
「くっ」
1号は迎え撃つが、BM05のすばやい動きに追いつかない。それどころか見る見るうちに部屋の隅に追い詰められてしまう。
(このままじゃ和美ちゃんがやられちゃう)
そう思ったときには2号は飛び出していた。
「「「えっ」」」
そのあまりのスピードに飛び出した本人すら驚きの声をあげていた。そのまま身体ごとぶつかる2号。対応できずにもろに食らってしまったBM05は大きく吹っ飛ぶ。
「やった。僕やれたよ。和美ちゃん」
そう言って1号に近づく2号にBM05から糸が飛ぶ。
「あっ、くっくそー。放せー」
油断していた2号はあっけなく捕まってしまう。
「ふっふっふ。先ほどのスピードには驚いたけれど、捕まえてしまえばこちらのものよ。やりなさい、BM05」
アンジェラの声に反応してBM05は2号を壁に叩きつける。
「双葉ちゃん!」
思わず叫ぶ、1号を尻目に再び2号を投げつけようとした時、
「僕だって戦えるんだー」
その叫び声とともに2号から高圧電流がほとばしる。
それは糸を伝って、BM05を襲った。
バリバリ
体中から煙を上げるBM05を見た1号は思った。
(いまなら私でも奴を斬れる)
次の瞬間、1号は叫び声を飛び出していた。
「食らえーー!!!」
その一撃はBM05の身体を真っ二つに切り裂いた。
「どうやらあなたたちの勝ちのようね。しかたないわね、商品は差し上げるわ。ご自由にお持ち帰りください」
館内放送からは悔しそうなアンジェラの声がする。
部屋の隅には人質にされていた少女が拘束され猿轡を噛まされていた。
「大丈夫ですか?」
1号が猿轡を外すと、少女があせりながら、
「逃げてください。私は爆発します」
と言った。
「私の身体はもうただの爆弾です。いま信管が起動しました。このままではこの建物ごと吹き飛びます」
「あらあら、だめじゃない。罠が、自分は罠だ。なんて言っちゃ。なあに、怒っているの? でも2対1じゃ不公平でしょ。だから2対2になるようにしたの」
怒りの表情をする1号にからかうようなアンジェラの声が響く。
「どうせ私の身体は動かすことも出来ない爆弾なんです。生き延びても余命は3日ほどだそうです」
「でも・・・」
「いいんです。私も妹もこんな身体にされた時点で死んだんです」
少女はそう言ってBM05の方に目を向ける。
「それじゃあ、あの子は・・・」
「はい、私の妹です。でもいいんですあんな機械仕掛けの化け物の一部として生きる続けるくらいなら・・・。だから速く逃げてください。そして私たちみたいな不幸な人を減らしてください」
「くっ、わかりました。いくわよ」
1号は2号の手を取り、部屋を飛び出し空に飛び上がった。
そのとき、大きな音と強い光があたりを支配し、廃病院は一瞬のうちに吹き飛んだ。
その光景を上空から眺めながら2号はつぶやいた。
「和美ちゃん、あの人泣いてたね」
「ええ、そうね」
「私たち、勝ったのだよね。和美ちゃん」
「ええ、勝ったのよ」
「あっ、そうだ。和美ちゃんって呼んじゃいけないんだ。1号って呼ばなきゃ」
「いいの、私もあなたを双葉って呼ぶから」
しばらくの間、無言で過ごす二人だが、急に2号は泣きながら1号を強く抱きしめた。
「怖かった。怖かったよ!。和美ちゃん」
「大丈夫。大丈夫よ。双葉、私があなたを守るわ。だから安心して」
「うわーん、和美ちゃーん」
2人はそのまましばらくの間、そこで燃え上がる病院の火を眺めていた

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