−−(23)準侯爵マサ−−


(地下鉄 特区境界駅)

キャサリン:「あの2人入っていったわ。たぶん、落としたカードも切符ね。試してみよう」

真理亜:「(公用体内通信#貴族特権モード#公共施設緊急管理)扉ロック開放..開閉確認..復旧(/公用体内通信)」

キャサリン:「開くわ。やっぱりこれが切符だったのね。この地下鉄が首都に通じてると良いんだけど」

マサ:「ついてきてますか?」

真理亜:「扉の開閉があったから来てるわ。心配なら、視覚に監視カメラ繋いでみたら?」

マサ:「ああ、来てる来てる。エスカレーターに戸惑ってますね」

キャサリン:「うっそー。なんて長いエスカレーターなの!。先の方が暗くて見えないわ。ここで転んだら危険だわ」

マサ:「やっと乗ったか」

キャサリン:「え?、進み出したら椅子が出て来たわ。なるほどこれなら安全鴨。座ってみよう。あ、明るくなった。座ると点くのか。でも、椅子つきエスカレーターだなんて、いったい何処まで続くのかしら。深さ100m以上ありそうね。これって、核シェルターなんじゃ?」


(地下110m 始発ホーム)

真理亜:「どうせ憑いてくるから、座っていようか。聞こえるように宮殿の噂をするのよ」

マサ:「宮殿に一般人が入れるように思いこませて誘導するんですよね」

キャサリン:「これは?リニア式かな。それにしてはトンネルの直径が無駄に大きいわ。やっぱりシェルターを兼ねてるのかしら。地下鉄に違いなかったけど、駅名表示も路線図も無しか。まるで関係者専用ね。行き止まりで始発のようだから選択の余地無しね」

マサ:「乗ってきましたね。近くに行きますか?」

真理亜:「奴が座ったら、2つ離れたボックスに移ろうかな。あんまり近くも怪しまれるからね」

キャサリン:「地下鉄にしては随分広いボックスシートね。角の設備はトイレ?。向かいはテーブルまで憑いて、まるでバーみたいね。おかしいわ。無人運転のようだし、そもそもこの国に長距離列車が走るところがあるの?。他の島に通じてるってことは無いわよね。荷物棚が異様にごついわね。あ、昔のりもの図鑑で見た、亜細亜のどこかの島国にあったという寝台電車ってのに似てるわ。3段式とか言う窮屈なやつね。もしかしたら、他の島に行くんじゃなくてシェルターとして使うときの居住用なの鴨」

マサ:「宮殿下の出入り口は3両目が近いからこの辺に座ろうよ」

真理亜:「そうねえ、市民謁見会の時間までぎりぎりだから、近くに座った方が良いわね」

キャサリン:「!!(耳ダンボ)、市民謁見会?。皇帝の居所に行くの鴨。あ、動き出したわ。案内放送も無いなんて...。あら、もう停まった。こんなにちょこまか停まるなら、長距離列車ってことは無いな。拾った切符じゃ不安だもんね。よかった」


(宮殿下駅付近)

マサ:「えーと、うちの地区の請願て、ダムと橋と道路と売春福祉会館の建設で良いのよね?」

真理亜:「地下鉄の延伸もでしょ。でも、あんまり欲張って風俗営業税が増税になったら困るわね」

マサ:「あ、次よね。(体内通信)降りたらどうしますか?(/体内通信)」

真理亜:「うん。(体内通信)陛下にメールしたら、直接地下法廷に誘導するようにだって(/体内通信)」

キャサリン:「あ、降りるつもりね。あんまり近くを憑いていくと怪しいから隣の車両から出ようかな」


(宮殿下駅ホームから宮殿地下区画に通ずる通路へ)

キャサリン:「あの二人、居ないわ。しまった、離れ過ぎちゃったかな。まあいいわ、出口らしいのは1カ所みたいだし」

真理亜:「(公用体内通信#貴族特権モード#公共施設緊急管理)扉ロック開放..開閉確認..復旧(/公用体内通信)」

マサ:「きょろきょろしてるから遅れてますね。ゆっくり行って姿見せてやらないとエスカレーター上がっちゃいますよ」

真理亜:「そうね。念のためエスカレーター停めとくわ。上のゲートは通れないけど、帰ってくるの待つのはかったるいし。(公用体内通信#貴族特権モード#公共施設緊急管理)エスカレーター休止(/公用体内通信)」

キャサリン:「通路の途中にエスカレーターか。どっちに行ったんだろう。乗ってみるか。あれ?。動かない。赤ランプ点いてる。まさか、こんな長い階段誰も歩かないわよね。この狭さは保守作業用のようだし。きっと、通路の先の方だわ」


(宮殿地下区画入り口)

マサ:「この先の誘導はどうしますか?」

真理亜:「ここのディスプレイを操作してニセ案内板に仕立てるわ。法廷の場所に市民謁見会場って表示すれば来るでしょ。(公用体内通信#貴族特権モード#公共施設緊急管理)ディスプレイに体内CPU画像クリップをコピペ(/公用体内通信)」

キャサリン:「やっと案内板があったわ。よかったー。えーと、宮殿地下区画・一般市民解放エリア...あ、ここかな。市民謁見会場、あの二人きっとここに向かったのね。しかし人気がないわね。時間がないとか言ってたから始まってるのかしら。2フロア下に降りて、階段の真っ正面ね。地形は判らないけど地下鉄の深さからさらに降りるなんて、宮殿もシェルターなの?」


(宮殿地下、最高法廷=ニセの市民謁見会会場)

マサ:「キタキタ。手回し良く検事と国選弁護人が待機してますね」

真理亜:「閉じこめるわよ。(公用体内通信#貴族特権モード#公共施設緊急管理)扉ロック(/公用体内通信)」

キャサリン:「え???。5人しか居ないわ。始まってないのかしら」

侍従:「お嬢様、こちらのお席にどうぞ(被告人席ドゾー)」

キャサリン:「あ、ありがとう」

侍従:「皇帝陛下のおなーりー」

キャサリン:「あの顔は間違いなく皇帝だわ」

皇帝:「みなさんようこそ。では始めましょうか。検事総長、起訴状朗読!」

キャサリン:「え?、起訴状?。謁見会って裁判なの?」

検事総長:「起訴状。被告人、名不詳、年齢不詳、住所・経済特区外国人住宅地区xx商事社宅、職業、不詳。右の者は、本日午前5時頃、勅令の特定技術開示規制令に違反し無資格で経済特区と本国の境界を越境した。また、本日午前6時頃地下鉄特区境界駅改札付近においてICカード1枚を拾得、刑法に違反しこれを横領した。以上の違法行為のうち勅令の特定技術開示規制令の違反は極刑相当罪のため、検事は最高法廷において起訴する」

キャサリン:「え?」

皇帝:「国選弁護人、反論をどうぞ」

国選弁護人:「被告人の人定に不服です。名、年齢、職業を特定して下さい。罪状については証拠開示を求めます」

キャサリン:「私のことじゃない鴨。えい、立ち去っちゃえば...あ、扉が開かない」

皇帝:「被告人、着席しなさい」

キャサリン:「ダメか。誰も武器は持ってないわ。ガーターの拳銃で...ばれちゃしょうがないわね。でも随分無防備ね。こちらには、武器があるのよ。死にたくなかったら扉のカギ、開けて下さらないかしら、皇帝ちゃん」

皇帝:「撃ちたければご自由に。じゃ、勝手に裁判を続けます」

キャサリン:「なめるなー、氏ねー!」

皇帝:「眉間に一発、左胸に一発か。優秀ね、拳銃の国の工作員さんは。でも武器の方はダメね。徹甲弾使わなきゃ意味無いでしょ。一応、傷は付いたから、外装修理費はあなたの遺産から弁償してね」

キャサリン:「えっ、効かない。サイボーグの噂は事実か。ならば、そっちの侍従はどうだ...」

皇帝:「ロイヤル・ストレート・フラッシュー!」

真理亜:「デルタ・ゼロビーム!...一瞬陛下に後れをとったか」

キャサリン:「ぎゃああ、熱ぃぃぃぃ。手が...」

マサ:「ほい。これ取り上げさせて貰うわね。この国は死刑無いから、そんなに気を落とさずに、裁かれましょ」

侍従:「観念して、こちらにお座り下さい。さあ」

キャサリン:「くっ、内蔵武器か。ふん、煮るなり焼くなり勝手にしてよ。ぷいっ」

検事総長:「起訴事項の緊急追加を申し立てます。たったいま、被告人は銃砲不法所持罪、傷害罪および不敬罪の現行犯となりました。次に、被告人の人定ですが、被告人は外国の工作員である疑いが濃厚です。よって真の本名および年齢の確認は不可能であります。職業も表面上はxx商事社員ですが、真の職業でない疑いが濃厚であり、真の職業を確認することは不可能であります。経済特区入国時の虹彩登録データより、外国人であることは明白であり、越境資格がないことの立証は十分です」

国選弁護人:「人定に関する検察官の答弁を承認します。では、証拠の開示を求めます」

検事総長:「証拠として証人の視覚バックアップデータ開示承認を要請します。証人名、マサ、年齢、37歳、住所、宙軍省借り上げ官舎、職業、宙軍軌道警備部隊第三小隊長・特務中尉および郭クピドタワー・売春婦、開示要請期間、本日5時から6時」

マサ:「げっ、歳ばらすなよ。コギャルの立場に配慮が無いなぁ。年齢は不詳に訂正して下さい」

検事総長:「あ、失礼しました。年齢は不詳でありました。裁判記録の訂正を申し立てます」

皇帝:「証人は当該視覚データにつき重要なプライバシーが含まれるときは、上官の検認を経てモザイク処理を要求できます。要求しますか?」

マサ:「歳ばらされて今更...モザイクは必要ありません。開示を承認します」

皇帝:「証人は宙軍省サイボーグ管理サーバーのマイページからスクリーンに視覚バックアップデータを転送して下さい」

マサ:「はいただいま。(体内通信)マイページ素体番号認証、映像データ送信...」

皇帝:「被告人、この映像に映っているのは貴女本人に、間違いないですね?。異議はないですか?」

キャサリン:「(暗かったのにぃ、こんな鮮明に...)ぷいっ」

皇帝:「被告人は異議なしと認めます。弁護人はどうですか?。また、情状につき意見はありますか?」

国選弁護人:「証拠は承認します。情状について、被告は自らここに来たので自首を主張します」

皇帝:「自首の情状は認めましょう。検察官は求刑を」

キャサリン:「(情状酌量?ひょっとして極刑なし?情報取る気?)ぷいっ」

検事総長:「勅令の特定技術開示規制令の違反に関して人権削除刑、これについては情状酌量の制度がありません。占有離脱物横領罪について禁固3ヶ月のところ自首を認めて禁固3時間。銃砲不法所持罪について禁固3年、傷害罪について禁固5年、不敬罪について禁固10年をそれぞれ求刑します。なお、外国工作員によるA級犯罪ですから、人権削除刑に伴う逃亡予防緊急処置の即時執行を求めます」

皇帝:「弁護人、最終陳述を」

国選弁護人:「情状に関する配慮ありがとうございます。以上」

キャサリン:「ちょっとぉ、どこが情状酌量なのよぉ!」

皇帝:「やっと口をきいたわね。でも遅いわよ。被告人は不規則発言をやめなさい。判決を言い渡します。主文。 被告人を人権削除刑に処する。逃亡予防緊急処置の即事執行を認める。他の求刑について人権削除刑を優先し刑を免除する。判決理由: 特定技術開示規制令の違反に関して物的証拠が認められる。判決は以上ですが、被告人が外国人であることに配慮し、帝国の刑罰について特別に説明します。人権削除刑とは、帝国において死刑廃止に伴い施行された代替刑です。本刑の被執行者は、身体を含むすべての所有権を国家に接収されます。身体の所有権喪失に伴い、新たに非人の身分が付与され、国家が飼養する動物として扱われます。生命は積極的に奪いませんが保障しません。身体の所有権喪失は脳にも及ぶため、人権は一切認められず、サイボーグ素体のように新たな身体を私費で購入し所有することはできません。動物としての飼養目的は、主として実験用となりますが、状況により民間に払い下げられ、転用される場合もあります。逃亡予防緊急処置とは四肢の取り外しのことです。被執行者が生身の四肢を有する場合は切断するということです」

キャサリン:「それじゃ、動物だって虐待じゃないのぉ!」

皇帝:「帝国には、岩石や機械や植物を動物の下に置いて差別する法制度はありません。万物みな公平にが理念です。では、逃亡予防緊急処置の即事執行を認めたので、執行官を指名します。真理亜、マサ、以上の者は直ちに執行にあたりなさい。執行場所は当法廷の下層に設けた執行区画とします。生身だから第二処刑室を使用すること」

マサ:「えっ。それって私らで四肢の切断をやれってことですか?」

真理亜:「当然でしょ」

マサ:「だって私は脳外科限定だから無資格じゃないですか」

皇帝:「非人は動物ですよ。そもそも医師免許なんか要りません」

マサ:「はあ。だけどぉ、スパイ捕まえたらご褒美かと期待したのに、代わりにスプラッタ仕事ですかぁorz。」

皇帝:「あ、ご褒美のこと言い忘れてました。実はこのたびの冥王星到達に伴いサポート作戦の実行者に昇進を発令予定でした。貴女にはここで発令します。それから、北米連スパイ捕獲の功績でもう1階級昇進を発令します。これで特務少佐ね。それから、資格を満たしたので、ここで貴女を準侯爵に叙爵します。1代貴族になったからには、改造手術動員義務があります。改造手術動員義務には、人権削除刑に伴う非人の手術も含まれます。これで納得したかしら。じゃ、第二処刑室にGO!」

真理亜:「マサ、引っ立てるからこいつの左側押さえなさい。さあ来いっ!」

キャサリン:「いやぁぁ、許してお願い。神様仏様皇帝様...」

皇帝:「ごめんね。私には、一度出した判決を覆す権限は無いのよ。お詫びに手術を上の見学室から見守ってあげるわ。(ホントは素質の良い非人が少なくて困っていたのよ。やっと遠隔地開発用制御装置”人柱”の試作が出来るわ。これで、カイパーベルト開発の道が開けるかも。北米連情報局には感謝しなくちゃね。楽しみぃー。でも、つい、はずみで発令しちゃったけど、マサの叙爵は早すぎたかなぁ。まあいいや。手術手術...)」


第二処刑室 皇帝の見おろす場所から)

真理亜:「マサ、私は右手固定するから、左足固定して。済んだら手足交代でもう一回固定ね」

キャサリン:「いやあ。やめてお願い」

マサ:「こっちも嫌々やってんのよ。しっかし、往生際が悪いなあ。ホントにこれでもスパイですかねえ」

真理亜:「欧米人は最後まであきらめない教育たたき込まれているからね。軍人なら少しは見習った方が良いわよ。固定できたね。それじゃ、はさみで服切り取りなさい」

マサ:「はは、なんだか変態強姦魔みたいですね。...うわー金毛、毛むくじゃら。手入れ悪いなぁ。セクースする暇もない生活だったみたいですね。スパイったら体を武器にってイメージあるけど、かっこわるいなぁ」

真理亜:「手足、根本から切るから脇と陰毛剃って」

マサ:「足、もっと開けないかな。これじゃやり辛いんですけど」

真理亜:「これで、固定台を回転して手足の位置が調節できるのよ。ほら」

キャサリン:「いやあ、やめてー」

マサ:「うるさいなあ。あっ、暴れるなよ。おまんこに傷が付いちゃうよ」

真理亜:「少しぐらい傷つけても良いわよ。どうせ明後日には生ゴミになるんだから」

マサ:「生ゴミ?。どういうことですか」

真理亜:「手術動員命令書見てないの?。CCで行ってるでしょ」

マサ:「あ、なになに、本日は逃亡防止緊急処置実施のこと。明後日まで休息後、上半身部分のみ脊髄を付けて脳摘出、人柱に移植せよ。何なんですか?。人柱って。サイボーグボディの機種名みたいですが変な名前ですね」

真理亜:「無人惑星開発施設の保守管理用制御装置として冥王星のような遠い惑星に残置するための特殊ボディ試作機よ。そこに置いてあるじゃないの、ほらその右側のやつよ」

マサ:「えええっ、見慣れない装置が置いてあると思ったけど、あれってサイボーグ体なんですか。ボディってより、ただの円筒じゃないですか。実験動物とはいえ酷いなあ。性器すら憑いてないなんて」

真理亜:「ちゃんと両脇に目とマニピュレーターがあるでしょ。長期残置用だからメンテナンスフリー化のため余計なものは憑かないの。その代わり、耐放射性が良くて、補給も豚に頼らず水と玄米を入れるだけで生命維持が出来る優れモノよ。保障はないけどね。原案では信頼性向上のため目とマニピュレーターも省いてたんだけど、単独で最低限はセルフメンテを出来るように復活したのね。このボディの欠点は性器がないことと、脊髄を半端なところで切るから一度これに移植してしまうと一般のボディに移せないことね。そのため、通常の素体に適用すると基本的人権である売春権の侵害になってしまうから、非人が出ないと使用出来ないのよ。非人なら何でも良い訳じゃないわ。もちろん男は使えないし、無人の惑星開発施設を一体だけで保守管理する素質も必要よ」

マサ:「言われてみれば、ボディに見えてきますね。昔、古典の物語で出てきたデッキマンとかいうサイボーグに似てるなぁ。だけど、非人素体がいくら有能でも敵のスパイじゃ、手の届かないところに置かれてちゃんと働きますかね?遠隔地用だと自律的な判断能力がいるから、人格壊すような脳改造は出来ない筈ですよね」

真理亜:「無人開発施設の最重要業務は水資源の確保でしょ。これを怠ると人柱に補給する玄米が生産できなくなるのよ。だから、敵意があっても生存意欲があれば使えるわ。欧米人は教育や宗教のせいで一般に諦めが悪いから好都合よ」

キャサリン:「うわぁぁぁぁん、いやー、えーん...」

マサ:「あーあ、泣いちゃった。しかし、明後日移植だとBCI訓練も無しでしょ、大丈夫なんですか?」

真理亜:「操作は舌と声帯の運動神経だけで音声入力主体のシンプル設計になってるから要らないわ。お、剃毛済んだわね。手を洗ってこようか。それから藻前は眼球をアイビームに替えてくるのよ、止血に使うから」

マサ:「断端血管の止血処置はきちんとしなくて良いんですか」

真理亜:「2日保てばいいから、ビームで焼いて止めておくのよ。太いの1,2本は縛るけどね」


(10分後)

真理亜:「非人の消毒はそこのミニシャワーで消毒液かけとけばいいわ。失禁の処理もそれで洗うのよ」

マサ:「これですか。なるほど、失禁は下の溝に落ちるんですね。はい、洗いましたよ」

真理亜:「電気鋸回して。まず左足からね。適宜アイビームで切り口を焼きながら切断するのよ。簡単でしょ」

マサ:「あれ?。麻酔は?」

真理亜:「その電気鋸は特殊なやつで刃の微細穴から麻痺剤が少しずつ出るから、あんまり痛くないのよ。便利でしょ」

キャサリン:「いやー。やめて。お願い。全財産上げるから」

真理亜:「財産なんて全部接収されたでしょ。くれるモノもないくせに。諦めなさい。マサ、ぐずぐずするな」

マサ:「昇進と引き替えとはいえスプラッタやだなぁ」

真理亜:「情けないこと言ってると結婚してやんないぞ」

マサ:「え、今なんて...えーい、しかたない。ざくっと」

キャサリン:「ぎぃぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ...」

マサ:「うわー、血がこんなにぃ、とにかく止めなきゃ。ラブラブ光線、ラブラブ光線、ラブラブ光線。うっ、骨に届いた手応え。えいっ、骨切れた。よし、残り一気にプチッと。うわ、また血がラブラブ光線」

真理亜:「切った足ちょっと横にどけて。止血アシストするわよ。デルタ・ゼロビーム」

マサ:「ラブラブ光線。よし止まった。太いのも止まりましたよ。このアイビーム強力だな」

真理亜:「そういえばやけに良く効くわね。波長も短かそうだし。準備室に備えてあったの?」

マサ:「準備室で換えようとしていたら、陛下が現れて自分の目玉外してこれを使えと仰せに」

真理亜:「どうりで。それは当たり光源を組み込んだ選別品ね。レーザーって光軸調整のばらつきが大きいでしょ。皇族方の中には、優秀な工員が組み立てた中から1%位取れる選別品のアイビームを使う方もいるのよ。平均的なものの30%増しぐらい、威力があるそうよ。それをくれてしまうなんて藻前も気に入られたものね」

マサ:「言われるままに装着したのですが、そんな貴重品とは光栄な。安易に使って良かったのかしら」

真理亜:「下賜されたってことでしょ。ありがたく頂いておいて、有益に使うよう心がければいいのよ。藻前も今日から平時の内蔵武器搭載が許される身分になったから、後で外して返す必要は無いわ。但し、陛下や東宮様に気に入られると良いこともあるけど、難しい任務も来やすくなるから気を引き締めなさい。次、右腕よ。足ばかり先に切ると、暴れやすくなるから、対角で切っていくのよ」

キャサリン:「ううう...痛ぁい。もうやめて。お願い。」

真理亜:「まだ4分の1じゃないの。少しは麻痺剤も効くのに音を上げるの早すぎるわよ。マサ、始めなさい」

マサ:「はいはい。電気鋸始動、回転数よし、ざくっと...ラブラブ光線、ざく、ラブラブ、ごり、ラブラブ...」

キャサリン:「うううぎぃぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ...ぶくぶく、がくっ、じょろろ−」

真理亜:「根性無しのスパイねえ。もう、気絶失禁か。しょうがないなあ。洗ってやるか。マサは、そのまま続行!」

マサ:「ざく、ラブラブ...泡吹いてますね。呼吸大丈夫かな」

真理亜:「右腕完全に切れたら、診てやって。痰吸引機で吸えばいいと思うけど、やばそうだったら挿管かな」

マサ:「右腕一丁上がり。どれ、呼吸は?。ちと心配ですね。鼻から酸素チューブ突っ込みます。つんつん」

キャサリン:「ひくっ、ううううううう痛ぁい、もう殺せ...」

マサ:「酸素入れたから、気がついたようですね。」

真理亜:「じゃ、次、右足よ」

キャサリン:「やっぱり殺さないでぇ、お願い、やめて...」

マサ:「べつに、殺そうとしてる訳じゃないのよ、ただ逃げられないように手足外すだけだってば、はい、ざくっ」

キャサリン:「あうぎぃぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ...」

真理亜:「たかが、手足外すぐらいで、騒ぎすぎねえ。まったく。こりゃ、明後日もうるさそうねえ」

マサ:「脳摘出は全麻でやるんでしょ」

真理亜:「非人の場合は、首の血管処置と開頭はカッターから出る麻痺剤で簡易に痛み弱めるだけなのよ。トランスポンダ付けるときは、神経じかに弄るから、発狂しないよう外部維持から全麻かけるけどね」

キャサリン:「ひいい、ガクブル((((;゚Д゚)))...、じょろろー」

真理亜:「また失禁、ったくもう。藻前が余計なこと聞くから。はい洗浄。マサ、あと左手一本で終わりよ」

マサ:「はいはい。とりあえず、この場を逃げたいんで、一気にざくっと、ラブラブ光線も連射...」

キャサリン:「ぎゃぁぁぁぁぁぁ...ううう、がくっ、じょろろー」

真理亜:「終わったのは良いけど、また気絶かよ。マサ、腹の静脈に点滴刺しといて」

マサ:「はい、ぐさっと。これで明後日まで保つんですよね」

真理亜:「栄養液に抗生剤と鎮静剤が混じってるからたぶん保つわ。手足無くなったから、暴れようもないし。手は、検察が処刑の証拠として回収するし、足は部品センターが取りに来るからそのままで良いわよ。とりあえず今日はご苦労さん。帰って休みなさい。明後日、来たらすぐ軸索誘導剤点眼と剃髪ね」

マサ:「はい、その手順は身に付いてますから。お疲れ様でした」


(翌日、カロンからのテレビ中継)

マオ:「地球の皆さん、毎度お邪魔します。先日はアクシデントでの中止、大変失礼しました。執念深いのが取り柄の私たちなんで、しつこくカロンからアイスショウをお送りします。今日は成功させますよぉ」

ミキ:「先日の事故原因は低重力でいい気持ちになってついついジャンプを高くしすぎたせいです。寒い中、カメラが追うのも大変でしたので、今日は高さを控えめにします。小手調べにダブルアクセル8連発ぐらいから行ってみましょう。...やっぱ楽勝でしたね。自信出てきました。では、加速付けて、9連続4回転ジャーンプ!...あっさり成功しました」

マオ:「では私も。いきなり大技も危ないんで、こんな生き物のいなそうな場所ですが、白鳥の舞い...。うん、調子出てきましたよ。それでは、低めに9連続4回転ジャーンプ!...成功しました。続けて、2人一斉に、9連続4回転ジャーンプ!画面ぎりぎりだったかな?。映ってる?。収まったようですね。今日は、大技で度肝を抜くのもほどほどにしなきゃいけないので小道具を使ったネタをお見せしましょう。この透明なボール、何で出来てると思いますか?。ただの氷じゃないですよ。酸素の氷です。落としてみましょう。よく弾みますね。ゆっくり圧縮しながらここの寒さにさらして透明な結晶にしましたので割れないようです。これを手鞠にしてつきながら滑ってみましょう。こりゃ面白い。じゃ二人でパスしながら。ミキ、いくよー」

ミキ:「はい、..はい..はい。では交互にダブルアクセル入れながら。ほい、ジャンプ、ほい...。え、もう時間無いって?。楽しいことはすぐ終わっちゃいますね。そろそろフィニッシュ行きますよ。わざわざカロンでやってみせるような技じゃ無いですが、一応見せ物ですのでイナバウアー。まだまだ...。低重力なのでいつもより長くなっております。止まりませんね。このまま最後まで続けます」

マオ:「こっちもフィニッシュ決めないといけないですね。高速片手ビールマンスピン行ってみますね。おおー、低重力だとなかなか勢い落ちませんね。目が回るぅ...回る回る、回ったままで失礼します。でわまた」


(北米連大統領官邸)

ヤブー:「またあのバカ娘どもか。ありゃあ、やっぱり人間業じゃない。神を恐れぬサイボーグ娘どもめが。失敗してぶっ壊れちまえば良いんだ。ところでコメー、情報収集はどうなっているんだね」

コメー:「情報局がP国駐在の工作員に探索を命じたのですが、越境後すぐに音信が途絶えたそうです」

ヤブー:「捕まったかな。小娘帝国が、何か言ってきても”当局は一切関知しない”で押し通せ」

コメー:「救出作戦や新たな工作員の投入はさせなくて良いですか?」

ヤブー:「境界警備は厳重のようだから無駄な犠牲は増やしたくないな。衛星偵察はどうだ」

コメー:「衛星写真では、ビルや民家が僅かに点在するだけでジャングルだらけのまさに自然保護地区です。変わったものといえば東海岸のロケット打ち上げ場と太陽熱や潮汐を利用するらしい発電施設くらいですね。太陽熱を使うらしい施設に囲まれた領域は、いつも水蒸気がたなびいていて赤外線でも様子がよく判りません。もしかしたら、重要な首都施設や工業施設を水蒸気とジャングルで隠しているのかもしれませんね。水蒸気が異様に濃いので、我々の衛星を捕捉していてタイミング良く放出する仕掛けがあるのでしょう」

ヤブー:「冥王星に行ける技術があるくらいだから衛星は捕捉されていると見るべきだな。仕方ないな。潜水艦を使った情報収集活動はどうだろうか?。軍の通信電波ぐらい収集出来ないかね」

コメー:「旧P共和国の200海里水域には海底集音網が張り巡らされている模様です。潜水艦が侵入するとすぐに、海底に置かれたらしき施設から強力なソナーが発信されます。水上の警備艦も多数が活動しているようです。表向きP共和国海軍となっていた部隊です。人口規模の割にずいぶん多いので、あの帝国の本体に属する艦も混じっていると思われます。200海里内でも無害航行は許されますが、潜航は漁業への影響を理由に沿岸国が規制出来るのです。ソナーによる警告を無視して国籍不明艦として沈められた場合は抗議のしようもないです。200海里内に接近しての情報収集はリスクが大きすぎると思います」

ヤブー:「そうか、無理は出来ないな。自由に活動出来る経済特区で地道に情報収集を続けよう。それから、奴らの友好国らしき国は判るかな」

コメー:「我々の産業基盤を脅かしてでも地球温暖化を阻止するという政策ですから、小さい島国でしょう」

ヤブー:「まず、それらしい国をリストアップして、くまなく工作員を投入し、様子を探るんだ。奴らの味方とはっきりしたら、反政府勢力になりそうな連中を援助して政権転覆工作をやるんだ。奴らの友好国の現首脳なら、詳しい情報を持っている香具師が居るかも知れないだろう。そんな香具師を政治犯に仕立て上げることができれば、牢屋で締め上げて情報を取れるだろう。そうすれば、警備の厳しいところへ無理に侵入しなくて済むではないか」

(翌日、一昨日の続きで第二処刑室

マサ:「1時間前に軸索誘導剤を点眼しました。剃髪にかかります」

真理亜:「よしよし、勤勉にやってるね。これも刑罰の一環だからバリカンが詰まっても止めずに引きちぎるのよ」

キャサリン:「お、お願い。ぼ、坊主は勘弁して。小さいとき10円禿でいじめられたの、ね、ね、お願い」

真理亜:「あのねえ、髪があったら脳が摘出出来ないでしょ!。マサ、早くしなさい。今日は残業無しよ」

マサ:「マルコメマルコメ...うわ、本当に詰まった。外人の毛質はバリカンの刃が絡みやすいのかな。えいっ」

キャサリン:「い、いやぁぁぁぁ...ぎゃ、痛いっ...いやぁぁぁぁ」

真理亜:「よし、ゴミを捨てたら、まず首を消毒して切開し、血管切り替えバルブを取り付けるよ」

マサ:「シャワーかけました。首だったらマイクロカッターを用意すりゃ良いですね。ここらかな?」

キャサリン:「ぎゃっ。痛ぁい」

マサ:「あーあ。また血だよ。えい、ラブラブ光線」

真理亜:「止血やりすぎて、大動脈焼かないでよ。保護管に入れてそのまま使うんだから」

マサ:「ええ、そこは前にさんざんやりましたから判ってます。首、開きました」

真理亜:「保護管はめ込んで、もうちょい上まで組織を押し分けるように押し込んで、うんそこ」

キャサリン:「いいいい痛い痛い、ぐぇっ」

マサ:「分岐側バルブ付き人工血管差し込みます。よし、先端、大動脈に刺さりました。固定よし」

真理亜:「部品センターから足の骨髄使った造血ユニットと抽出血液来てるわね?」

マサ:「これですよね。普通は40日かかるのに、よく2日で出来ましたね」

真理亜:「試作専門の加工室でやっているから。殆ど手作業ね。よし、セットして外部生命維持装置起動」

マサ:「造血ユニットセットよし。抽出血充填よし。起動しました。分岐側に繋ぎます。バルブ開、循環開始」

真理亜:「よし、次は心臓側血管ブロックして分離、バルブ管取り付けね」

マサ:「ピンチコックはこことここで良いですね。じゃ血管ここで切りますよ。...うわ、中に残ってる血が」

真理亜:「嫌いでもそこはビームで焼くなよ。一気にバルブ管挿入。抑えたまま上のピンチコック取る!」

マサ:「ふう、保護管と繋がりました。隙間充填ジェル注入します」

真理亜:「結合良いようね。Y字カバー接着して良いよ。ん、それじゃあ脳摘出にかかろうか」

マサ:「普通の素体だと背割りだから、うつぶせに裏返しますよね。同じで良いですか」

真理亜:「脊椎が胸から上だけで良いから、あの専用スタンド持ってきて、立てて摘出するのよ」

マサ:「ああ、これですか。よいしょ、結構重いな。ここに置けばいいですか?」

真理亜:「いいよ。じゃ、二人で両脇から頭と胴支えて、立てるわよ。せーの、上げて、降ろして、よし」

キャサリン:「うううう」

真理亜:「じゃ、頭のてっぺんから背にかけてよく消毒よ」

マサ:「こんなもんで良いですよね。開頭もここ専用の器具使うんですよね。どれだっけ?」

真理亜:「スカルプオープナーよ、そこのU字型のマウントに小さな丸鋸が乗ってるやつよ」

マサ:「ああ、これですか。こりゃ、額に横一線でモロ傷が付きそうだ。まあ関係ないか。脳摘出だから」

キャサリン:「ひいい、ガクガクブルブル((((;゚Д゚)))、じょろ−」

真理亜:「また失禁か。でも間もなく最後ね、排泄は。じゃあ、オープナーのクランプ額に填めて」

マサ:「こうですか。えい...きついな、んむぎゅっと。量端の穴でアンカーピン刺すんですよね。こうか」

キャサリン:「むぎぇっ。...っぎゃあああ」

マサ:「やけに痛がるなぁ」

真理亜:「そりゃそうよ。アンカ−ピンの先は安定のため、こめかみの骨に食い込むようになっているんだから。じゃあ、頭のてっぺんからもう一度消毒液ふりかけて、オープナー始動よ」

マサ:「これくらい洗えばいいですよね。スカルプオープナーか、どんな切れ方するのかな。えい、始動。わわ、チュイーンだって甲高い嫌な音がするなあ。あわわ、思い切り血が飛ぶじゃないですか」

キャサリン:「ひぎぃぃぃやぁぁぁぁぁ...」

真理亜:「血が嫌なら断面にビーム撃ち込んで焼いて良いわよ」

マサ:「はい、ラブラブ光線...それにしても、やたら痛がるじゃないですか」

真理亜:「そりゃそうよ。表皮や筋膜だけでなく、頭蓋骨もいっぺんに切ってるんだから」

キャサリン:「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ...」

マサ:「そりゃ痛いっ、ていうかそもそも大丈夫なんですか?。手間はうんと省けるでしょうが」

真理亜:「戦争や災害でサイボーグ化しか救命しようのない重傷者が大量に出たときのために開発したのよ。刃の後ろをついていくピックアップローラーで刃が出す超音波の伝わりを検出して切る深さを調整してるの。ただ、頭蓋骨の個人差のため厚み変化が急な箇所なんかで硬膜に傷を付ける確率が1%程あってね。使う毎に動作ログを収集して改良中なんだけど、まだ非人にしか使えないから進んでないわね。仮に、改良出来ても性適合問題が解決しないと一般の男に使えないから、地軍兵は殆ど救えないけどね」

キャサリン:「あううううぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ...」

マサ:「早いなあ、もう前頭部が終わりましたね。あ、後ろの方は自動的に折れて垂直に切っていくんだ」

キャサリン:「ぎぃぃぃぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅ...」

真理亜:「頭皮の真ん中にフック突き刺しなさい。もうじき引き上げるから。上げたら切り口止血ね」

マサ:「ざくっと。これで良いですか?」

真理亜:「たぶん良いと思うけど、軽く引いてみて...うん良さそうね」

マサ:「あ、止まりました。引き上げて良いんですよね。あ、ぱかっと取れてきた。ただの蓋みたい。やっぱ硬膜に少し傷があるか。で、切り口にラブラブ光線、連射...外れた頭頂部はどうするんですか?」

キャサリン:「あうぎゃぁぁぁぁ...。あちっあちっ...ううう」

真理亜:「そっちのゴミ箱で良いわよ。何も使い道はないからね」

マサ:「禿の移植治療なんかに使えませんかね。拒絶反応があってダメか。使えりゃ父に上げたいけど」

真理亜:「バカ。無理でしょ。それに、もし成功しても外人みたいな髪で良いの?。さて、摘出か。そろそろ痛いの終わりにしてやるかな。外部維持装置から全麻注入して。効いてきたら水中作業用意!」

キャサリン:「うううう、痛い、痛い、ぅぅぅぅ....しーん」

マサ:「ああ、うるさかった。あんまり刑罰規則ばかり言わないで、早く全麻入れればいいのに」

真理亜:「何言ってんの。今日の仕事は術者じゃなく、執行官なのよ。さあ、水中取り出しよ」


(この先しばらくは、先日の(19)の >>50 からと大差ない作業となります。毎度長すぎるので省略。)


(約2時間後、生食槽で脳のケース組み込み終了時点)

マサ:「ふう、できた。脊髄の接続が上の方だけだったから楽でしたね」

真理亜:「これだけ短いと搭載時の取り扱いも楽よね。脊髄機能の完全人工化が出来たらいいのに」

マサ:「でも、性感の個人差が無くなるのは寂しいですよ。売春客だってつまらないんじゃないですか」

真理亜:「それもそうね。こいつら非人にはそもそも関係のないことだけどね。さあ、出ようか」

マサ:「クレーン上げます。...さて組み込みですね」

真理亜:「先に2個目の造血ユニットを組み込むわよ。上蓋開いてるから円筒の上からソケット見えるでしょ」

マサ:「ああ、ここに差し込むんですね。中間液は何処に入れるのかな」

真理亜:「側面ハッチ内に注入口があるわ。長期無補給仕様だからリザーブタンクでかいわよ」

マサ:「これ、金属外皮が分厚いですね。断面見ると3層構造か、耐放射が厳重なんだな」

真理亜:「チタンで鉛の層を挟んであるのよ。我々のような宇宙滞在制限が要らない筈なんだけどね」

マサ:「なるほど。これじゃあ胴体を曲げたり出来るようには絶対なりそうもないですね。まさに人柱だ」

真理亜:「非人柱と呼んだ方がいい気がするけど、発案者が語源にこだわったらしいのよ」

マサ:「さっきのソケット1個だったけど、こいつの生命維持装置って単一なんですか?」

真理亜:「底面側にもあるわ。造血ユニットが2個しかないから組み込んでから外部維持装置のを移すのよ」

マサ:「へえ、変わってますね。我々ので言う1次・2次と機能は一緒なんですか?」

真理亜:「両系とも1次装置相当ね。惑星開発基地残置用で宇宙遊泳はしないから恒久維持優先なのよ。豚に依存しないためには原液を使うのも無理だし。タブレットの成分なら玄米から作れるらしいんだけど。ただ、そのために数種類の善玉菌を多段で使ってタンパク合成をやるので無呼吸化は無理なんだって」

マサ:「じゃあ、基地が破損して真空になったら氏にますね」

真理亜:「水の電気分解で3時間ほど持ちこたえられるわ。基地の中央管理室に置くなら十分ね」

マサ:「脳、はめ込みますね。こうで良いんですか?」

真理亜:「外部維持装置のホースを折らないように気を付けるのよ。そうそう、そこよ」

マサ:「はあなるほど、この4口液体ソケットが血流2組分ですね。じゃあこの管をこっちか」

真理亜:「その状態で起動して、覚醒させるわ。テストしてから下の系を差し替えるわよ」

マサ:「こいつの電源やコミュニケーションてどうなっているんです」

真理亜:「電源は外部からのDC48Vが通常で、内蔵ニッケル水素2組が各4時間相当のバックアップね。放射線障害対策でプルトニウムは内蔵せず、移動時は移動台車からもらうようになっているわ。コミュニケーションは、基本的に基地設備管理の専用システムで互換性がないわ。ただ、それだけだと我々が命令出来ないから、サイボーグどうしのアドホック近接無線LANも憑いてるのよ。繋がっているのは声帯と聴覚の音声通話のみだからデータ通信を使って反抗する心配はないわ」

マサ:「なるほど。じゃあ、まず48V供給線を引っ張ってきますね。...ここに挿すのかな。起動釦はこれか」

キャサリン:「ぎゃぁぁぁ...あれ?、痛みが消えたわ。ランダムな光だけで何も見えない。ここは何処なの?。ひょっとして来世?。あいつら、死刑はないとか言って、嘘だったのか。さんざん痛めつけて...畜生!」

真理亜:「こらぁ!。戯れ言言ってないで返事しろ、へたれスパイめ」

キャサリン:「その声は!。ホントに脳だけにしやがったのか。この人でなしどもめ。地獄に堕ちろ」

真理亜:「人でないのは藻前の方だろ。ま、どうやら声帯と聴覚は繋がっているようね。さてと、おい非人!」

キャサリン:「ぷいっ」

真理亜:「反抗するなら好きにしても良いけど、目ぐらい見えた方が良いんじゃない?調整してやろうか?」

キャサリン:「くっ、いつか復讐するためには一応言うことを聞くか」

真理亜:「ほれ、直線が見えたら、わんと言え」

キャサリン:「...あ、直線、誰が犬の真似なんか。くそ、ぶう!」

真理亜:「見えてるようだな。じゃあこれは?」

キャサリン:「わっ、何これ、ポケットゲーム機みたいな荒い画面、何、”ぬるぽ”、バカにするな、ガッ!」

真理亜:「どうやら、見えるようになったみたいね。お前の視覚はピクセル少ないから一生そんなものよ。ほら、繋がっている神経に見合った、安物の眼球と腕を繋いでやるよ」

キャサリン:「きゃあ。何、このgifみたいな視界は。あ、お前ら目の前にいたのか。畜生!」

真理亜:「マニピュレータ振り回してるから腕の神経も良いようね。後は舌か。おい、舌延ばしてみろ」

キャサリン:「ふん、誰が、べーだ。あ、しまった」

真理亜:「実体が無いからちゃんと伸びたか判らないけど、舌押し反応LEDは点いたわね。よくお聞き。これからお前が与えられる仕事でコンピュータ操作するときは、舌の神経がマウス代わりだからね」

キャサリン:「ふん。誰がお前らなんかの仕事を。ぷいっ」

真理亜:「いまに従いたくなるわよ。ほれ、苦み信号最強でどうだ」

キャサリン:「う、苦ーい。ぐげええ。は、吐けない。ごええ...」

真理亜:「わかったかな。痛覚が無くても罰を与える方法は用意してあるんだよ。ま、止めてやるか」

キャサリン:「こんな酷いことしやがって、今に世界最強のわが軍がお前らを滅ぼして救出してくれるわ」

真理亜:「負け犬の遠吠えしてるけど、生きる意志は残っているようね。よしもう一組の血流も差し替えて。マサ、外部維持装置の造血ユニット取ってきて。来たね。じゃ、持ち上げて。出来たわ。マサ、終了報告出して」

マサ:「送信しました。上下に蓋はつかないんですか。あと、こいつ、これからどうなるんですか?」

真理亜:「宙軍研究所惑星開発施設実験部が引き取って、使えるように調教するのよ。蓋もあっちで装着するの。はい、お疲れ」


(帰り道)

マサ:「今度はいろいろありましたが、とにかく人権削除って怖い刑ですね。冤罪でなったらあんまりだな」

真理亜:「冤罪で執行される余地はないのよ。直接の物的証拠がないときは、暫定刑で終身禁固になるの。そして、時効無しで再捜査が命じられて、たとえ新証拠が出てなくても5年ごとに再審が行われるのよ。検察の尻をたたくためと、弁護側が新証拠を出す機会も与えなきゃいけないからね。証言で人権削除が執行出来るのは、改竄出来ないバックアップログを持つサイボーグが証人の時だけなのよ。まあ、今回のような事件なら目撃者が一般シビリアンだけでも地下鉄の監視カメラ映像で立証出来たけど」

マサ:「なるほどねえ。じゃあ、直接には私があいつの運命を決めちゃったのか。恨むなよぉ」

真理亜:「恨まれたって良いじゃないの。陛下の気まぐれも加わったとはいえ念願の一代貴族になったでしょ」

マサ:「あんまり急だったので、実感が涌きません。とりあえず明日からまた売春して英気を養わないと」

真理亜:「売春するのは良いことだけど、少しは優雅なやり方憶えなさい。インスタント貴族さん」


(5−407様 今も来ておられますか?。人柱のネタ、気に入ってたので勝手に使いました。ご免なさい。人柱ネタを書きたいがため、マサの昇進まで勇み足になってしまいました。年表直してつじつま合わせorz。次回予告(24)査察要求)

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