−−(16)アイスショー−−


(メンテナンスセンター出口ロビー)

マオパパ:「真理亜侯様、先輩方、いつも娘がお世話になっとります」

真理亜:「どういたしまして。マオもミキも宇宙遊泳の勘が初めから身に付いていて即戦力でしたわ。優れた素体を供出していただいた社長には感謝しないと」

マオパパ:「そうですか。お役に立ててなによりです」

真理亜:「社長の愛国心は皇族方も認めるところですわ。私は公家に報告がありますので、お先に失礼。でわまた」

エリ:「マオって一人娘なんですってね。会えなくて寂しかったでしょう?」

マオパパ:「そのつもりで育ててきましたから、15歳までに私に出来ることは全てやったつもりでした。その甲斐あって、素体訓練中はよく科目早期終了休暇を頂けたのですが、改造からそのまま任務に入って3年半はやっぱり長いですね」

マサ:「そういえば、マオとミキの換装は手間取ってるねえ」

リエ:「外装を持ち込み品で全取っかえでしょ。整備兵も大変だわ。ま、私の前回の比ではないだろうけど」

リホ:「出てきたようね。うわー、ホントに全身金ぴか。すごいわねえ。だけど、あれって全裸なんじゃないの?」

マオパパ:「股間と乳首は同素材のカバーを付けたので道徳的な問題はないと思いますよ」

リエ:「同意、同意!。社長さん気が合いそうね」

マオパパ:「リエ軍曹様にそう言っていただけるとは光栄です。是非、今度うちに遊びに来て下さいませ」

マサ:「リエいいなあ」

マオパパ:「いえ、小隊のみなさまも是非。スケートリンクもどうぞ。マオたちのために思い切り硬く氷を張るので、せっかくですから」

マサ:「それはどうも。いっぺんやってみたかったので。やっぱりサイボーグが使うには氷も硬くしないといけないんですね」

マオパパ:「みなさんなら普通の氷でも大丈夫かも知れません。純金外装だと体重が90`越えますから、8回転ジャンプをやったら割れてしまいます」

マサ:「なるほど。ところで、マオたちの足、スケート履けるんですか?」

マオパパ:「ええ。重量に耐えられる靴はいいのが無いんで足自体をピンヒール型にしたのですが、滑り止めのゴムを引き抜くとブレードが付けられます」

マオ:「それ、さっきから気になってたの。さすがパパだわ。それで、みなさんのご都合はいつが良いのでしょうか」

リエ:「私はあさってからヒマよ」

マサ:「今回は本業の実入りが良かったから、私は遊び優先!」

マオパパ:「あさってなら氷も仕上がってるので良いですよ。他の方も良いですか?。じゃ、お待ちしてます」


(2日後、地底アイスワールド内スケート場メインリンク)

マオ:「だいぶ調子出てきたわ。いよいよ行ってみるか、えーい8回転ジャーーーンプ!」

ミキ:「やったね。着地も決まったがや。よし、私も、そーれ、8回転ジャーーンプ!。うっ、ちょい着地姿勢いがんだか。惜しい」

マサ:「やるわね。よーし、先輩の意地よ。ジャーーンプ、決まっ...あ−っ。痛った−−い。うう、股裂きじゃ」

リエ:「いくらサイボーグでも、スケート初めてで、そりゃ無茶よ」

マサ:「おっかしーな。昨日、プロのアイスショーのビデオをダウンロードして動体解析したデータを身体制御CPUに仕込んだのだが。バグったかしら」

リホ:「なるほど。今のジャンプはともかく、いきなりプロみたいな滑りかたしてたのは、そういうことか」

エリ:「だけど、ジャンプの高さだけはマオたちのように出来ないようね。やっぱり、子供の時からの経験ってサイボーグになっても大事なのね」

マサ:「他の技は完璧なんだが、踏み切りの時力がどこかに逃げちゃう感じなんだよねー。経験の問題とも思えないわ」

マオ:「先輩たちの足って、下腿骨に衝撃吸収サスが入ってるじゃないですか。ジャンプの時の力だとアブソーバーが縮みますよ」

マサ:「えっ?。マオのだって機構は同じでしょ?」

ミキ:「私たちは、下腿の外皮が剛体なのでアブソーバ殺してノーサス状態にしてるんです。その差ではないですか?」

リエ:「その体重でノーサスにしたら、着地の衝撃で膝や足首の機構が壊れるんじゃ?」

ミキ:「8時間ぐらいは持ちますよ。寒さが気にならない体になったので、うっかりやり過ぎると2日でガタが来ますけど」

リホ:「2日って、後どうするの?。しょっちゅう修理じゃ大変じゃないの」

マオ:「お父様が家とリンクを結ぶ通路の脇に整備工場を造ってくれてますから。予備の足も買ってありますし」

エリ:「そこまでするかねえ。呆れたわ」


(子供用リンク)

冬子:「はい、右、左、揃えて、軽く傾けて。あーああ、転んじゃった。傾け過ぎよ」

みどり:「痛ったあい。お母さんはいいなあ。初めてなのに楽勝で滑れて」

冬子:「サイボーグとしては決して楽勝な方じゃないのよ。身体制御CPUに余裕ないから普通の初心者の滑り方しか入らなくてね」

春男:「やっぱり、小隊の他の人と比べるとかっこ悪いよなあ」

冬子:「おまけサイボーグなんだからしょうがないわよ。お前たちとこんな事が出来るだけで夢みたいだわ」

マオパパ:「そう言っていただけると光栄ですね、冬子伍長様」

冬子:「あ、社長さん。お言葉に甘えて子供まで連れてきてしまって。ありがとうございます」

マオパパ:「いやあ、お子さん連れの宇宙兵様にお会いしたのは初めてでして。いいですね。こうしているとマオがスケートを始めた頃を思い出します」

みどり:「社長さん、私もマオさんみたいに成れるのかな?」

春男:「マオさんとミキさんかっこいいです。僕もああいう風になりたいなあ」

マオパパ:「がんばればチャンスは十分あるよ。マオたちの実績からスケートが素体適性に良い効果をもたらすと証明できたし。ところで、いま思いついたんですが、子供向けの初心者スケート教室を開いて、冬子様にコーチをお願いしたいのですが、どうでしょう」

冬子:「え、私がですか?。マオさんが居るのに」

マオパパ:「あいつにはアイスショーをやらせたいし、子供向けとなるとスケートが巧ければいいという訳じゃないですから」

みどり:「お母さんやってみようよ。そうすれば私たちも関係者パス貰えそうだし」

春男:「そうだよ。僕はもう半年しか無いけど卒業寸前まで適性評価されるらしいから目一杯やれば間に合うかも知れないし」

マオパパ:「うんうん。君たちも素体適性上げたかったら、お母さんその気にさせてよ」


(マオの実家)

マオパパ:「それではトロヤ帰還宇宙兵のみなさんの成果を祝して、乾杯」

マサ:「この大理石の床きれいで良いですね」

マオ:「前に帰った時はフローリングだったのだけど、私が気にせず歩けるようにって」

マオパパ:「私は宇宙で働けないのだから、出来る事と言えばこの程度ですから」

マオ:「せめて休暇中はアイスショーでがんばって元を取らせるからね」

ミキ:「社長さん、そのアイスショーのことですけど、あの固い氷だと私たちは滑りやすいけど脇役の娘が足痛めますよね」

マオパパ:「そうなんだ。実はそのことで下心があって皆さんをお誘いしたのですよ。つまり、その役をお願いできないかと」

リエ:「なるほど、私らならマサがやったみたいに身体制御CPUにプロの動きを入れてしまえば脇役ならすぐ出来ますね」

マサ:「私は賛成。ひらひらの衣装付けて出たい!。ねえ、リホとエリもやろうよ」

マオパパ:「ご理解いただけて幸いです。実は、ありがたいことに真理亜侯様が出て下さるのです。他にも工場でアルバイトしている宙軍整備兵様も3人出ていただけるのです」

マサ:「真理亜様が!。だったら尚更だわ。じゃあ、決まったね」

リエ:「楽しそうだけど、私は常にこの体を人目にさらすのがポリシーなんで、構いませんか?」

マオパパ:「リエ様のダイヤ頭皮はきらきらして氷に映えますし、元々そのままでお願いしたかったのです」

マオ:「とゆうことで、先輩方宜しくお願いします。公演が当たったら分け前の方はきちんとしますので」


(ショウ当日、地底アイスワールド内メインリンク)

ナレーター:「いよいよクライマックスです。正義のアイスボーグ、ゴールデンシスターズは果たしてハカイダー2世一派の手からマリア姫を救出できるのでしょうか?」

マサ:「それっ、取り囲め!(こういうのって悪役の方が楽しいのよね)」

リホ:「ヒーッ(何で私が雑魚戦闘員なんか...ま、いっか、所詮副業だし)」

エリ:「ヒーッ(マサめ、悪のりし過ぎるなよ。勝っちゃたらショーがめちゃくちゃになるんだから)」

マオ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!」

リホ:「ヒーッ(雪玉とはいえ結構痛いな。さっさと逃げちゃおう)」

ミキ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!」

エリ:「ヒーッ(リホ逃げるの速すぎだよ、もうちょっと見せなきゃ...)」

マサ:「うぬぬぬ、よくも。ハカイダー2世様お助けを(リエがボスキャラってのがちと悔しいが、社長とすっかりお友達だしなあ)」

リエ:「ぐえっへっへっへ。マリア姫は渡さんぞ」

マオ:「8回転ジャーンプ!。旋風雪玉アターック!」

リエ:「儂のダイヤモンド外皮にそんな攻撃は通じないぞ。さあ、我が催眠LEDで眠ってしまえ、チカチカチカ、チカチカチカ」

ミキ:「うっ。ね、眠い(本物の催眠ランプじゃ?。ちょっとぉ!。リエ先輩..)」

マオ:「うとうと(気持ちよくなって来ちゃった)」

運悪くリエを見つめた観客:「眠い、(えええーっ、本物の催眠ランプ、マジですか)ばたっ」

真理亜:「ゴールデンシスターズ、眠っちゃダメよ!。仕方ない、アイビーム発射!(大気中だから大丈夫よね)。」

ミキ、マオ「熱ちっ(げっ本物、純金外装に傷つかないかな、反射率は良いけど)、うっ目が覚めたわ。よーし、合体8回転ジャーンプ、ダブル雪玉アターック」

リエ:「ぎょえー。退散、イナバウアー(反り返ったままバック、うーん決まったね)」

マサ:「あ、ハカイダー2世様お待ちを、...逃げなきゃ。退散、イナバウアー」

(貴賓席)

文部大臣:「あの催眠ランプやアイビームって本物じゃないですか?。まずくないですか」

皇太子:「真理亜の能力なら危険なところには飛びませんよ。兼務する宙軍大臣としては、将来の素体供出を担う子供たちにサイボーグの威力を見せたいのでね」

文部大臣:「左様ですか。東宮様の方針はごもっともですが、観客も何人か眠ってしまったようで...」

皇太子:「真理亜は貴族ですからアイビームの平時装着は合法です。リエの内蔵イルミネーションはそもそも武器じゃないから規制外ですよ」

皇帝:「少々の騒動は構いません。外国のテレビなら数人倒れたくらいですぐ点滅規制とかしますけど、つまらないタブーを設けないのは我が帝国の根幹方針ですよ」

文部大臣:「陛下がそう仰せなら」

皇太子:「北米の火星探査は”隕石事故”で一時中止になったようですけど、仮にこのたびの救援が失敗して漂流中の乗員が死んでも、いずれ再開されてしまうでしょう。また、火星がしばらく静かになっても、月資源をめぐる北米と満漢の妨害合戦は続いていますから、とばっちりで我々に火の粉が降りかかることだって。衛星軌道の警備を強化するには、シビリアンの素体供出率を改善してサイボーグ兵を増やすしかないのですよ。文部省の方でも多少のリスクは覚悟して、サイボーグになりたがる子を増やす方策を一層推進していただきませんとね」

文部大臣:「厳しい世界情勢ですからね。肝に銘じておきます」


(控え室)

マオパパ:「どうも皆さんお疲れさまでした。迫力満点で評判も上々です」

リエ:「この体が注目集めるのはヒジョーに気持ちいいわね」

ミキ:「本物の催眠ランプには参りましたわ」

マオ:「そうそう、それにまさか本物のアイビーム使うとは。驚きましたよお」

真理亜:「NDフィルターかけるか迷ったんだけど、東宮様の仰せでね。なるべく子供たちに本物のサイボーグの力を見せてやれと」

ミキ:「幸い、傷は付きませんでしたが結構熱かったなあ」

真理亜:「反射率と入射角で計算ずくよ。もっとも、あなた達の金ぴか外装でなきゃ穴が空いたわね」

マオパパ:「それでは、次回以降も怪我の無いように宜しくお願いいたします」

真理亜:「任せておきなさい。私はショービジネスも詳しいんだから」


(宙軍兵によるアイスショーでした。ホントはもうちょっとファンタジーなショーに出来ると良いのですが、戦隊ものみたいになってしまいました。とりあえず、風俗以外の副業もたまには宜しいかと)

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