−−(19)ドクター・マサ−−


(宙軍基地内・改造施設の廊下)

真理亜:「改造手術そのものはVRシミュレーション訓練で単位取ってるし、素体の準備は自分自身の経験で判っているわね。今日は、ここの施設配置と我々術者のする準備について一通り教えておくわ。ホントは教科書に出てるんだけど藻前はちゃんと見て無さそうだし」

マサ:「お察しの通りで。規定通りダウンロードしてインデクスだけ見ましたが、身についてはいません」

真理亜:「まあ、藻前は元来座学より現場で手を動かした方が身につくたちだから想定通りね。ここの施設配置は、殆ど工程順に一直線だから憶えるほどのこともないが、まずここが第一手術室と第一準備室ね。ここは、知っての通り部品センターに素材として送られる四肢の切断をするところだから、脳外科限定の我々は担当しないわ。こっちが第一回復室ね。ここからは素体がダルマ状態で要介護になるのは、自分の時に経験済みよね。それで、ここから最後の手術まで40日間の素体介護も助手の仕事だってのは判ってるわね」

マサ:「そりゃもう、トラウマ憑きで。特に10日目のBCI手術は忘れられませんよ」

真理亜:「トラウマか。わずか40日で?。BCI能力向上の観点からはもっと長期間ダルマ状態で訓練した方が良いという説もあるのよ。実際、冬子のような特例志願兵にはBCI能力高い人が多いしね。宇宙遊泳能力などと総合判断の結果、実施されなかったけどね。40日というのは、手足を解体して骨髄を造血ユニットに加工する時間に合わせたんで、BCI訓練はついでみたいなものね。外国の文献だと、宇宙船操縦専用にサイボーグ体自体を全く手足の付けられない構造にするなんて過激な提案もあるのよ。もちろん性器なんか無く、股間も手足の切断面同様コネクタだらけで。極短距離すら無線を信頼しない思想もあるからね」

マサ:「いえ、ダルマ状態の期間が長い短いって訳じゃなくて、BCI手術のために剃髪されちゃうじゃないですか。全く抵抗できない状態で容赦なく丸坊主にされたのが、ショック大きかったんですよ。まあ、そりゃ一生ダルマ型で売春もできないような体になるなんて、もっとガクブルですがね。しっかし無線を信頼しないったって、光ファイバならそこまでしなくても我々の膣奥ポート程度で間に合いそうなのに」

真理亜:「なるほど。藻前らしいっていうか、元男の素体の性自認適合としては大成功なんだがねえ。その副作用かぁ。まあ、トラウマをバネにして、精いっぱい素体に優しく接してやることね。但し、口先だけでね。手足無しでBCI機器によって食事や排泄をこなすこと自体が第二教程訓練の一部なんだから、目的を踏み外さないでよ。で、ここが藻前の苦手なBCIをやる第二手術室と準備室Aね。準備室Aでの素体剃髪・滅菌も助手の仕事だから覚悟決めるのよ。こっちの準備室Bは術者用ね。ここは我々の担当だから準備室Bで身支度をするのよ」

マサ:「その辺はシミュレーションに無かったですよ」

真理亜:「設備は大きいけどやることは単純だから。我々の体は簡単に無菌化できるでしょ。このエアロックの先の部屋にエタノールを満たした水槽があってそこに全身を浸して滅菌するのよ。引火事故防止のためにその部屋は窒素で満たされてるからエアロックがあるの。入るときは、生命維持を2次装置に切り替え、燃料電池停めて膣ポートに補助電池ディルドを挿すのよ。膣ポートに浸水してショートする心配もあるから、防水前バリも忘れないように。足が宇宙用じゃないから、バッテリー残量に気を付けてね。始業時に原液の補給も必ずすること。着るものはそこに掛けてある専用のキャミソールレオタードだけで、余計なものは一切身につけないこと。面倒なようだけど、この設備のおかげでシビリアン医師のような窮屈な術着や手袋が不要になるって訳ね。脳外科の細かい作業を楽な装備で出来るのはサイボーグの利点よ。あ、言い忘れたけど滅菌前に眼球を備え付けのに代えること。この手術用眼球は高倍率ズームとアイビームが組み込みで神経索1本ずつを直接見れるし、毛細血管をねらい撃ちして止血もできるの。暗視や軸索誘導剤の出す赤外光を選択視する能力も高いわ。操作はシミュレーションで慣れているわね?」

マサ:「そこはやり込んだので自信あります」

真理亜:「よろしい。但し、いくら高倍率の眼でもBCI手術前48時間の軸索誘導剤点眼を忘れたら視神経が追えないから忘れちゃダメよ。次、ここがBCI設置後に入る第二回復室ね。ここはBCIの訓練施設を兼ねていて食事は各ブースのマニピュレータを使って原則自力ね。排泄や入浴のための移動も天井のレールクレーンで出来るから回復状況に合わせて、なるべく自力でさせるのよ。我々の体内無線LANからも制御できるから、初めに手本を見せたり、感覚だけ接続させて動かしてやって覚えさせること。藻前は、マオに重機操縦教えてたから要領は一緒だけど、素体はBCI初めてな訳だから根気よくやるのよ」

マサ:「初めにコントローラ接点の神経掴むまでが辛抱ですね。元から無い器官動かすんだから」

真理亜:「まあね。耳動かすとか目玉寄せるとか尻尾動かすとか色々例えられるけど、人によって違う感覚だしね。さて、次が主戦場になる第三手術室と準備室ね。準備室A,Bの機能は第二とほぼ同じよ。ただ、ここでは背割り切開の後、脳脊髄容器に収まるまでが非常に長時間の水中作業になるからね。補助電池ディルドを3本ずつ使って途中で入れ替え・充電するから残量と入れ替え時の手順忘れちゃダメよ。特に、股間の洗浄をやり直しにビデ・ボックスに入るのを絶対忘れないこと。それから、運悪く血管奇形や腫瘍が見つかって時間が伸びた時に備えて、生命維持タブレットも更新しておくことね。そういうときは、応援呼ぶことになってるけど、だぶったりしてすぐ来れない場合もあるから」

マサ:「電極付けは自信ありますけど、腫瘍や血管の処置は怖いですね。特に深部だとシミュレーション例も少ないし」

真理亜:「難しいのに当たったときは、一旦硬膜と脳脊髄容器を閉じて研究所や帝大に出向中の専門家を呼ぶから大丈夫よ。ところで、藻前はシミュレーション一辺倒だから手術室内の様子って術者視点しか見たこと無いんじゃない?」

マサ:「そういえば全体の風景って思い浮かびませんね」

真理亜:「やっぱり。一度、監視カメラ映像も見て全体像を確認なさい。想定外の事態にあったとき、全体が見えないとパニックになるからね。それで、最後の部屋が調整室ね。ここでは脳脊髄ケースを外部生命維持装置に繋いだ状態で覚醒させて神経トランスポンダを検査するのよ。リモートボディで折り返し通信が通ったら、我々の責任範囲はお終いで、素体ってゆうか出来たサイボーグ中枢を整備兵に引き渡すの」

マサ:「ここのことは自分の時に覚醒してますから経験で判りますよ」

真理亜:「注意すべきことは外部生命維持装置にセットする造血ユニットの素体番号とDNAチェックサムの確認よ。万一、取り違えがあったら大変なことになるから。これはさっきの第三手術室で首の血管分岐に繋ぐときも同様ね。後は、そうそう脳脊髄摘出後の胴の生命維持処理を忘れないこと。つい脳の保護ばかりに気を取られて忘れたら大変よ。万一、ミスで胴がダメになって消化ユニットが作れなかったら、遺伝子組み替えブタ代の賠償責任を負うことになるわよ。それじゃ、明日は9時から、最初は第一回復室ね」


(翌日9時、第一回復室)

真理亜:「10時ごろには最初の素体が来るからそれまでに受け入れ態勢チェックを完了するのよ。知ってるだろうけど、脳と臓器の負荷軽減のためすぐ切れる部分麻酔だから、痛がるのを巧くなだめるのよ」

マサ:「傷を舐めてやったりしても良いんですかね」

真理亜:「エタノールでうがいをして完全に消毒すればいいわよ。気を紛らわすなら、傷より性器が良いかな。藻前は蛇舌だから、クリトリスをつまんでやるのが良い鴨」

マサ:「なるほど。工夫してみます」


(9時50分)

下請けのシビリアン整形外科医:「まいど−。1体目できましたー」

真理亜:「乙!、早かったわね」

整形外科医:「手足切断して、ダルマッ娘作るの好きなんで、毎年請けさせて貰ってますので。ホントは抱けると良いんですけど」

真理亜:「素体にも人権があるから、風俗営業税を納付すれば自由に売春する権利はあるわ。個別交渉は一応可能よ」

整形外科医:「えっ、いいんですか?」

真理亜:「但し、立場を悪用して強要したら犯罪になるから、交渉には私か助手のマサが立ち会って正当な合意を証明する必要があるわね。当然ながら、傷に差し障らないことと、あなたが性感染防止の検査証明持ってることも条件になるわね」

整形外科医:「有効な優良買春人証明書は持ってますよ。傷の方は私の担当した娘なら性器寄りに縫い目が来ないように工夫してます。それに縫合の強度には自信があります。3日でセックス可能になることは、職を賭けて保障できます」

真理亜:「そお、じゃ交渉するときは言って頂戴。それからこの部屋では他の素体に迷惑だから、空き時間に準備室で淫ってね。あと、料金はあなたの請負代金から天引きして素体の個人口座に入れるようになるからね」

整形外科医:「真理亜様、マサ様、ぜひ宜しくお願いします」

1体目:「うーん、うーん、痛いよお。お母さん助けて」

マサ:「はいはい、そりゃ痛いよね。私ので良かったら気晴らしにオッパイ吸う?」

1体目:「うーん、うーん、オッパイよりティムポ舐めたい」

マサ:「(そんなあ、無いもの言うなよ。そうだわ。)ドクター!、交渉のチャンスよ」

整形外科医:「この状態じゃ、力入りすぎて食いちぎられる危険があるので勘弁して下さい。傷の周りを冷やして誤魔化しましょう」

マサ:「なるほど。危険か。(1体目でこのオサーン使い潰すわけにもいかんしなあ)」

整形外科医:「明後日になれば、かなり軽くなるんで、まだ同じこと言われたら、その際は宜しく。では、私は次にかかりますので」

真理亜:「逃げられたわね。後はマサの忍耐力で、なんとかなだめるのよ」

マサ:「へいへい。性器でも舐めてなだめてみますよ。(あーあ、私だって売春したいのに。最近、苦労ばかりで快楽少ないなあ)


(3日目、第一回復室)

マサ:「痛みは引いてきたかな」

1体目:「ええ、おかげさまで落ち着きました。毎日性器舐めてもらったので随分気が紛れました」

マサ:「今日もやる?」

1体目:「傷口が問題なければそろそろセクースしたいのですが」

マサ:「例のドクターに交渉して欲しいの?」

1体目:「税別2000Pでお願いします」

マサ:「判ったわ。会ったら、伝えておくわね」

3体目:「私も同額でお願いします」

8体目:「こっちもいいですか?」

マサ:「あなたはまだ無理でしょ。明日傷口を診てからね。今日は私の舌技で我慢なさい」


(9日目、第一回復室)

(例の)整形外科医:「私の請け負った20体はすべて傷が塞がったんで、今日でお暇です」

真理亜:「あなた、請負代金の殆どを売春代につぎ込んじゃったでしょ。生活大丈夫なの?」

整形外科医:「明日から特区でメタロリの仕事して稼ぎますよ。外人の娘には萌えないんで今度は大丈夫です」

マサ:「へええ。忙しいんですね。もう、ここの仕事は懲りちゃったかしら?」

整形外科医:「全然。ダルマッ娘のためなら、不眠不休・医は仁術の精神でがんばれますよ。また、こちらで手足切断のご用命がありましたら何時でも馳せ参じますので今後ともよろしく」

マサ:「(このオサーン、ただの変態なのか、いい人なのかワケワカラン。)お元気で、がんばって下さい」

真理亜:「乙でした」

1体目・2体目・3体目...「バイバーイ、ダーリン!。お買いあげドモ−!」


(10日目、第二A準備室)

マサ:「軸索誘導剤の点眼これでお終いね。じゃ、いよいよ剃髪始めるよ、覚悟は良い?」

1体目:「ちょ、ちょっと待って、はあはあ...」

マサ:「んもう、私だって辛いからさっさと終えたいんだけどなあ。待ったは3回までにしてよ。化粧でもしてみる?」

1体目:「丸坊主じゃ、売春できないですよね」

マサ:「そりゃ、買い手の趣味次第でしょ、って、プルプル、ちゃうちゃう...。そういう問題じゃなくて、BCI手術後は頭蓋骨に継ぎ目が残るから、安全上売春はどうせ無理よ。昨日まで、例のオサーンのおかげで結構稼いだんだから我慢しなさい!。サイボーグになれば、いくらでも安全に売春できるようになるのよ(しばらく宇宙に出されるから嘘か...)。我々の地上仕様の腰部外装は基本型がセクサボーグといって非常に性感が優れたものなんだから。じゃ、始めるよ」

1体目:「あ、でもチョット待って、もう一度鏡見せて下さい」

マサ:「はいはい。これで待ったなしよ。後がつかえてるんだから。カウントダウン5秒前、4、3...。バリカン入りまーす。マルコメマルコメ...」

1体目:「びえーーーん」


(第二B準備室)

真理亜:「遅い!。着替えと補助電池ディルド装着と防水前バリと眼球交換と滅菌急ぎなさい!」

マサ:「済みません。やっぱり、強引に剃髪するのは無理でした」

真理亜:「藻前もこういうところでサドッ気が発揮できればいいのに。特区で援交相手の売人どもを容赦なく処刑場送りにしてた残忍さはどこに行っちゃったのかしら」

マサ:「アレは、密告だけで手を下してないですから」

真理亜:「卑怯者。まあいいわ、急ぎなさい」

マサ:「コギャルは卑怯でも許されるんじゃ...」


(第二手術室)

真理亜:「開頭はシミュレーションでやり込んでるから出来るわね?」

マサ:「え、いきなりですか?(とうとう本物かよ、スプラッタやだー)」

真理亜:「簡単な汚れ仕事は助手の役目でしょ。一応、何時でも緊急リモート出来るように見てるから」

マサ:「じゃ、身体制御のアドミニストレーション開けますね」

真理亜:「必要ないでしょ。ずーっと直属上官だったんだから、常時、強制リモート権限が設定されてるわ」

マサ:「そうでしたね。一度もやられたこと無いから忘れてましたよ」

真理亜:「強制リモート権限は安全上やむを得ないときか、教習目的でしか使っちゃいけないでしょ。藻前は、体を動かす技だけは確かだから必要なかったのよ。今日も頼りにしてるわよ」

マサ:「信用して頂けるのは嬉しいですね(でも、スプラッタ怖いよー、あーあ)。じゃ、始めます。入刀ぉー」

真理亜:「良い線出してるね。素体は30日間だけだから意味無いけど、きっちり生え際の内側5_で切れてるね。これなら、シビリアン向けの一般病院でも通用するわ」

マサ:「どうも。クリップ止めました(出血少なくできて助かったわ、やれやれ)。ドリル始めますか?」

真理亜:「良いわよ。その早さならダメージ少ないし。折角だから細かい出血をアイビームで止めなさい」

マサ:「仰せの通りに。血は苦手ですから。それっ!、ラブラブ光線!。もう1箇所、ラブラブ光線!」

真理亜:「ふむ、拡大で毛細血管点射か。私より上手いわね。キーワードは相変わらずバカだけど」

マサ:「ドリル始めます(骨は血が少ないから気楽だわ)」

真理亜:「穴位置も正確に出来てるわね。次のノコギリは硬膜に気を付けるのよ」

マサ:「もちろんです。えと、保護箔をくぐらせて...よし出た。ノコギリ始めます」

真理亜:「最後の辺にたどり着く前に縫合線が外れることがあるから落とさないように気を付けてね」

マサ:「吸着器、先にいくつか掛けときます」

真理亜:「そうそう。急がば回れってね」

マサ:「開きました。持ち上げますので生食容器お願いします」

真理亜:「よーし。脳みそご対面ー」

マサ:「リエのおかげで硬膜は見慣れてますから、感動のご対面て程でもないですね」

真理亜:「そうね。さて、この先は流石にいきなり藻前にさせるの心配ね。今日は感覚だけ私に繋いで、感触を掴みなさい。易しい箇所になったら渡すから」

マサ:「なるほど、硬膜切開そういきますか」

真理亜:「視神経の走りに個人差があるでしょ。慣れると顔つきとかから予想できるからね。シミュレーションと違うけど、この方が視神経を空気にさらす距離が小さいでしょ。じゃ、励起装置起動して。視覚を1.5ミクロン赤外に切り替えなさい」

マサ:「起動しました。軸索誘導剤、反応してますね。こりゃよく見える。どれ、拡大。一本ずつしっかり場所判りますね。電極パーツどうぞ」

真理亜:「手順いいよ。こうやってリードを視神経に沿って滑り込ませるのよ」

マサ:「視神経傷つけそうで怖いんですよね、これ」

真理亜:「後30日しか使わないから少々は構わないけど、あんまり酷いとBCI調整がし辛いからね」

マサ:「リードが片側200万本ですから、一束100端子単位とはいえ、やっぱり大変ですね」

真理亜:「その代わり、本来の視神経数の4倍もあれば、分解能かとか多少のずれ許容とか融通効くからね。この作業はサイボーグの視力と体力がなきゃ、大変よ。でも、誘導剤が無けりゃとても出来なかったわね」

マサ:「サイボーグが少ない、最初の頃はどうしてたんでしょうね」

真理亜:「顕微鏡使って、疲れるから交代だったそうね。それでも過労死した術者が出たそうよ」

マサ:「だいぶ進みましたね。あと、5分の1...最後はトランスポンダ繋いで硬膜外に縫いつけでしたね」

真理亜:「よし、視神経終わりね。聴覚神経とコントローラーは位置精度甘いから、藻前に任せるわ」

マサ:「運動野の個人差って、外見から読めませんか?」

真理亜:「難しいのよ。それで、コントローラは低密度で広めに設置しているのよ。それで、後の調整で手足なんかと重ならない空き神経を捜して選ぶの」

マサ:「なるほど、じゃ、シミュレーション通りこの辺りで面的に置けば良いですよね」

真理亜:「うん、そこそこ、それで良いわ」

マサ:「できました。一時覚醒にかかりますね」

真理亜:「やって」

1体目:「うううん、怖いよー...はっ」

真理亜:「生きてるわよ。説明したとおり、術中の電極動作チェックで起きてもらったのよ。早速だけど、手を握ったり開いたりしてみて。実体がないから感覚だけで」

1体目:「こうで良いですか?」

マサ:「対向トランスポンダ、信号来てます。両手、入ってます」

真理亜:「コントローラの位置は良いようね。視覚オーバレイ信号送って」

マサ:「標準パターン出します」

真理亜:「この部屋のもの以外に、何か見える?」

1体目:「風景に重なって、広く、薄く光が点滅しています」

真理亜:「視界の端の方も光ってる?」

1体目:「視界の端まで全部、というか外まで広く光ってます」

真理亜:「視野は良いようね。次、音声送って」

マサ:「パターン出します」

1体目:「ざわざわいう音が、左右に移動してます」

真理亜:「両側いいようね。お疲れ。マサ麻酔戻して」

1体目:「こんなので大丈夫なんですか...こくっ」

真理亜:「この段階じゃ、チャネルマッピングしてないから繋がってることしか判らないものね。不安がるだけだからさっさと眠らせた方が良いのよ。じゃ、閉じるわよ。開頭の逆で、硬膜終わったら藻前が仕上げやるのよ」


(翌日、第二回復室)

1体目:「うーん、うーん、頭が...怖いよー、痛いよー...はっ」

マサ:「とりあえず無事覚醒したね。早速だけど傷口チェックよ。まあ、自信はあるけどね」

1体目:「傷跡醜かったら嫌だなぁ。あ、いてっ」

マサ:「どうせ後30日だけでしょ。まあ、私にも意地があるんで綺麗に出来てるけど。ほら、鏡見る?」

1体目:「怖いなぁ。あ、ホントに細い線しかないですね。しかし、情けないくらいつるっぱげですね」

マサ:「サイボーグの視力と身体制御CPUを使えばこんなものよ。凸凹だとキャップの密着悪いし。
じゃ、消毒してBCI中継キャップ着けるね」

1体目:「うっ、滲みるー」

マサ:「ほい、出来た。決められた仕事はこれでお終いなんだけど、はいこれサービスよ」

1体目:「こ、これは...」

マサ:「昨日剃った髪を、夜なべしてかつらに加工したのよ。そんな義務無いんだけど私からの気持ちよ」

1体目:「ありがとうございます。感激ーー。最後の自毛ですから大事に使いますよ」

マサ:「じゃ、BCIのチャネルマッピング始めるよ。まず視覚ね。これ何に見える?」

1体目:「ランダムなパターンにしか?」

マサ:「少しずつ変化させていくから、ほぼ直線になったら言って」

1体目:「...あっ、曲がってるけど線になりました」

マサ:「この付近か、変化を遅くするから直線になったらすぐ言って」

1体目:「...そこ!」

マサ:「止めたけど直線で止まってる?。場所は?。あと色は?」

1体目:「少し行き過ぎてます。場所は右目の上から右下に伸びてるように見えます。色はまだらですね」

マサ:「よし。仮基準点設定と、じゃ、これ何に見える?」

1体目:「歪んでますが、ひらがなで、”ぬるぽ”と、色はぬの上半分がピンクで、間が白くて、ぽは水色です」

マサ:「1発目としてはかなり良いな。疲れない?」

1体目:「かつらのおかげか、元気出てきました」

マサ:「よっしゃ、じゃ、これ赤い真円に見えて欲しいんだけど、違ってるよね。また変化させるから合ったら言って」

1体目:「...あ、そこ一寸戻して下さい。...そこ。合いました」

マサ:「よーし。じゃ、これは?」

1体目:「赤い字で”ぬ”、緑で”る”、青で”ぽ”です」

マサ:「視覚調整は取りあえずこれで良いわ。訓練中に細かい狂い見つけたら、その都度言ってね。じゃまた」


(助手開始から通算13日目 第二回復室)

マサ:「手でも足でも胴でも首でも顔でも舌でも目でも耳でも無いところを動かしてみて!」

1体目:「うーーん、うーーん、念力、念力、...済みません、うんち出そうです」

マサ:「はいはい。(体内通信)レールクレーン、代行操作...(/体内通信)、操作画面見えるよね?」

1体目:「はい、見えてます」

マサ:「今は私が操作を代行してるけど、BCIできたらトイレはこの通り自分でやるのよ」


(レールクレーン終点のトイレ)

1体目:「クレーンに掴まれて移動するのって結構苦しいですね」

マサ:「腕がないと脇の下で支えられなくて肋骨鷲掴みにするからね。もっとくびれが少ない体型の娘だと、滑らないように強く掴むことになるから最悪だわ。さあ、着いたわよ。ここで、こうして洗浄機と乾燥機のコントローラを呼び出して使うのよ。脇の小さな動画は、監視カメラに写った前後の穴付近ね。これで汚れが落ちたか見るのよ」

1体目:「あそこの拡大映像を人に見せるのは恥ずかしいですね」

マサ:「嫌なら、一刻も早くBCI操作を掴むしかないわね。ここでも、トライしてみる?」

1体目:「ええ。うーん、念力念力...微かにカーソル動いた希ガス。ああ、ダメだわ」

マサ:「惜しいわね。もう一寸よ」

1体目:「出そうなので取りあえずやっちゃいます。(ブリブリ、ゲリゲリ、ジョロロ...)ふう」

マサ:「くっさー、早く自力に移行してよね。はい、取りあえず洗浄よ」


(30日目、会議室)

真理亜:「今日は、BCIの進捗に基づいて、改造手術順の最終調整を議論します。まず、現時点で自活が不十分な娘について、延期やBCI再手術の必要性を確認します。報告はもらってますが、各助手は担当の娘について改めてここで見解を言って下さい」

マサ:「5番は視野の5%に歪みが残ってますが、外部マッピング調整で吸収できそうです。丁度、食事用マニピュレータの移動釦に当たる位置なんで介助してますが、トイレは自力ですし。12番はカーソル掴むのが遅かったんで出遅れましたが、1番の経験からすると後は早いでしょう。元々、先頭から2日遅いですから、順当にやっても残り11日あるし」

他の助手1:「26番は入れ替えで3日ほど延ばしたいですね。カ−ソルようやく掴んだばかりなので」

他の助手2:「51番は左側の視野欠損が約8%と大きいのでやり直した方が安全です。元々視神経に小さな損傷があったようで、誘導の難しい領域がありましたね。今なら、マッピング結果をフィードバックして該当箇所を修正出来そうです。それでダメなら、受容体側の問題なので我々の手には負えなくなると思いますが」

真理亜:「判りました。51番については今日の午後に再開頭しようと思いますがコンディション良いかしら?」

他の助手2:「やや疲労気味です。やるなら応援を入れて時間を短縮したいですね」

真理亜:「別件で帝大の名人が来てるので、打診してOKなら今日やりましょう。26番を3日延ばすとすると、間の娘が繰り上がる事になるけど、まずい娘いるかな?」

他の助手1:「順調な娘ばかりなので、ダルマ卒業が早まって喜ぶだけですよ」


(第2回復室)

12体目:「おしっこ出そうです」

マサ:「クレーン呼んでみなさい」

12体目:「念力念力、手じゃなくて舌じゃなくて耳じゃなくて...ダメ漏れますぅ、溲瓶とっ..ああ(じょろろー)」

マサ:「ザンネン、アウトか。(体内通信)用務員室にメール...」

用務員:「ひっひっひっ、また、お漏らしですかあ」

マサ:「おっちゃん。ゴメン。またやっちゃったー。惜しいところだったんでついチャレンジさせちゃってぇ」

用務員:「どういたしまして。ダルマッ娘のお漏らしのお世話するのが大好きで、ここに就職したんですから」

マサ:「そう。いつも助かるわ(はぁ、最初のドクターといい、変態オヤジに支えられる施設なのね、ここわ)」

用務員:「ふきふきも私がやってあげていいですか?」

マサ:「舐めてやっても良いわよ」

用務員:「それでは、お言葉に甘えて、ふきふき、ぺろぺろ、むむ、コーン風味ですな」

12体目:「ひゃいん。恥ずかし気持ちいい」

7体目:「あ、いいなあ。そうだわ。おじさん、こっちもお漏らしぃ」

マサ:「こらっ。藻前はBCIできるのに甘えるんじゃない!。今度やったらお仕置きよ」

用務員:「あの、あちらは、お世話しちゃダメですか?」

マサ:「しょうがないから今度だけよ。甘やかすとBCI訓練に差し支えるからね」

用務員:「でわ。今度だけ、...ふきぺろ...じゃ、これで失礼します」

素体たち:「あーん、おっちゃん逝っちゃイヤー!」

マサ:「こらー!。藻前たちも、わざとお漏らししたらお仕置きよ。私にはBCIモニターですぐ判るんだから」


(41日目 第3A準備室)

マサ:「とうとうここまで来たわね。もうじき宇宙に手が届くのよ」

1体目:「かつら、ありがとうございました。今日もよろしくお願いします」

マサ:「任せて。私は体動かす技だけなら真理亜様にだって負けないんだから。かつらは私物庫に送っとくわね」

1体目:「基地内私物庫、もう貰えるんですか?」

マサ:「そりゃそうよ。次に目が覚めたら、れっきとしたサイボーグで、2等兵に昇格するんだから当然でしょ」

1体目:「そうだったんだ。第2教程を修了しないとダメだと思っていたわ」

マサ:「改造後は、訓練中でも私費パーツの保有や私服の着用ができるから保管場所も与えられるのよ。じゃ、頭剃りなおすからね」


(第3B準備室)

真理亜:「補助電池ディルドの準備は良い?。今度は滅菌中だけじゃなくて長時間だからね。摘出後のトランスポンダ付けからケース組み上げまでは、生食槽中なんだから。途中で出るのに2分、さらに防水前バリシール剥いでディルド入れ替えに1、2分かかるからね。濡れてると燃料電池起動もすぐには出来ないし、生命維持装置内バックアップコンデンサは持続短いのよ。作業に気を取られて電池切れたら死ぬんだからね。1体作る間に、1体氏んだんじゃ話にならないわよ」

マサ:「シミュレーションでやり込んでますから、たぶん勝手に体が動くと思いますよ」

真理亜:「あてにしてるわよ。じゃ、滅菌逝こうか」


(第3手術室 前出の監視カメラ映像 の場所)

マサ:「皮肉の開きと、縁クリップできました。血管どうですか?」

真理亜:「よし、頸動脈分岐切り替え完了。外皮に続いて、汚れ仕事は藻前の役目よ。背割りは任せたわ」

マサ:「判っております。しっかし、背割りって牛の解体みたいで好きになれませんねぇ。カッター回します」

真理亜:「嫌いでも得意なんでしょ。頭部は保護シート入れてあるから一気にチュイーンと行って良いわよ。ん、そうそう、その調子、ど真ん中一直線に切れてるね。よし。そこからの背骨は慎重にね。脊髄傷つけて補助CPU使うようになったら、個別ソフト開発費やら相当の賠償になるからね。」

マサ:「そんなガクブルなこと言わないで下さいよ。自信あったのが不安に変わりますよ。はい、そーっとそ−っと、ガリガリ、よし真ん中からずれてないな、軟骨崩れ無しっ、...」

真理亜:「おーよしよし。第1関門突破ね。じゃ、後頭頭蓋半球除去よ。BCI引っかけないようにね」

マサ:「頭蓋骨取れました。」

真理亜:「よし、じゃ背骨各節のクォーターカットよ。藻前は下半分やって。延髄寄りは私がやるから」

マサ:「マイクロカッター起動、よし1個目パキッ、...ここまでで良いですか?」

真理亜:「もう1節やって」

マサ:「はい、取れました」

真理亜:「よし。リフト起動して。生食槽に移すわよ。さて、ここからが大変ね。電池チェックもう一度よ!」

マサ:「起動しました。ディルド電池99%、ん、防水前バリも完璧です。台、上げて良いですか」

真理亜:「外部維持装置の追従移動機構起動は確認したの?。生食のコンディションもチェックよ」

マサ:「はい。エラーありません。生食槽の浸透圧、酸素濃度、温度いずれも規定通りです」

真理亜:「念のため、ゆっくり動かすのよ。じゃ、始めて」

マサ:「移動始めました。血管テンション正常、憑いてきています。1分で着水します」

真理亜:「人工頭蓋・脊柱のパーツセット確認。終わったら入る準備よ」

マサ:「パーツセット、トレイのモニタOKです。滅菌ボックス先に入ります」

真理亜:「洗浄終わったら、槽内行って、台の降下を監視して」

マサ:「槽内に移動します。小リフト起動。...着底しました。台、順調に降りてきてます」

真理亜:「1分で追いつくから、台見張っていて」

マサ:「台、着底しました。首の血管ブロック箇所、異常ありません」

真理亜:「首側面切開始めていて。槽内はビーム使えないからクリップ止血こまめにね」

マサ:「開きました。いよいよ引き抜きですね。外部維持装置、データ異常なしです」

真理亜:「先に脊髄の方、浮き上がらせるわよ。下から順に、神経切りながら持ち上げて」

マサ:「血管切り離しと胴の維持処置は、何時やりますか?」

真理亜:「忘れるといけないから、今やっておきましょ。私がやるから、神経やっていて」

マサ:「運動神経の余長、こんなもんで良いですか?」

真理亜:「シミュレーション通りね。それで良いわよ。感覚の方は目印だから見える程度で良いわ」

マサ:「間違えて運動の方、短くなりすぎたら大変ですね」

真理亜:「脊髄の外は再生できるけど、手間かかるから気を付けるのよ」

マサ:「...脊髄、全部浮かしました」

真理亜:「次、脳の引き上げ準備よ。まず、BCIが崩れない位置で視神経と聴覚神経切り離して。顔面側の処理は、その後少しずつ上げながらね」

マサ:「切れました。BCIの端子ずれありません」

真理亜:「よし、じゃ上から嗅覚、動眼、三叉、外転、顔面、舌咽、迷走、舌下、の順で上げながら切り離してくわよ。運動系は長めにね。迷走神経は対応器官が無くなるから根こそぎで良いわよ。嚥下制御は舌下だけで賄うからね。私が右からやるから、左の縁からやってきて。最後に鼻の裏あたりで合流ね」

マサ:「...舌下まで来ましたね」

真理亜:「よーし。これで、持ち上げられるわね。保護シート敷き込んで」

マサ:「こんな配置で良いですか」

真理亜:「良いわよ。引き上げワイヤー降ろして」

マサ:「降りてきました。通しますのでそっち側お願いします」

真理亜:「脳周り、掛かったわ。脊髄は一人で掛けられるわね。」

マサ:「はい。...全部掛かりました」

真理亜:「少しずつ上げてみて。組織が切れてない箇所があるとまずいから、超スローで」

マサ:「上手く上がっていきますね。ふう」

真理亜:「大丈夫そうね。大きく上げて良いわよ。水面下50センチで、トレイ方向に移動開始よ」

マサ:「水平移動始めました。中央で停めて良いんですね」

真理亜:「そうよ。外部維持装置に造影剤注入開始させて、天井のレントゲン降ろして」

マサ:「血管撮影準備良いですよ」

真理亜:「よし、いったん槽外に出るわよ。出たら撮影して、現像上がりまで休息。電池代えるのよ」

マサ:「小リフト動かします。一緒に乗ってって良いですね」

真理亜:「...よし、出たな。レントゲン3台ともOKね。3面透視撮って」

マサ:「撮れました。現像器起動します。造影剤停めました。10分で仕上がりますね」

真理亜:「よし、電池代えて休憩」

マサ:「体は疲れなくても、さすがに緊張で神経に堪えますね。こんなとき煙草吸えたらいいのに」

真理亜:「吸ってもいいけど、防毒フィルタでトラップされるから全く効かないわよ。身体制御CPUから覚醒パルス出した方が有効ね」

マサ:「あ、そんな機能憑いてましたね。一度も使ったことなくて」

真理亜:「あら、覚醒パルスも無しでそんなに集中出来てたの。随分集中力あるわね。藻前は、バカっぽい割に妙なところで生体脳の性能良いのよね。そこが期待するところだけど」

マサ:「お褒めにあずかりまして...。写真来ましたね。ん、ん、怪しい瘤はなさげですが?」

真理亜:「ふむ。大丈夫そうね。じゃ、普通に続けるわよ。防水前バリ点検して再滅菌!」

マサ:「ディルド電池残量99%、前バリよし。維持装置切り替えよし。お先に滅菌入ります」

真理亜:「よしよし。きりきり働けよ」

マサ:「...小リフト動かします。...着底」

真理亜:「じゃ、トレイ直上に移動。ぴったり合ったらゆっくりワイヤ降ろして。30センチ手前で停めて」

マサ:「はい。...この辺かな。降ろしますね。ふわりふわりと...ん、ドンピシャですね」

真理亜:「位置良いわよ。じゃ、顔面側のトランスポンダ付け始めるわよ。さっきの切断順序で、嗅覚から始めて、舌下、あと声帯まで来たら、保護ジェルを塗って内膜上に降ろすのよ」

マサ:「嗅覚のトランスポンダ位置ってこれで良いんですかね。随分鼻から遠いようです」

真理亜:「視覚と違って、情報量少ないから狭帯域で良いでしょ。犬なら逆だけど」

マサ:「ふーん。私の麻薬用鼻なんて結構効くのに」

真理亜:「特定薬物の識別は生体脳でやってないのよ。訓練無しで機能するでしょ?」

マサ:「なるほど。やっぱり、犬にはなれないんだ。文献で犬型ボディなんて、あったけど、あれは玩具か」

真理亜:「非人間型って、いろいろ案はあるけど神経マッピングがネックであまり研究が進んでないのよ」

マサ:「まあ、わざわざコストかけてまで人間やめる意味ってあんまり無いですよね。よし舌咽できた。私のようなフェラチオの上手い娘になれますように、念を込めてっと...」

真理亜:「無駄口たたきながらも手は動いてるのね。舌下終わったら、首周りね」

マサ:「脳神経全部出来ました。声帯も繋ぎましたが。テストはどうします?」

真理亜:「見た感じだとまず大丈夫そうね。吊ったままが長引くのも嫌だからジェル塗って降ろしましょ。内膜で支えて水面に上げた方が安全だわ」

マサ:「ジェル厚みこんなもので良いですか、...じゃ、降ろします」

真理亜:「保護シート抜いたら、前面内膜ごと吊り上げて、水面下5センチで保持して。テスター降ろすから」

マサ:「位置良いと思います。頭部テスター来てますね」

真理亜:「この状態で起こしちゃかわいそうだから、外部維持装置で麻酔加減して半覚醒にして」

マサ:「やってます。レベル出てますか?」

真理亜:「深いな。もうちょい、覚まして。うん、良いよ。よし、刺激シーケンスプログラム起動...」

マサ:「条件反射、動いてそうですね」

真理亜:「どうやらフェラチオは問題なく出来そうね。麻酔戻して良いよ」

マサ:「戻しました。降ろしますね。あ、電池そろそろ代えた方が良いんじゃないですか」

真理亜:「休憩してから脊髄神経に行こうか」

マサ:「小リフト出します」

真理亜:「電池残り20%か。結構早かったわね」

マサ:「経験無いと20%で結構焦ってきますね」

真理亜:「うん、遅い人だと、脳神経の中間で一休みってのも普通にあるわよ。落ち着かないけど」

マサ:「電池代えました。防水前バリシールOK。じゃ、再滅菌行きます」

真理亜:「慣れてきたわね。じゃ、一気に脊髄片づけようか」

マサ:「...始めますね。脊髄は感覚と運動が交互で規則的だから良いですね」

真理亜:「まあね。ただ、モノが細いんで傷つけると脳みたいに冗長性で補えないから慎重にね」

マサ:「右腕方面はこれで良いですよね。各トランスポンダは、もう側面溝に入れて良いですね」

真理亜:「多分ね。その調子で他もさくさく付けていって、まとめてテストすればいいわ」

マサ:「はい。...一番下まで来ました。こんなもので、どうでしょうか?」

真理亜:「外観上は良いわね。じゃ、吊り上げてテストよ」

マサ:「水面下5センチ。脊髄テスターも降ろしました。脊髄反射テストだから覚醒はさっきより浅くて良いですね」

真理亜:「うん、そろそろかな。刺激シーケンスプログラム...ん、脚気の心配は無さそうね。降ろして」

マサ:「降ろしました。保護ジェル塗りますね。...搬送マニピュレータ起動、背面内膜降りてきます」

真理亜:「位置合わせはざっとで良いわ。寄せながら保護ジェル完全に詰めるから」

マサ:「寄せました。合わせは上からで良いですね」

真理亜:「そうして。髄液排出バルブで、保護ジェルの余り吐かせるから」

マサ:「合いました。とりあえず、安心ですね」

真理亜:「2次装置が付くまでは、地震が来ないか心配よ。という訳で、胸から先に脊柱パーツ組むわよ」

マサ:「搬送起動しました。ところで、電池15%ですが、大丈夫でしょうか?」

真理亜:「微妙ね。注意しながら行くわよ。お、胸椎キット来たな」

マサ:「組み立て始めます。2次生命維持装置の搬送も起動しました」

真理亜:「良いよ。そのペースよ。早く終わればそれだけリスク下がるんだから」

マサ:「2次装置来ました。外部補給ホースも正常に憑いて来てます。固定やりますので配管お願いします」

真理亜:「よし、静脈入った。保護管固定よし。ローター試運転モードで、エア抜きして...ん、動脈もできた。頸部血流切り替えバルブの切り替えもスムースね。じゃ、電池代えに出ようか」

マサ:「小リフト出します」

真理亜:「暫く2次装置のモニタから目を離さないでね。初期不良に当たったらえらいことだから」

マサ:「最後の砦の2次装置が不良なんてガクブルな...。今日は長時間使ってるのに」

真理亜:「構造が簡単だし機械系は全て非接触軸受けだから、一度動いた物は滅多に故障しないわよ。まれに軸受け磁性体結晶欠陥が元で、振動試験時に傷が付いて、試験液で動いて血液だとダメってあるから」

マサ:「血液で試験したんじゃ再クリーニング無理ですもんね。どうか私に当たりませんように...。電池替えと防水前バリシート済みました。怖いけど維持装置切り替えました。再滅菌入ります」

真理亜:「まれにって言ったじゃない。隕石事故より少ないわよ。いちいち怖がるな!」

マサ:「小リフト上げます...」

真理亜:「さあ、頭蓋と残りの脊柱組み付けたら終わりよ」

マサ:「頸椎、頭蓋、腰の順で良いですよね?」

真理亜:「それで良いわ」

マサ:「頸椎嵌りました。顔面入れます。ん、ちと固くないかな」

真理亜:「鼻機構搭載部の端子穴キャップ抜かないと水圧で渋いのよ。力ずくでやると危ないわよ」

マサ:「なるほど、あ、ホントだ。入りました。後頭蓋被せます。こっちは、この圧抜き口開けてやるんですね」

真理亜:「そうよ。応用効くようになったわね。ん、そうそう、じゃ、次、腰よ」

マサ:「よっこっらしょっと。腰ぱっちん、はいこれで良いですね?」

真理亜:「一番下の髄液排出バルブ調整やって。頭頂と一番下のトランスミッタのモニタ見ながらよ」

マサ:「これで良いですか?。圧力差が大きすぎて規定に入らなかったらどうするんですかね」

真理亜:「その調整値は良いわ。入らないのは素体に水頭症があるって事だから、ここに来る前に判るわ。そういう娘は徴兵されない筈だけど、訓練中の怪我で発症する可能性は否定出来ないかな。まあ、そうなったら特例志願のコースに乗せるしかないわね。公傷なら待遇は徴兵のままだけど」

マサ:「なるほど。水頭症でも宇宙に行けるようになれるのかな」

真理亜:「シャントなんか入れてたら耐G的に無理だろうね。地上で整備兵ぐらいしか無いかな。脊髄が完全にダメなら冬子みたいに除去って手もあるけど、機能してると苦しい選択になるわね。シャント入っていても障害者じゃないから、それを1級障害にしてしまうのは損とも言えるし」

マサ:「さて、これで取りあえず完成ですよね。引き上げて良いですか?」

真理亜:「覚醒検査から整備兵渡しまで外部維持装置引きずったまま行くから、切り替えるのよ。コマンドは、2次から1次と等価になっているわ。...やった?。じゃ、引き上げて。私らも出るわよ」

マサ:「中枢支持・移動用スタンドと仮設原廃液タンクも呼びました。小リフト出します」

真理亜:「そっち持って。スタンドのリング開けさせて。せーの、よし乗った。リング閉めて」

マサ:「タンク内容OKです。原廃液管差し替えます」

真理亜:「はいご苦労さん。搬送コマンド出して。着替えたら調整室ね」


(調整室)

マサ:「試験用リモートボディ起動完了、声帯・視聴覚強制接続、覚醒させます」

1体目・リモートボディの口で:「うう。背中からまっぷたつ...ぎゃぁぁぁ怖いよぉ...」

真理亜:「取りあえず生きてるようね。ほら、無事終わったわよ。寝ぼけてないで起きなさい」

1体目:「はっ。あれ、どこも痛く無いや。ここは...、あ、真理亜様!」

真理亜:「ここは調整室よ。今の貴女の視点は調整検査用のリモートボディなんだけど、感覚どうかな?今度は手足も実体で憑いてるわ。ただし、電源コード引きずっているから、気を付けて動かしてね。いいわね。じゃ、ロック解放コマンド送るわよ」

1体目:「ちょっと顔つねってみます。痛てっ。生きてるし、手も確かに実体ですね。でも、つねった筈の場所と痛い場所が違う希ガス」

真理亜:「まだ、仮設だからね。BCIの段階で調整済みの視聴覚以外は、マッピング未調整だからよ。あっちにあるのが貴女の本体よ。ちゃんと見える?」

1体目:「えっ、く、首が勝手に斜めに回っちゃいます」

マサ:「首の運動マッピング調整してみようか。目を瞑って、首を左右水平に回して。...ふん、ここかな。目、開けて首振ってみて」

1体目:「あ、普通に振れました。あれが、私の本体...まだ、あれだけですか」

真理亜:「ここで検査が通って、整備兵に引き渡されたら、あっという間に完成するわよ。顔の希望モンタージュデータとか、ちゃんと提出してあるわよね?。不備があると、仮設品付ける羽目になるけど、大丈夫かな?。サイボーグになったら美人も不細工も自己責任で、親に文句言えなくなるのよ」

1体目:「手術前にチェックした限りではエラーメールは来てなかったです」

真理亜:「多分大丈夫と思うけど、手術でBCIが損傷してないか確認兼ねてメールチェックしてみて」

1体目:「BCI−Webメーラー...新着は無しですね。画面歪みなど異常ありません」

真理亜:「じゃ、上の方の神経から順に点検よ。まず、この瓶の中身の臭い判る?」

1体目:「イカかしら...いえ、おまんこに似てる希ガス...で良いんですか?」

真理亜:「正解。じゃ、目玉一杯に上向けて、次、下、はい左、もっと一杯に、んじゃ右。視野はどう?」

1体目:「感覚よりも、やや大きく動き気もしますが、見え方に異常はないです」

真理亜:「目玉、コードレスだから生身より旋回が自由なのよ。慣れると360度回転出来る娘もいるわよ」

1体目:「なるほど。じゃあ、これで正常なんですね」

真理亜:「じゃあ次、怒り顔と笑い顔交互に繰り返してみて、マサ!見ながら仮設定よ」

マサ:「うわぁ...何とも言えない怖くて面白い顔で...修正...とりあえず、この辺でどうです?」

真理亜:「顔の表情調整は時間掛かるので仮設定したから、後は整備兵に教わって鏡見ながらセルフでね。次、舌思い切り延ばして、左右水平に振って」

マサ:「傾き、修正しました」

真理亜:「両手を真横水平にして」

マサ:「原点、採れました」

真理亜:「そのまま、水平面内を前後にゆっくり動かして」

マサ:「傾き修正、良いですよ」

真理亜:「正面で、手を開いて、手首まっすぐ上下に」

マサ:「この辺でしょう」

真理亜:「じゃ、このディルド持って、フェラチオしてみて」

1体目:「べろべろ、れろれろ、ふがふが...はれ?。コーラみたいな味がしますが」

真理亜:「味覚は良いようね。舌の触覚に違和感は?」

1体目:「多少引きつる感じもしますが、たいして」

真理亜:「その程度は慣れかな。後は整備兵に相談して。次、このコップのアルコール飲み込んでみて」

1体目:「ごくごく。きつー。酔いそうですが。のどごしはおかしくないです」

真理亜:「酔いそうなのは気のせいだから。良いようね。じゃ、肩を水平に胴を左右にひねって」

マサ:「傾き直しました」

真理亜:「まっすぐ背中前に丸める。つぎ、一旦真っ直ぐ、はい真後ろに海老ぞり、イナバウアー」

マサ:「調整良いです」

真理亜:「右足、小さく一歩、真っ直ぐ前に、次、左。左足で立って、右足真横に蹴り上げて、あっ」

1体目:「あああ...痛ったーい」

マサ:「ゴメン。三半規管代替のレーザージャイロ強制接続忘れてた」

真理亜:「痛覚はあるようね。レーザージャイロ繋がった?。じゃもう一度。はい足逆にして。屈んで、そのまま床に座って、股目一杯開いて、ディルド持って、膣に挿入、ピストンして」

1体目:「あああぁぁぁう...。感じました」

真理亜:「性感の詳細な調整は重要だから、後で忘れずに整備兵に頼んでね。じゃ、しゃがんでこの溲瓶におしっこする構えして、クリトリスを強くクリックして」

1体目:「ひぃぃぃ、あ、出ちゃった」

真理亜:「感覚はOKと。廃液の放出は生身と違ってクリトリス押さないと出ないからお漏らしは無いわよ」

1体目:「便利ですね」

真理亜:「これでトランスポンダの動作確認は済んだので、貴女を整備兵に引き渡します。マサ、今日の担当整備兵に連絡して引き取りに来てもらって。一旦、仮ボディーの接続を切るので、真っ暗が嫌だったらBCIでそこらの監視カメラとマイク掴んでね。それから、改造手術完了をもって、身分が素体・3等兵からサイボーグ・2等兵に変わりました。BCIで自分の個人データが合っているか確認して、おかしかったら人事局にメールしてね」

1体目:「お世話になりました」

真理亜:「マサ、次の娘にかかるから第2回復室に迎えに行きなさい」

マサ:「えっ、休憩無しですかぁ」

真理亜:「後がつかえてるのでバンバン行くわよ」


(50日目、第2回復室)

用務員:「その娘で最後のダルマッ娘ですか。来年まで寂しくなりますねえ」

マサ:「あら、おじさん、世話になったわね。でも、殆ど空いてるのに掃除に精が出るわね」

用務員:「次のダルマッ娘が来るまで、心を込めてここを整備しておくんですよ。それに、訓練半年落第の娘とか、傷病で緊急改造手術なんて時もあるので何時でも使えないとね」

マサ:「ふーん熱心ねぇ。おかげで助かったけど」

用務員:「ダルマッ娘のためなら、何でもしますよ。マサ様も、またよろしく」


(50日目終業時刻ごろ。通路にて)

真理亜:「ノルマの20体、全部無事終わったわね。助手作業履歴確認書、人事局に送ったわよ。これで藻前も一応、ドクターの端くれね。脳と脊髄しか触れないけど」

マサ:「こんなに大変だとは。もう懲りましたよ。連日スプラッタだし、売春する暇もないし...」

真理亜:「そお?、サディストにはやりがいがあるけどなぁ。藻前、筋が良いから来年も使いたいが」

マサ:「ええ−っ、取りあえず資格要件満たしたから、もう良いじゃないですか」

真理亜:「そりゃ、今はシビリアン特務士官だから動員義務はないけど、一代貴族になったら義務なのよ。腕が鈍ったら困るわ。シミュレーションでも良いけど、給料もらってやった方が良いじゃないの。有資格者になったから、次から2倍出るわよ」

マサ:「そりゃ、お金は大事ですが...」

真理亜:「整備兵の報告だと、藻前が担当した娘は、フェラチオや性感が好調な娘が多くて評判いいのよ。将来クピドタワーで使える娘を沢山確保するためにも協力しなさい!」

マサ:「へいへい。真理亜様に嫌われちゃ夢も叶いませんから...(でもスプラッタ嫌いorz)」

(苦痛、血、涙、失禁、...地獄の50日も無事終わってみれば、良い思い出になりませんかね。
マサには無理かしら。次回予告:(20)メテオ計画 うちの娘たちは久しぶりで宇宙に出る予定です)

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