−−(15)凱旋−−

(妨害作戦の翌日、”みくら”艦長室)

体内目覚まし:「起`、起`、起`...」

朝子10世:「うう、あら、もうこんな時間なの、よく寝たな。昨日は疲れたから。
2個目の圧縮パケットすぐ開けなきゃ、なになに、...これは大変だ、すぐ全員を集めないと」


(兵員室)

艦内放送:「当直を除く全乗組員は会議室に集合せよ」

ミキ:「何でしょうね?。昨日の件、壊し方が足りなかったのかな」

マサ:「まさか、奴らのエンジン治っちゃったとか。1晩全速で離れたからいまさら戻るなんて大変じゃない。やっぱり、侵入してアイビームぶち込んどきゃ良かったかなあ」

リホ:「命令通り当てたんだから、それは無いわよねえ。直接殺さずに済んでほっとしたところなのに」

タラ:「そもそも緊急なことなら、わざわざ集めずに放送で伝達してくるでしょう」


(会議室)

奈々:「全員揃いました」

朝子10世:「勅命を伝えます。
昨日の北米連火星探査船に対する妨害作戦が最善の結果となったことに感謝する。このたびの作戦成功の功績に対し”みくら”の全乗組員を1階級臨時昇進させる。また、実行部隊の採鉱小隊はさらに1階級の特別昇進を加え併せて2階級特進とする。なお、本件は国家機密であり、公式記録における昇進理由は未探検空域の探査成功とする」

真理亜:「殿下、質問があります。昇進はありがたいのですが、昇進後の階級に必要な訓練プログラムを修了していないものの扱いはどうなりますか?」

朝子10世:「3年間の猶予が与えられます。その間に修了しないときは資格を満たす階級まで自動的に降等されます」

真理亜:「なるほど。とゆうことで、マサ、マオ、ミキは頑張りなさい」

マサ:「はひ。うーー給料増えるのは良いが、宿題多いなあ」

マオ:「休暇中は家庭教師頼むかな。ダウンロードしても理解は別だし」

ミキ:「そおねえ。一緒にやらない?」

朝子10世:「それから、ヘッドフィギュアに将冠を取り付けよとの勅令が出ています。半分私事で帰還が遅れて申し訳ないのだけど、加速を中止して作業を行います」

奈々:「将冠ですか。確かに少将座乗艦になったのだから規則通りなら付けることになりますね。しかしモノが有りませんけど、作るのですか?。トロヤでは金の収集量がいまいちでしたし、分離に4日ぐらいかかりますよ」

朝子10世:「艦首部品倉庫に中身の判らない未開梱の特殊部品があったでしょ。あれよ」

奈々:「ああ、アレでしたか。陛下もこだわる方ですね。じゃ、やりますか。作業の人選と指揮は任せて頂けますか」

朝子10世:「初めてなんで自分でやりたいの、手伝いは採鉱小隊に頼むから、奈々侯は艦橋お願いね。貴女も今日から大佐だから次の任務ではたぶん艦長でしょ。そのつもりでやってみてね」

真理亜:「私たちにやらせて貰えるんですか。じゃ、早速かかりましょう」


(ヘッドフィギュア口腔エアロック)

マオ:「わあ、綺麗ですね。純金製かしら」

ミキ:「流石にこの巨大さでそれはないでしょ。確か金銅製じゃなかたっけ」

真理亜:「みんな生命維持二次に切り替えた?。足のエラー無い?。浮かれて事故起こしちゃダメ」

朝子10世:「私が先頭のロープ引っ張ってくから、みんなは方向合わせて引いてね。操舵員、口開けて舌出して!」

タラ:「舌止まりましたね」

朝子10世:「じゃ、真上に15m引くからね。せーの」


(ヘッドフィギュアの上)

リホ:「ここに登るのって初めてだわね」

リエ:「そりゃ、命令無しにこんなとこ乗ったら不敬罪でしょ。初代皇帝像なんだから」

朝子10世:「シニオンを囲うように置くのよ。ゆっくり降ろして、当たったらロックピン挿入穴をシニオンの穴に合わせるの」

マサ:「こうですか。しかし不思議だなあ」

朝子10世:「位置決めはいいわよ。ところで何が不思議なの?」

マサ:「宙軍では、こういうシニオンみたいな纏め髪のスタイルって禁止されてますよね。実際、皇族方でもやってる方って居ないじゃないですか。でも、初代皇帝像ってみんなこのスタイルですよね。なんでかなあって?」

リエ:「初代様を敬って遠慮しなさいってんで禁止してるんじゃないの?」

朝子10世:「はは、そんな事じゃないのよ。正確には禁止じゃないわ」

マオ:「え?。やっていいんですか。てっきりダメなものと諦めてたんですが」

朝子10世:「但し、条件付きなのよ」

ミキ:「条件ですか。身分とか、職種とかですか?」

朝子10世:「そんな形式的な問題じゃなくて、技術的制限なのよ。シニオンだけじゃなくて、ショートカットも規制されてるでしょ?。要するに、髪が背にかからないのは、リエみたいな無植毛の娘と同じ事になるの。通常だと宇宙に出るときは必ず耐放射仕様の髪をセミロング以上の長さで装備するでしょ。これが造血装置背面の放射線防護になっているので、纏めちゃいけないって訳なの。だから、胸部外装を耐放射強化にすれば制限されないわ」

マサ:「へええ、知らなかったわ」

朝子10世:「オプションパーツ一覧表でも、無毛髪の場合以外は明確に書いてないからね。実は、この規制が出来たのは初代様の崩御が原因だったのよ。初代様は、大変なバレエマニアで、宇宙に出るときも衣装や髪型をそういうスタイルにされていたのね。ところが、3回目に探検隊を直卒して小惑星帯に赴かれたときに急性白血病でお隠れになったの。その後、原因調査の結果一次生命維持装置の耐放射性が原液タンクの陰になる前面に比べ、背面では不足していることが判って」

マオ:「そうだったんですか。だったら、次に宇宙に出るときはバレリーナらしくやってみようかな」

朝子10世:「そうねえ、みんなが正しく規制の由来を知って行動してくれたほうが初代様も喜ばれる鴨ね。さあ、ロックピン入れるわよ。マオとミキこっちの両脇やって。真理亜、そっち側指示して」

真理亜:「入りました」

朝子10世:「さあ、帰りましょうか。将冠憑きで工場衛星に入港できるなんて夢みたいね」


(4ヶ月後、静止軌道工場衛星、ベイ)

管制員:「”みくら”係留作業終了。気圧0.2で安定。退避命令解除」

華子大佐(皇族・工場司令) 「出迎え班は乗降橋に整列して!」

朝子10世:「驚いたわ。司令自らお出迎えなんて、工場の仕事は大丈夫なの?」

華子:「15年ぶりの提督座乗艦入港ですから。今日は知り合いが乗っている者は全員臨時休業よ。
”未探検空域探査作戦成功”おめでとう。」

朝子10世:「ありがと。そういえば東宮様が宇宙に出なくなってからもうそんなに経ったのね」

華子:「貴女はどうするの?。ここ3年連続皇帝票でしょ」

朝子10世:「私はまだ行きたいところがいっぱいあるし、陛下や東宮様は冥王星の件やって良いと仰せなので、毎回こんな出迎えじゃ大変よ」

華子:「冥王星かあ。貴女の狙いもわかるけど”みくら”の性能で片道5年でしょ。北米連の事や乗組員の限界から言うと難しいのでは?」

朝子10世:「貴女には苦労かけることになるけど、方法は考えてあるの。造って欲しい物があるので宜しくね」

華子:「貴女のためなら、もちろん出来る限りの事はするわ。とりあえず、今日は乗組員達を早く休養させてあげたら」

朝子10世:「あらいけない、つい立ち話が長くなっちゃって、おほん、ええ、みなさんご苦労様でした、スケジュールに従って地球に降りて。じゃ、解散」


(降下待機中)

マサ:「ねえ、真理亜様。東宮様って殿下の母上ですよね。ずいぶん他人行儀な呼び方されるんですね。」

真理亜:「皇族や貴族は、各公家がそれぞれ一つの大家族という感覚なのよ。みんな生殖バンクで生まれてるということもあって、シビリアンとは親子観がかなり違う鴨ね」

マサ:「生殖バンクってどんなところなんですか?。自分の組織が保存されてると言っても、シビリアン兵の立ち入りは禁止だから想像つかなくて」

真理亜:「子宮を使うために、改造手術で用済みになった女性の胴体が維持装置に繋がれて並んでいるそうよ。幸い、私も入ったことはないけど気味のいいものじゃないわね。首が無くても黒子とかの特徴から自分の元の体が判ってしまうかもしれないでしょ。それが誰かの胎児を妊娠しているところなんて見たくは無いわ。貴族の子宮は公家毎に使われるそうだから赤の他人の子では無いとしても、現時点で自分の子じゃないのは確かだし」

マサ:「ガクガクブルブル。きもいですね」

真理亜:「藻前なら胴体が使われてないからまだ気楽なのに。まあ、そんなところだから貴族の中でも専門家しか関わっていないのよ。ところで、前回の任務中、藻前には一代貴族の道は遠いと言ったけど、今度の特進で軍曹だからかなり縮まったね。本気で目指してみる?」

マサ:「真理亜様の愛が獲得できるなら是非」

真理亜:「ウチの小隊は、これでヒラの兵士が居なくなったから次は大幅任務替えなのよ。藻前がその気なら良い案があるのだけど」

マサ:「どんな任務です?」

真理亜:「決まったわけでもないし、今言うと休暇中ずっと気が重くなりそうだから、明けにしておくわ」

マサ:「はあ。ま、チャンスなら少々の苦労はいいです」


(地上基地、着陸場)

エリ:「今回は2人多かったのに誰もダッチに当たらなくて良かったわね」

リホ:「”未探検空域探査”の凱旋で特別扱いだったんでしょ。次回は判らないわよ」

マオ:「あーっ。パパだー。フェンスの向こう!」

ミキ:「きっと、純金外装を持ってきてくれたのよ」

エリ:「えっ?。素体でもないシビリアンが基地に立ち入って良いの?」

真理亜:「アイスワールドが皇族と貴族の素体訓練に協力しているから特別に許可取れたのね」

マサ:「え?。じゃ真理亜様もアイススケートやるんですか?。いいなあ」

真理亜:「ちょっとだけよ。イナバウアーなんてとても無理だったわね。でも、サイボーグなら楽勝よ。藻前もやってみれば?」

マオ:「パパー。ただいまー。私ねえ、いきなり伍長になっちゃったの」

マオパパ:「マオか!、見違えたな。そっちはミキちゃんか?」

マオ:「そりゃ見違えるわよ。体を全取っかえしたんだから。ところで純金外装は?」

マオパパ:「持ってきてメンテナンスセンターに預けてあるよ。ミキちゃんの分もな」

案内の警備兵:「社長、それ以上近づいちゃダメですよ。宇宙から降りたばかりのサイボーグは足から放射線出てますから」

マオパパ:「あ、つい。済みません。じゃ、マオ、出口で待ってるからな」



(最後まで富豪新兵に振り回されつつも、みんな無事に帰ってきました)


動画 アダルト動画 ライブチャット