−−(4)静止軌道工場衛星−−
通信員:「ベイより発光信号、外扉解放よし、進入許可出ました」
艦長:「操舵を指導員に交代、重力区画ドラム停止、総員重力変化に注意、進入せよ」
操舵員:「ヘッドフィギュアリモートボディリンク渡します。身体感覚復帰プロトコル開始、ふう、指導員さま、おいしいとこドゾー」
指導操舵員:「リモートボディリンク継承、前進秒速5m、ベイ中心軸捕捉よし、角加速始め、ゲート通過、前進秒速1mに減速、相対角運動量低下、ベイ中心軸に対し0.1度毎秒、前進終了、降下速度0.5m/s、ヴァギナルハッチ開口、ロックポール亀頭接触、ひっ、着底まで1m、うっ、着底感知、ロックポール結合、あふっ、ロック確認、ベイ外扉閉塞確認、ベイ気圧上昇中、毎秒0.01気圧、姿勢制御エンジンコック閉鎖、ベイ内0.05気圧なお上昇中、ヘッドフィギュア口腔ロック解放、ベイ内気圧0.2気圧、安定しました、ヘッドフィギュアハッチ開口、舌出します、ヘッドフィギュアリモートボディリンク切断、入港作業終了しました」
艦長:「総員、所属小隊長に従い退艦、地上降下スケジューラーの指揮に従え。これで部隊編成を解く。みなさんご苦労様でした。また、次の任務で会えることを楽しみに思います。ごきげんよう。奈々侯、幹部小隊の点呼をお願いね。私は私物をとってきて舌に直行しますから」
奈々中佐(副長、緑の公家)「殿下、全員イントラで所在確認しました。舌に向かわせます。では後ほど舌で」
リエ:「いつもながら、このヘッドフィギュアが白目剥いてあかんべした停泊姿は間抜けねえ」
マサ:「ヘッドフィギュアって初代皇帝陛下なんでしょ。不敬罪にならないのかしら」
真理亜:「初代陛下の素体番号は0000001、即ち全身サイボーグの初号機であらせられる。また、リモートボディリンクによる高機動艦体制御の発案者でもあらせられ、大型艦にはその功績を称えたフィギュアが搭載される。お茶目な方で、舌を搬入路とすることも自らお命じになったのだから、不敬にはなりません。サイボーグなら、これくらいは生体脳にも覚えておきなさい。軍曹!。点呼よ!」
タラ軍曹:「第29採鉱小隊整列!。公用CPUID−素体番号対応確認申告。...点呼よし。真理亜侯、退艦確認終了です」
真理亜:「命令、わが小隊の降下は、6時間5分後、出荷カプセル407号への便乗となった。集合は5時間30分後に梱包場である。持ち物は梱包場に各自預けること。厚生エリアの利用許可が出ているので、それまで自由休息とします」
冬子:「真理亜侯、義肢製作所の同期を訪問したいのですが許可取れますか?」
真理亜:「待って、確認するわ...うん、下肢課の方ね、OK。立ち入り許可出たわよ。ライン監視室を直接訪ねなさい」
マサ:「あのぉー。H型燃料電池の組み込みを見学したいので一緒に行っていいですかぁ」
真理亜:「あら、藻前が見学したいなんてどういう風の吹き回し?。ネットカフェでメンテオプションの予約でもするのかと思ってたけど。まあいいわよ。マンドクサイので今のアポ登録”29採掘小隊一行”で入れたから」
マサ:「予約の方は先月版のスタイルシート見て航行中に圧縮メールとばしましたので。少しは仰せのように体内CPUも鍛えようかと。えへっ」
リエ:「なんか怪しげー。ところで、真理亜様も出荷便で降りられるのですか、普通、貴族方は乗用機を使われるのでは?」
真理亜:「殿下が4,5日滞在されるので乗用機はしばらく出ないのよ。工場幹部との意見交換やら工場指令主催のパーティがあってね」
タラ:「宇宙でパーティでありますか。耐放射シールドケースで消化ユニットを上げたのですか。さすがですなぁ」
真理亜:「まさかぁ、VRよ、どうせ。私たちだって消化ユニットが貴重なのはシビリアン兵と一緒なんだから、そんなリスク冒さないわよ。直結で酒だけっていっても、そのためだけに腹から下全部組み替えて、すぐまた戻してじゃ大変杉。私たちは合体超合金ロボじゃないのよ」
マサ:「殿下がVR乱交ですかぁ。艦内レクには一度もお出ましにならなかったじゃないですか」
真理亜:「作戦中は操を立てておられたのよ。工場指令の華子殿下がパートナーなんだから、ここではお淫りになる方が当然だわ」
マサ:「へ−へ−へ−、へ−ボタン。殿下は既婚かぁ。でも、ザンネン」
真理亜:「この尻軽娘、私の愛が欲しいとやらはもういいのかしら」
マサ:「あ、軽いのは軽いですが、本命はやはり真理亜様でありまして」
真理亜:「バカの6乗!。冬子!、頭痛くなるからこんな香具師早く見学先に連れて逝きなさい」
冬子:「おじゃましまーす。おひさしぶり−」
マサ:「初めまして、どもー」
ひとみ:「ようこそ。冬子は調子どうだった?。こっちはちょっとねえ...」
冬子:「私は艦でも何とか使いモノになっていけそう。ひとみ、足どうしたの?」
ひとみ:「あんまりよく転ぶので調べて貰ったら、増設身体制御CPUのレジストリが膨張しすぎていてね。私、脳性麻痺だから制御が重くて、手足同時に動かすと不安定化して。で、腕が動かないと仕事出来ないでしょ。仕方ないので足を外してドライバも削除してレジストリ圧縮したの、応急に輸送ホバー貸して貰って、電源もここから取ってるの。そんなわけで足無しの浮遊ユーレイ状態なんだ。足を作る仕事やってるのに皮肉ねえ」
冬子:「直るの?」
ひとみ:「軍研究所の調査によるとマックロソフト系のOSじゃ処置無しなんで、アイ・タロン系で新たに起こすことになったの。特異な症例ってことで、悲田院に補助申請してくれて幸い通ったので自己負担なしだから、気楽に待つだけね。これじゃ、地上に降りても困るから休暇の先送りも頼んじゃった。いくら1級手帳持ちでも今更車椅子なんかゴメンだもんね。そりゃそうと、新型の足、見にきたんでしょ?。自信作なのよ」
マサ:「今度のってH型燃料電池が搭載されるんですよね」
ひとみ:「マサさん詳しいみたいね。今まで地上生活用の足って、膝のすぐ上から18cmの範囲にかけて皮下に換気プレートがあったでしょ。非サイボーグの股関節離断者が使うときに断端が蒸れないような設計だったの。ところが、サイボーグ用A型燃料電池ってボディに給電するから股関節離断者用N型の2倍も水蒸気が出るのね。それで、水滴が垂れるってクレームが多くてね。換気のためミニスカしか穿けないからお漏らしに見えて困るって。極めつけの香具師は、お気に入りの本皮サイハイブーツがカビカビになったの弁償しろだって。こんどは、薄型の換気プレートが開発されてアルコールタンクを包む配置で太股全体から換気するから、こういうバカやる香具師にも困らないわ。H型だとセル毎に配管が分かれてるから低出力時は使うセルを選べば膝付近が蒸れるのも避けられるしね。あと、もう一つ利点があってね。今までの製品は海外の男性股関節離断者から服に困るってクレームがあったの。たぶんN型の換気量なら、生地を選べばズボンも大丈夫だから輸出を増やせるわ。そうそう、輸出って言えば最近海外でメタロリっていうサイバーパンクとゴスロリが合わさったファッションが流行ってね。それで、腕機能併合型の販売が急増しているの。もともと癌なんかで肩胛骨削っちゃった人のQOL用だから生産少ないのに。断端の神経トランスミッタ手術が海外技術移転禁止だから経済特区の病院までやりに来るでしょ。特区の医療は何でもありなんで、両手足だと儲かるからどんどん引き受けていて、おかげでこっちまで忙しくなっちゃった」
マサ:「...(私ってバカ?)」
冬子:「あははは、マニュアル見ない娘っているものねえ。ストッキングは専用品か網タイツ以外ダメって書いてあるのに。大体さあ、本国は熱帯だよ。私はわけありで、ファッションに金かけないから詳しくないけどブーツにこだわるかなあ」
マサ:「ちゃんと網タイツだったのよぉ。靴の制限なんか書いてなかったもん。サイボーグは暑さなんて関係ないし」
ひとみ:「えええっ、あれ貴方だったの。ゴメン。前言撤回。私だって、かわいい靴にこだわる気持ちはよくわかるわ。足が不自由だとなおさらね。でも、今度は燃料電池セル選んで使ってね。下から2セル停めれば膝上12cmまで蒸れなくなるから。私も直ったらロングブーツ買おうかな。いつか、みんなでピンヒール登山マラソンに出てみない?」

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