−−(31)国盗り物語−−
(西欧連 タカ派・ヌーベルラテン党大会)
党首・ルパン:「寒い!。石油を売り惜しむ異教徒のせいだ。何で俺達が我慢せにゃならんのだ!。それなのに奴らの仲間がスラムに住み着いて、我々の税金である福祉予算の世話になっている。政府は何をやっているんだ。石油を寄越さないなら、あいつらを追い返せ。受け入れないなら侵攻して再植民地化汁!。そもそも湾岸だって昔はラテン領だったんだ。今すぐに油田地帯を異教徒から取り戻し、我々の手で世界秩序を再建すべきだ」
幹事長・ジゲン:「我が党への支持はうなぎ登りだ。明後日の選挙では必ず政権を獲れる。そうなれば、我慢しなくて済むようになるぞ。党員諸君!。今こそ行動の時だ」
街宣部長・ゴエ:「一刀両断。異教徒討つべし」
党員たち:「世界秩序をラテンの手で!うぉーーー」
(西欧連のTVニュース)
アナウンサー:「西欧議会議員選挙の結果はヌーベルラテン党の地滑り的勝利となりました。党首のルパン氏は、不法移民から3世代以内の住民を出身国に追放することを公約しています。出身国が受け入れに応じなければ西欧連加盟国の有志連合軍による侵攻を行うとのことです」
(経済特区 アリババ連盟合同領事館)
総領事:「外務大臣、わざわざお越し頂き相済みません」
弥生:「お安いご用です。ご用件とは、西欧連の動きのことですね」
総領事:「ええ、我々は石油資源に恵まれていますが国土の多くが砂漠という国が多いのです。追放移民の受け入れというヌーベルラテン党の要求に従えば飢餓を免れません。拒めば攻撃されるのは間違いないでしょう。彼らは侵略するつもりで無理難題を言っているんです。地上戦ならば我々には自爆攻撃も辞さない聖戦士がいくらでも居るから負けるとは思いません。しかし、ミサイルや極超音速機を防ぐ手段がないのです。何とか助けて貰えませんか?」
弥生:「ご存じの通り、我が帝国には外国どうしの紛争に干渉しないという原則があります。例外は、国連決議によるPKOに特区自治政府の判断で特区海軍が参加することだけです。一方の当事者が常任理事国の入った西欧連では、国連決議が成立する余地がないですね」
総領事:「やはり難しいですか。助けてくれたら原油価格で配慮しますが」
弥生:「弾道ミサイルについてだけは、衛星軌道の安全確保を理由に阻止する余地があります。但し、あなた方の弾道ミサイルも同様に扱われるし、巡航ミサイルには手出しできません」
総領事:「弾道ミサイルはあっちが遙かに優勢ですから、双方使えなくしていただいて結構です。それだけでもやっていただけると有り難いです。でも、やっぱり巡航ミサイルも怖いですね。こっそりサイボーグ兵を派兵して迎撃して貰うって言うのは絶対に無理ですか?」
弥生:「我々には太股の燃料電池換気のためにミニスカートしか穿けないと言う制限があります。こんな格好でうろつかれたら、あなた方の国では風紀上お困りになるのでしょう?」
総領事:「それは...私も個人的には好きなのですが、国民の手前難しいです。わかりました。弾道ミサイルだけお願いします。ところでもう一つご相談がありまして」
弥生:「武器輸出や派兵のことでなければ伺いますが」
総領事:「そもそも言いがかりを付けられた移民問題は砂漠で食料が出来ないのが根本原因です。砂漠の緑化が急速に進められれば、移民の帰還を受け入れることだって出来たんです。あなた方が金星に落とそうとしている氷隕石を砂漠に落として貰うことは出来ませんか?大きな氷隕石を落とせばオアシスが形成されて、周囲を緑化できると思うのですが」
弥生:「満漢人民共和国には月基地の水補給用として氷隕石を売る契約をしています。単純なコスト論でしたら、およそ同重量の原油とバーターで可能ではあります。ただ、無人の金星に落とすのや月軌道渡しと違い、地上に大きいのを落とすのは問題があります。砂漠なら直接の被害はないでしょうが、舞い上がる埃で世界的な寒冷化が起きてしまいます。北米連への報復に使った2000d程度の隕石でも、北半球全体に多少の影響はあったのです。しかもあれはボタ山、即ち工場衛星が資源採掘のため穴だらけにした軽石のような隕石でした。世界的な食糧難の原因は、寒冷化よりも北米連の農地への直接被害と輸出停止が主でしたがね。恐らく氷隕石のような堅く詰まった物を落とせば、同重量でも遙かに衝撃が大きくなります。
砂漠に突然オアシスを発生させるとなると、数万dの氷が必要ですから尚更難しいですね。強行すれば北半球全体を敵に回すことになるのですから、とてもお引き受け出来ません。小さな氷隕石を繰り返し同じ場所に落とすのなら出来ますが、手間分高くつきますよ」
総領事:「一度シミュレーションぐらいやってみていただけませんか?原油の高騰で我々には十分な資金がありますし、水があれば原油ばかりに頼らずに済むんです。我々の原油輸出が減ることは、地球温暖化阻止というあなた方の政策に合致するのでしょう」
弥生:「試算はしてみますが、気候変動を許容範囲に抑えると砂漠緑化効果はないかも知れませんね」
(帝国御前会議)
弥生:「...ということでアリババ連盟の要請のうち弾道ミサイル阻止だけはご承認下さい」
朝子8世:「あくまでも軍事援助ではなく、独自政策としての軌道安全確保ならば良いでしょう。宙軍大臣、弾道ミサイルが衛星軌道の安全に差し障るという根拠データは出せますか?」
朝子10世:「北米連のICBMについて言えば、停戦後に回収したデブリは36個です。弾頭分離の際に飛ばされたノーズコーンが多いですね。上昇中に撃墜した時は殆ど出ていません。したがって、軌道の安全のため分離前に阻止するというのは十分な根拠があります」
朝子8世:「なるほど。そのデータを外務省から世界のメディアに流しなさい。我が帝国は、軌道の安全のため全ての弾道ミサイルを上昇中に迎撃するとのコメント憑きでね」
弥生:「砂漠緑化向けに氷隕石を販売することは、安全性につき要検討として回答を保留しました。実際のところ、出来るものなのでしょうか?」
朝子10世:「今のところ大きな氷隕石を小分けする適当な手段が、核での発破しか無いんです。冥王星軌道からの遠距離輸送を考えると、わざわざ小さいのを運んだら高くつき過ぎますよ。工場衛星付近に大きな氷隕石を係留し、太陽熱で溶かして採水した使い古しを回すならアリかな。それで良ければいずれ出来るようになるけど、最初の1個が出るまでに10年はかかるかしら。アリババ連盟が大いに本気で、予約金でも入れてくれるなら準備しても良いですけど」
弥生:「なるほど。その通り回答して置くけど、総領事レベルで決められそうな話じゃないわね」
朝子8世:「先々の話もだけど、紛争があれば対人地雷とかも使われて義肢の需要が増えそうね。西欧連やアリババ連盟なら支払い能力は十分だから、そっちの営業もついでにやっておくのよ」
朝子10世:「財政は大事ですが、増え過ぎると工場要員の休養ローテーションが苦しいですね」
民部大臣:「衛生工場の義肢生産能力はもう限界に近いのでしょうか? 満漢の達磨ッ子政策特需による義肢販売数の伸びは、最近頭打ち傾向ですよね」
朝子10世:「ええ。特区の民間医療機関が手術の工夫で義肢を共用化したせいで伸びていません。こちらとしては保証外の使い方だと警告はしましたが、向こうの自己責任でやるのは自由です。同番トランスポンダの重複購入自体を差し止めるのは、基本契約上出来ませんからね。それに、満漢が強引に共用化をやっていなかったら生産が間に合わなくなったでしょう。供給能力の不足で文句を言われるよりは、自己解決してくれた方が良いような状況ですよ」
(経済特区 メタロリホスピタル)
例のダルマッ娘好き整形外科医:「これで8組72人やりましたが全部うまく動きましたね。帝国当局はトランスポンダの重複接続は保証外だと言ってきましたが、これなら心配ないです。やっぱり酉山先生の技術は凄いですよ。お陰で、収益倍増です」
酉山:「これで満漢の飢餓が回避できると良いのですが。しかし不思議ですね。最近来る満漢人は女の子ばかりじゃないですか。どういう訳ですかね?」
ダルマッ娘好き整形外科医:「ああ、それは...(おっと、言ったら怒られそうだな。酉山先生は人助けのつもりで義肢の共用化を引き受けたんだ。)満漢政府の方針でしょう。労働者が対象だから女の子の方が機械化による力のゲインが大きいためではないですかね」
酉山:「そうですか。あの娘達も能動義肢を巧く使いこなして力を発揮できたらいいですね。先生もずいぶん慣れてきたから、もうそろそろ私の契約が切れても出来ますよね」
ダルマッ娘好き整形外科医:「(ホッ。深く突っ込まれなくて良かった)更新しないんですか?」
酉山:「ええ、実は私設研究所をこの特区に移転することになって、準備のため一旦帰国するので」
ダルマッ娘好き整形外科医:「それはザンネン。一緒にやらせていただけると勉強になりますのに」
酉山:「移転が済んだらここを本拠に活動します。人体改造技術の開発案件があったらまた宜しく」
(満漢人民共和国 月面基地建設作業船)
船長:「着陸迄後一日也。酸素消費量如何?」
航宙士官:「計画量比九分也。建設作業員全達磨娘化方針大正解」
船長:「好!。上々也、即本国宛成果報告。着陸準備着手」
航宙士官:「了解。我点検、船倉内建設作業員収納所」
(満漢人民共和国 月面基地建設作業船内建設作業員収納所 別名蛸部屋 )
航宙士官:「月面苦力隊、機嫌如何?」
達磨娘・月面苦力1号:「最悪!。此収納所激狭、全裸固定、排尿管常挿、食事唯液体、超非人間的」
達磨娘・月面苦力2号:「突然連行、四肢切断、貨物取扱。我々負担何罪?。不覚自身」
達磨娘・月面苦力3号:「藻前等手足有、食事豪華、行動自由。不公平也」
達磨娘・月面苦力4から27号:「「...「禿同。待遇改善汁」...」」
航宙士官:「為酸素消費節約、此待遇必要。我不関与月面労働者人選。当局許可強制労働。不平発言者酸素濃度低減」
達磨娘・月面苦力1号:「酸素濃度低減頭痛恐怖。不平取消」
達磨娘・月面苦力2号:「苦痛不要。待遇現状可」
達磨娘・月面苦力3号:「見猿、言猿、聞猿」
達磨娘・月面苦力4から27号:「「...「同様」...」」
(スペースシェリフ・ワン 月周回軌道警戒中)
リンダ:「満漢の船が着きましたね。やはり、裏といっても境界近くに基地を置くつもりだわ」
スージー:「地球との通信の都合ってこともあるだろうから、むやみに紛争へ結びつけない方が良いわ」
リンダ:「満漢は中継衛星を使わないつもりでしょうか?」
スージー:「それらしい物は飛ばしていないようだわ」
(高速航行中の”なると”)
理美:「計画最高速度に達しました」
マサ:「推進剤の残量は約1250dです。減速時は軽いから半分なら余裕ですね」
真理亜:「よし、加速止め。慣性航行に入る。加速度警戒解除。重力ブロック始動。
引き続き前方障害物警戒。マサ、人柱の餌やりをしてきなさい」
マサ:「えーっ、なんで一番恨まれてる私がぁ」
真理亜:「この艦では藻前が一番暇なんだよ。早くやって来い」
マサ:「あいつらの嫌み聞くと疲れるんだよなぁ」
真理亜:「退屈な長期飛行では週に一度くらい疲れることもやらないと呆けるわよ。カロンに着いたら突貫工事で採水施設を建てなきゃいけないんだから呆けたら困るわ」
マサ:「はーい。やれやれ、私らは飯要らずだってのに、なんで人柱は玄米専用仕様なんだろな。しかし副長って肩書きは一見偉そうだけど、要するに何でもアリの雑用係って訳だったのね。そもそも世界の軍隊の相場だと、たった20人しか居ない船でフツーそんなポスト無いもんなぁ」
(満漢人民共和国 月面基地建設作業船内月面作業服装着室)
航宙士官:「達磨娘一体目填込完了。剛体宇宙服前面部咬合良好。六角頭螺子締込。定旋回力旋具、力量規定内。背嚢酸素供給栓開放。二酸化炭素廃気吸収器機能良好。義肢吸着。太股酸素給気栓開放。燃料電池始動良好。月面苦力1号宛命令!、月面苦力2号剛体宇宙服組付実施、以下第一当直班九人同様連鎖的組立!」
達磨娘・月面苦力1号:「横着漢!。藻前介護汁」
航宙士官:「不許反抗。酸素圧削減希望?」
達磨娘・月面苦力1号:「否。我作業着手」
航宙士官:「好。至急連鎖的組立!。半時間以内必須。組立後即刻建設資材搬出開始命令」
(スペースシェリフ・ワン 月周回軌道警戒中)
リンダ:「あ、満漢の輸送船から何か出てきました。宇宙服を着た人間かな?。えっ、何じゃあれは?!ガラスのドームが付いた鉄の箱に裸の手足が生えているわ。サイボーグなのかしら?。ぞろぞろ出てきた。裸足にサンダル履きって、なんちゅう格好してるの。格好悪いの通り越してシュールだわ」
スージー:「ズームでよく見てみようか。ふむ、あれは達磨娘ね。満漢は達磨ッ子政策やってるでしょ。拡大してドームを覗くと判るわ。達磨娘を入れた箱に、小娘帝国の輸出用義肢を付けたのよ。達磨娘は手足の分だけ酸素消費が少ないから、真空中での建設作業には向いているわ。満漢ではまだ完全なサイボーグが出来ないだろうし、出来ても人海戦術だとコストが大変だからね。箱の空調が強力なのかな。中の娘は全裸ね。実利一辺倒の満漢らしいやり方だわ」
リンダ:「あんな惨めな格好で宇宙に出されなくて良かったですよ。きっとその他の待遇も最悪だわ」
スージー:「格好悪いけど、手足が外付けなら宇宙服を剛体に出来るから信頼性は良さそうね。あれだけごつければ酸素搭載量も相当多くできるし、内圧も1気圧近くに出来るでしょう。かなり長時間の作業が出来そうよ。人数もぞろぞろ多そうだしあれならすぐに基地が出来そうね。興味深いわ。周回しながら詳しく観察しましょう。我が国もしっかりしないと資源競争に負けるわよ」
(西欧連ーアリババ連盟国境付近)
追放不法移民:「厭だ、あっちには食べ物がない」
西欧連護送兵:「さっさと歩け」
アリババ国境警備兵:「我々には今さら帰還者を受け入れる余地はない」
西欧連護送兵:「元々お前らの国の者だ、そっちで何とかしろ。さあ、おまいらあっちに行くんだ」
アリババ国境警備兵:「何を勝手な。おい、止めないと撃つぞ」
西欧連護送兵:「撃ったらどうなるかわからんのか?。空を見てみな。お前らの国なんか無くなるぜ」
アリババ国境警備兵:「ふん、戦闘機ぐらいで俺達が引き下がると思うなよ」
アリババ国境警備隊長:「待て。上の指示を仰ごう」
西欧連護送兵:「お前らの隊長は賢明だな。戦闘機だけじゃないぜ。ミサイルだって有るんだ」
アリババ国境警備隊長:「そいつはどうかな。弾道弾は使えなくなっているんだろ」
西欧連護送兵:「だったら撃ってみなよ。さあ、不法移民ども、さっさとそっちに行け!」
追放不法移民:「厭だ、食べ物のないところになんか帰りたくない」
西欧連護送兵:「見せしめに2,3人撃ち殺しても良いって言われてるんだぞ」
追放移民に紛れたテロリスト:「じゃあ、俺を撃てよ。どのみちこの爆弾でお前らは道連れだ」
西欧連護送兵:「あ、いつの間に!。うわあ、逃げろ」
テロリスト:「そうは行くか。ほれ!(自爆)」
追放不法移民:「ぎゃああ、ひいい、...」
両陣営の兵:「むむ、攻撃したな、くそ、反撃だ、撃て撃て...」
(経済特区 西欧連領事館)
領事:「...ということで、この紛争はアリババ内部の過激派が仕掛けたテロが原因です。よってテロリストの本部を破壊するための精密弾道弾については妨害しないで頂きたい」
弥生:「いかなる弾道弾の使用にも正当性などありません。必ず衛星軌道に危険が及びます。したがって我々は、その全てを上昇中に処理します。例外は認められません」
領事:「どうしてもご理解いただけないのか。アリババからいくら貰ったんですか?」
弥生:「何も貰っていませんよ。弾道弾さえ使わなければ我々は一切干渉しません。実際ね、原油値引きを餌にしたあちらからの軍事援助要請を蹴ったのですよ。あなた方の軍事力は優勢なのでしょう。地上戦でけりを付けたら良いじゃないですか」
領事:「我々にはアリババの連中のようなむやみに死にたい兵なんか居ないんだ。犠牲を必要最低限に抑えるには弾道弾の使用が必要なんです」
弥生:「そのためなら他国の宇宙ロケットがデブリに当たっても構わないと? ずいぶん勝手な話じゃないですか。ならばこちらが勝手に自衛するのはお互い様ね」
領事:「ええい、もう良い。それならあんたらの製品なんかもう買わないぞ」
弥生:「私らは押し売りなんかしませんよ。必要ないならご自由に。でも、これから紛争で手足が無くなってお困りになる方々はどう言われるかしら」
領事:「くっ。あの程度の義肢くらい自力で開発してみせる」
弥生:「それではお手並み拝見といきましょうか。うちのは非常に安いんですけどね。何しろ満漢さんが大量に買ってくれるので量産効果が上がってまして。でわ失礼」
(経済特区 アリババ連盟合同領事館)
総領事:「たびたび済みません。西欧連から何か働きかけを受けていませんか?」
弥生:「テロ組織本部を狙う弾道弾を見逃せと言ってきましたが拒否しました」
総領事:「それは助かります。奴らはテロ壊滅を口実に我々の指揮中枢を無力化する気です。紛争の発端になった自爆テロだって、もしかしたら奴らの二重スパイに踊らされた者かも。そもそも、警備兵がうようよ居るところへ簡単に爆弾が持ち込めたなんておかしいです。テロの犠牲者だって、西欧兵は数人だけで殆どが追放される不法移民だったんですよ」
弥生:「お礼や言い訳は要りません。あくまでも衛星軌道の安全のためです」
総領事:「そうでしたね。それでは、砂漠に氷隕石を落とす件はどうでしょう?」
弥生:「大きな氷隕石を経済的に小分けする方法は核爆発しかないそうで非現実的です。見込みがある唯一の方法は工場衛星の採水に使って小さくなった残りを回すことです。適当な大きさの物件が出るまでに10年くらいかかるし、計画的に用意しないと出来ません。それには相応の先行投資が必要になると言うことです」
総領事:「ふむ、氷隕石を小さくするのに10年ね。ま、将来課題ということですね。ところで、紛争で四肢切断者がだいぶ出ていましてね。急いで復帰させたい者等が居ます。100名ほど至急やってくれないかと打診したのですが、どこも満漢の先約で一杯でして。おまけに、何故か男の股関節手術はやりたくないと言う施設が多くなっていて困っています。貴女の力で何とか出来ませんか。それから、外皮を装甲仕様にできないですか?」
弥生:「手術施設が足りないなら我が公家の所有する空きビルに臨時診療所を開きましょうか。人手は貴族の整形有資格者なら4人ほど知り合いが居るので短期間なら手配できますよ。100人なら1週間で処理できるでしょう。それ以上続けるのは難しいですけど。それから、貴族なので当然女医と言うことになりますが、問題ないですか?」
総領事:「足の手術のため股間を女医に晒すのは嫌がられますが、この際仕方ないですな。聖戦士たる者、大儀のためにはそれくらい我慢せよと言い含めてから連れてきますよ。ところで、外皮の装甲は出来ませんか?」
弥生:「武器輸出にあたるので出来ません。但し標準品でもメタロリ系の外皮は強いですよ。特に膝下は硬質外皮タイプを選択すれば実力は装甲に近い性能があります。ただ...」
総領事:「それにも何か問題が?」
弥生:「メタロリ系の硬質外皮は、本来女性のファッション用として設計されています。したがって、ハイヒールブーツの形態のみになります。踵は一応選択交換式です。しかし太さはかなり自由になりますが、高さは最低でも9センチ以上になります。足首関節の構造で制約されて、それ以下ではまともに歩けるように出来ないんですよ。したがって、そちらの聖戦士に似つかわしい外見には到底なりませんね」
総領事:「非常時なのだからそれも我慢させますよ。とにかくお願いします」
弥生:「承知しました。但し、燃料タンクがある太股への被弾には気を付けて下さい。燃料電池の換気も必要なのでプロテクターを着ける場合は考慮する必要があります」
(満漢人民共和国 月面基地建設現場)
達磨娘・月面苦力1号:「穴掘、鉄骨組立、鉄板貼付。嗚呼、毎日毎日類似労働反復」
達磨娘・月面苦力2号:「全休息時間収納庫全裸磔、手足無最悪。労働時間比較的善」
達磨娘・月面苦力3号:「最低限正常食及休息時間之自由希望」
達磨娘・月面苦力4号:「無理無理。手足九人宛四組。休息時間使用不可」
達磨娘・月面苦力5号:「我々一生此状態?。悲惨也」
達磨娘・月面苦力6号:「此労働多分生産的意味有。比較的善、対比達磨性奴隷」
達磨娘・月面苦力7号:「達磨娘之扱、性奴隷、見世物一般的。恐怖」
達磨娘・月面苦力8号:「嗚呼、性奴隷厭。見世物絶対厭」
達磨娘・月面苦力9号:「当局否認人権。鬼畜行為大差無、対比性奴隷及見世物」
監督官:「呉留亜!。無駄口不許容、当局批判処罰。交代時間迄第七区画完工必須」
(北米連 砂漠の民間宇宙港)
スージー:「...着地、逆噴射。速度低下...ゼロ。スペースシェリフ・ワン、着陸完了」
愛国民兵会会長:「ご苦労さん。月の様子はどうだった?」
スージー:「待機中に周回軌道から観察した限り、今のところ紛争の兆しはありません。しかし、満漢は1組9人の作業員が24時間3交代の人海戦術で急速に基地を建設しています。あの勢いで施設を拡張されたらじきに月の裏だけでは収まりきれなくなりますね」
愛国民兵会会長:「満漢の技術レベルで、1回目の輸送にそんな大勢の作業員が送れるのか」
スージー:「作業員は全員が達磨娘です。手足の分だけ酸素消費が少ないからできたのです。それからもう一つ侮れないのは、科学探査は二の次で実利一辺倒の行動というところですね。だから、科学飛行士なんか連れていかず建設労働者に絞って人員を投入できたんです」
愛国民兵会会長:「うーむ、人権のない国との競争は厳しいな。いずれ紛争になるぞ。奴らにまともなサイボーグ技術が無くたって、大勢が相手ではお前達に勝ち目はない。このままではいずれ月を取られてしまう。一度宇宙局の連中の尻を叩かないといかんな。折角お前達が小娘帝国の生命維持物資を見つけてきたのに、模倣品すら出来ておらん」
リンダ:「早く血液補給の制限が無くなってくれればいいのになあ。メカフェチ仲間の友人からは羨ましがられるんですよ、お前だけ良い思いしてるって。普通の人はいくら望んだってサイボーグになれないですからね」
愛国民兵会会長:「リンダの変態仲間の望みはともかく、このままではヘリウム資源が危ない。言いなりだった産油国が離反しだした今では、核融合発電が我が国の生命線なんだ。儂はこれから宇宙局に乗り込んで生命維持技術の研究促進を強く申し入れて来るぞ」
(アリババ連盟北部の砂漠地帯)
西欧連戦車部隊長:「異教徒どもを蹴散らせ!。油田地帯は近いぞ」
通信兵:「先行した強行偵察戦車隊の通信が途絶えました。強敵に遭遇したようです」
西欧連戦車部隊長:「砂丘の陰に隠れていた奴にバズーカでも食らったのかな。戦闘機隊に空爆を要請しろ。砂丘の陰に隠れたって上空からは丸見えだ」
通信兵:「SOS受信後すぐに道路から1`以内の範囲をくまなく爆撃したそうです。上からもよく判らず、絨毯爆撃しても砂しか舞い上がらなかったそうです」
西欧連戦車部隊長:「それなら敵は生き埋めになっただろう。よし進撃だ」
(アリババ聖戦士隊の隠れ場所)
聖戦士隊指揮官:「くっくっく。道路付近だけ爆撃しておけば大丈夫だと思っているな。さんざん無駄玉を打ち込んで行ったぞ。ここには全く気づいておらん。予想通り、俺達が重装備のまま砂の上を時速40`で走れるとは想像出来ないようだ」
聖戦士1:「こんな恥ずかしい外見の足になった甲斐がありましたね」
聖戦士2:「普段は困りますが、装甲スーツを着けてしまえばそんなに変じゃないですよ」
聖戦士3:「小娘帝国の連中は不信心で気にくわないが技術は大したものだ」
聖戦士隊指揮官:「俺の足が無くなったのは西欧連がばらまいたクラスター爆弾のせいだ。だから辱めを受けた相手は女医をあてがった小娘帝国じゃなく西欧連だと思うことにしている」
聖戦士1:「そうですね。それが筋ってもんです。足の恨みは奴らの首で晴らしますよ」
聖戦士隊:「腕には心臓を!。脚には首を!」
聖戦士隊通信兵:「見張り所からです。敵の本隊が2`に迫っています」
聖戦士隊指揮官:「うむ。行くぞ。全員、バズーカは持ったな?。よし、走れ!」
(西欧連 戦車隊)
先頭の車長:「ん?。なんじゃあれは?。砂丘の陰づたいに人影だ。機銃掃射!」
射手:「はい。着弾どうですか?」
車長:「速い!。もっと右だ。いや左だ...くそ、主砲も撃つんだ。うわあバズーカ!」
戦車部隊長:「どうした?。敵か?。一体どこに隠れていたんだ。全車、応射しろ!」
通信兵:「大変です。敵兵はバズーカを数10丁持っています。次々にやられています。お助け」
戦車部隊長:「泣き言を言うな。おい射手、右45度掃射だ。ばか、遅い。うわあ、脱出」
聖戦士隊指揮官:「こら!。お前だけ逃げられると思っているのか。首は貰った」
戦車部隊長:「ひ、ひいいぃぃ(首チョンパ...)」
聖戦士1:「うおー。隊長に続け!。脱出した敵の首を刎ねるんだ」
聖戦士隊:「手足の恨みを晴らせー、首だ、首、首!。神は偉大なり」
(ヌーベルラテン党本部)
ジゲン:「アリババに侵攻した地上部隊が大損害を受けました。戦車隊が壊滅です。戦車から脱出して捕まった者は、一人残らず首を刎ねられました」
ゴエ:「戦死者の遺族などから抗議の電話がかかりまくっています」
ルパン:「なんだよう。こないだの選挙ではあんなにやれやれって言ったくせに」
ジゲン:「これでは収拾がつきません。政策を変えましょう」
ゴエ:「これ以上の侵攻は無理です。不法移民の送還は諦めてスラムの隔離をやりましょう」
ルパン:「しかたがない。追い返せないなら、よそ者に食料や燃料を消費させないことだ。すぐに主要都市分のスラム隔離壁建設予算を立案するんだ」
(満漢人民共和国 人民党本部)
外務委員長:「西欧連対蟻婆侵攻失敗也。戦力低下。我共和国相対的地位向上」
周:「達磨娘政策順調也。今月、食肉壱百屯確保済。三交代労働者食料消費半減未満。休息時間運動不能化、至極有効也」
宇宙委員長:「月面基地第一棟竣工。He3採取塔七割進捗。作業員増派如何?」
毛:「好。漁夫之利最善。達磨娘政策一層推進。月面基地増派又可也。但、紛争回避」
宇宙委員長:「我希望月面進出記念切手発行。図案此也 」
毛:「達磨娘政策成功強調良好。発行許可」
宇宙委員長:「謝々」
周:「西欧連方法愚劣、然方針妥当。我思、産油国非戦乗取方法検討必要」
外務委員長:「産油国B王国、国王趣味達磨娘収集。達磨娘工作員投入如何?」
毛:「B王国?。我認識彼国王女子高生趣味。実際第一王妃女子高生」
外務委員長:「表面公式王妃女子高生。裏趣味后達磨娘。是事実」
毛:「了承。慎重作戦準備希望。失敗絶対不許容。失敗時、工作員及指揮官皆一族処刑食肉工場送付」
(経済特区 アリババ連盟合同総領事館)
総領事:「義肢の件で無理していただいたおかげで、侵攻を食い止められました」
弥生:「あれでも民生品です。使い方の工夫はそちらの問題ですから」
総領事:「当座の紛争はしのげましたが、根本的な解決はまだこれからです。やはり、砂漠緑化のために時間をかけても氷隕石を調達せよと本国から指示してきました。先行投資分はとりあえず原油5000dの現物払いでやって貰えませんか?」
弥生:「そうですか。では冥王星に接近中の艦に予備調査を始めさせましょう。それだけ出していただければ、とりあえず手頃な氷隕石が見つかるまで探させられます。地球への到着時期やサイズ調整の所要期間は候補が見つかってから提案いたします」
総領事:「本国からは少々高くついても、6年くらいでやって欲しいと言われています」
弥生:「きついですね。小さい氷隕石を急いで動かすとかなり不経済になります。例えば1万d級の氷に移動装置を3基設置すると、到着時に40%程は目減りしてますよ。つまり、6000dの氷に通常輸送3万d相当+手間分のコストがかかることになります。それでも6年で落とせるかどうか微妙なところですね」
総領事:「紛争の火種を消すためなら、それくらいの不経済は許容します」
弥生:「わかりました。では最も急ぐ条件で手配しましょう」
(高速飛行中の”なると”)
マサ:「本国から圧縮通信です。ふーん、ふんふん、大したニュースはないですね。
余所どうしの紛争は相変わらずですが、本国は至って平和のようですよ」
真理亜:「どれ。ちゃんと最後まで読んだの?。仕事の注文が憑いてるじゃないの」
マサ:「え、何だっけ。あ、ホントだ。1万d級の氷隕石も幾つかマークしておけだって。こんな小さいの運んだって不経済なのになんでわざわざ。まあいいかボーナス憑くし」
真理亜:「わざわざ大きさを指定して来るんだから、買い手が憑いたって事よね。小さい方が移動が速くできるから、高くても早く欲しいって客が居るんでしょう」
マサ:「間もなく減速開始地点ですね。耐G警戒態勢に入りましょう」
真理亜:「ほお、藻前も少しは気が利くようになったわね」
マサ:「へへ、隕石探しは得意なんでやる気が湧いてきましたよ。金になりそうだし」
真理亜:「なるほど。じゃ、速度、方位の再確認もやって」
マサ:「対冥王星秒速485.4`、方位は公転に対し後方15万`、南10万`です」
真理亜:「推進剤最少コースで行くわよ。旋回、公転面内179.7度、南0.2度」
理美:「メインジャイロ始動。方位が合うまで20秒です」
真理亜:「方位合わせ終了8秒後にメインエンジン始動よ。最短時間で全開にして。側面レーダーは進行方向に修正。最大出力で障害物警戒。全員耐G警戒態勢」
理美:「方位合いました。原子炉出力上げます。25%。推進剤電離開始。グリッド通電。電圧上がってきました。50万ボルト。噴射始めます。全開まで12秒」
知子3世:「機関各部応力監視数値異常なし。順調に推力出てますよ」
マサ:「かなり軽くなってるから、体感でもずいぶん来てますね。補助エンジン要らないかも」
真理亜:「無理ね。重力の弱い冥王星じゃこっちが強引に合わせないと捕まえてくれないわ」
(無事、カロンに到着後)
マツ:「降下艇、着陸位置良し。足凍結防止処置」
ミツ:「クレーン動かすわね。180度後方、フック下げ...」
知子3世:「燃料棒が割れたら困るから低重力でも油断しないでよ」
マオ:「採水施設の資材は何とか降ろし終わったけど、組み立てが大変ねえ」
ミキ:「マサさんは氷隕石探しの仕事が入ったからって手伝ってくれないしね」
マオ:「あの人は結局地味な工事より飛行が好きだから良い口実が出来たわね」
ミキ:「そうそう。隕石探しくらい別に採水が始まってからでも出来るのにね」
ササ:「まあまあ、その分は私らが頑張りますから良いじゃないですか」
知子3世:「いい加減な人が組み立てると原子炉が破裂するんだからこれで十分よ」
マオ・ミキ:「そりゃそうですが、私らだって早く済ませて好きなスケートやりたいわ」
知子3世:「結局貴女達もそういうつもりか。とにかく炉心の設置は慎重にやってよ。危険な装置だけは、留守に不具合が出ても人柱にいじらせるわけに行かないんだからね」
マオ・ミキ・マツ・ミツ・ササ:「はーい。気を付けますぅ」
(重機で隕石探し中)
マサ:「お、氷隕石だ。1万dっちゅうとこんなもんかな。近づい...ハックション。え、?。なんでサイボーグがくしゃみ?。そんな馬鹿な。故障?。冗談じゃないわ。一次生命維持装置監視ログチェック...ん、防毒フィルタに異物衝突?。へ?
あ、口の中に小さな氷が刺さっている!。室温下げすぎて呼気に霧氷が出来たのか。ああ驚いた。新型人工皮膚”白雪姫”が調子良いからって、暖房ケチりすぎたな。だけど、重機は目一杯暖房するとエンジン推力減って飛行特性がかったるいのよね。ここいらで使うなら、九〇重機は古いから抜本的な寒冷地対策をしないとダメだな。資材降ろすってんで、二式降下艇が空いていなかったのも痛かったわ」
(満漢人民共和国 工作員養成所)
作戦部長・孫:「使命伝達。桜花、梅花両名宛B王国後宮潜入指令」
桜花:「後宮?。王族籠絡任務?」
孫:「最終目的産油国国家略取。第一段階準備、子宮摘出、意志剥奪薬注入器置換」
桜花:「嗚呼。不妊体化!」
孫:「工作員常時生命無保証。生殖考慮不要」
梅花:「B王国達磨娘以外後宮立入不可」
孫:「当然承知。第二段階準備、宇宙娘々帝国経済特区経由四肢処置也。準備費用現金支給。身体準備内容、私用装飾名目手足切断、腕機能併合硬質金属外皮能動義足取付実施。B王国後宮、昼間用務時限定義足許可、義手終日使用禁止。国王拝謁時全裸達磨必須」
梅花:「涙。我々手足功夫猛訓練鍛錬済。全部無駄」
孫:「命令絶対。拒否者及失敗者一族抹殺。即時行動!。手術室受入準備済」
(帝国定例御前会議)
民部大臣:「経済特区の民間施設で四肢切断手術を受けた満漢人に怪しい者がいました。神経断端トランスポンダ取付のための検査映像におかしな物が映っていたと報告がありまして。子宮のあるはずの位置に薬剤を少しずつ膣へ放出する注入器らしき器具を埋め込んでいました。それに、実利優先の満漢人では前例のないメタロリ外装の腕機能併合足を付けていきました。費用は領事館からの公費負担ではなく、美容目的の私的な手術だと言って現金で払っています」
刑部大臣:「違法薬物所持の証拠はないのですか?」
民部大臣:「特区の警察では尻尾が掴めませんでした。器具だけでは検挙できませんから」
弥生:「工作員なのは間違いないわね。トランスポンダ番号で追跡手配をかけましょう。友好国に潜入したときは、それで探知網にかかるでしょうから、潜入先で対処します。非友好国で悪さをするだけなら放置しても構わないですよね」
朝子8世:「薬物で要人を陥れる気ね。各友好国駐在の大使館に警戒を指示なさい」
(B王国 後宮)
侍従長:「ご要望だった、満漢人の達磨娘が手に入りました」
国王:「労働者みたいな香具師だったら承知せんぞ」
侍従長:「滅相もない。上玉の2人セットでございます」
国王:「そうか。早速味見する。案内せい」
(在B王国 帝国大使館)
情報収集担当書記官:「街灯に仕掛けた探知機に手配されたトランスポンダがかかりました」
駐在武官・睦月:「何の手配?。手術代不払いで逃げた香具師とかなの?」
情報収集担当書記官:「工作員の疑いですね。それに薬物犯かも」
睦月:「そお。かかった場所は?」
情報収集担当書記官:「王宮前通りを王宮の方に向かって。王宮に入った可能性もあります」
睦月:「王宮かぁ。後宮入りを狙う達磨娘を装って潜入し国王に何か仕掛けるつもりね。国王金持ちだからそういう娘が良く来るのよね。自推から人身売買まで幅広くね。場所が場所だけにしっかり証拠を掴まないと手出しは出来ないわね。良いコネが必要だわ」
情報収集担当書記官:「親衛隊長なら面識があります。賢い人物だし、信用もおけます。始末が悪いのは侍従長以下の侍従達です。賄賂で怪しげな者を簡単に入れてしまうんです」
睦月:「ふーん。脇の甘い国ねえ。とにかく親衛隊長に会ってみなくちゃね」
情報収集担当書記官:「私が個人的なお茶会に親衛隊長を招待するのは可能です」
睦月:「じゃあすぐやって頂戴。ここの一番良い部屋を使って良いわ」
(3日後)
親衛隊長:「先日の北米工作員の件でお世話になった上にご招待いただいて申し訳ない」
情報収集担当書記官:「こちらこそ時々良い情報を頂いてますからお互い様です。
ところで、国王陛下のご機嫌は如何です?」
親衛隊長:「最近ちと後宮でのご趣味が度を超していて心配です。ご政務で溜まったストレスもおありでしょうから、あまりとやかく言うわけにも...」
情報収集担当書記官:「そうですか、我々の懸念が当たっていなければいいのですが」
親衛隊長:「どういうことです?」
情報収集担当書記官:「重大な事ですので、貴族の駐在武官が説明します」
親衛隊長:「貴族?。すると、ここに帝国本体のサイボーグ武官がおいでなのですか」
情報収集担当書記官:「この国は産油国ですから大国の工作員たちに狙われています。それに対抗するため一昨年から、密かに滞在して大使館業務全般を指揮しているのです。先日の北米工作員のときは犯罪行為でない企業乗っ取り案件なので表面に出ませんでした。しかし今度はそれで済まないようです。睦月侯、お願いします」
睦月:「こんにちわ。帝国駐在武官・特命全権公使の睦月大佐です」
親衛隊長:「あ、大使のご息女、貴女がサイボーグ武官だったのですか」
睦月:「一度お会いしただけで憶えていて頂けて光栄ですわ。さて、早速本題ですが満漢人の達磨娘が2人、後宮に入り込んでいますね? その者達は、我々が工作員の疑いありとしてマークしていた人物です。性器を改造して、膣から少しずつ薬物を投与できるらしき体になっています」
親衛隊長:「むう。そういえば、あの2人が入ってから国王の後宮通いが急に増えて...。とんでもないことだ。すぐにあいつらを締め上げて正体を暴かなくては」
睦月:「もし薬物の影響で国王が心を奪われていたら、あなたが不興を買ってしまいます。工作員ではなく、あなたが排除されてしまうことになったら取り返しがつきません」
親衛隊長:「ううう、何とかしなくては...」
睦月:「国王陛下の尿か血液のサンプルが手に入れば解毒剤が作れます」
親衛隊長:「侍医から手に入れることは出来ます。しかしどうやって投与しようか」
睦月:「奴らと同じ手でやりましょう。私の体に同じ仕掛けを組み込むのは簡単です。私がス連から売られてきた性奴隷の達磨娘に化けて後宮に売り込まれるようにします」
親衛隊長:「性奴隷商人の役は誰がやるんですか?」
睦月:「本物を使います。投資顧問業のシャイロックという男の本業は人身売買です。昔、経済特区の臓器売買管理法に違反して捕まえたときに弱みを握ってあるのです」
親衛隊長:「そんな胡散臭い者を信用して良いのですか?」
睦月:「シャイロックの持つ巨額の資金を全て黒菱銀行の口座で管理させているのです。黒菱銀行は我が黒の公家が経営権を握っていて、裏切ったら資金を凍結できるのです。シャイロックは命よりもお金が大事な金の亡者ですから、絶対に逆らえません」
親衛隊長:「なるほど。しかし陛下が貴女と寝るという保証はないですね。味見は必ずなさるでしょうが、短時間では解毒しきれないでしょう?」
睦月:「私の体はノーブルセクサボーグという高級娼婦仕様機種をベースにしています。一度味見さえさせられれば、必ず繰り返し求められる筈です。確かめてみられますか?」
親衛隊長:「病みつきは困るから結構です。では私は早速血液サンプルを入手します」
睦月:「よろしく。書記官、体の準備をするから換装器具の操作を手伝って頂戴。丁度、ス連から仕入れたロングの人毛があったから完璧に仕上げられるわよ」
情報収集担当書記官:「ところで、足が無いと燃料電池の搭載場所に困りませんか?」
睦月:「普通の部品表には載っていない脇腹の空きスペースに収まる特殊な機種があるのよ。出力はA型の半分で無補給持続時間も短いけど、手足を動かす必要もないから十分だわ」
(数日後、後宮)
シャイロック:「ぐへへへ、どうです?。貴重な白人の上玉ですよ」
侍従長:「西欧や北米の達磨娘は貴重だが、最近はス連人なら結構簡単に手に入るんだ」
シャイロック:「そう仰らずに、いっぺん王様に味見していただいて下さいよぉ」
侍従長:「うむ、そのなんだな、お前が誠意を見せてくれれば...」
シャイロック:「アフィリエイト料18%で如何ですか?」
侍従長:「うーん、どうしようかな」
シャイロック:「えい、しかたない。20%、ね、ね、良いでしょ」
(その夜)
侍従長:「陛下、お試しで白人の達磨娘を入れてみたのですが味見なさいますか?」
国王:「そうか。たまには白人も良いな。支度させい」
侍従長:「そのつもりで、待機させてあります。こちらへ」
国王:「気が利くな。ふむ、こいつか。おい、名は何という?」
睦月:「テレシコワでございます」
国王:「白人の性奴隷は珍しいな。何故、売られてきたのじゃ」
睦月:「宇宙飛行士を目指していたのですが、手足を切断すればなれると騙されて。スユーズ社の社員を騙ったマンプラスキーという男が、実は詐欺師だったのです。悔しい」
国王:「変わった事情だな。ふむ、なかなか引き締まった体をしているな。いひひ。どれどれ、おおお、達磨娘は運動できないからガバガバの奴が多いが、締まりが良いな。う、う、うう、これは気持ちいい。邪魔な手足がないのにこの鍛えられようは最高じゃ。気に入った。贔屓にしてやるから精々忠勤励め。しっかり仕えたら望みを叶えてやる。わしの国の経済力をもってすれば、いずれ宇宙進出も夢ではないぞ」
(数日後)
桜花:「このごろ、国王が淫りに来ないわね。薬の効果は大丈夫かな」
梅花:「新入りのテレシコワとか言う白人に填っているようなのよ。でも大丈夫よ。
あの薬には習慣性があるから、そろそろ来るわよ」
桜花:「来たら念のため国王のガウンに盗聴器を仕掛けましょう。訓練通り舌で出来るわね」
梅花:「ええ。3Pのとき後ろに回った方がやればいいわね。あ、侍従が来たわ」
侍従:「陛下がお見えだ。すぐに義足を外せ」
桜花・梅花:「はい。ただいま。(早速、チャンスね)」
(翌日)
国王:「テレシコワと淫っていると頭が冴えてくる気がする。満漢双美人と逆だな。あの2人と淫った前後はいつも記憶が曖昧になるのにな」
睦月:「お気づきになられたようですね。漸く毒が解けたようです」
国王:「なに!。どういうことだ?」
睦月:「あの二人は工作員です。膣からあなたの意志を奪う薬を出しています」
国王:「ぎょっ。そういうお前は一体?」
睦月:「私の本当の名は睦月、帝国特命全権公使・駐在武官の睦月大佐です。我々は、あの二人をマークしていました。親衛隊長から得た情報でこちらに来たのです。侍医殿から手に入れたサンプルからあの二人が使っている薬の解毒剤を用意できました。それを体に仕掛けてス連人の達磨娘に化け、陛下に抱かれるよう仕組んだのです」
国王:「不覚!。許さんぞ。親衛隊を呼んで締め上げてやる」
睦月:「親衛隊長には、いま私がメールを出しました。逃げ道を塞ぐまでお静かに」
桜花:「逃げたりはしないわ。陛下を人質にさせていただきますわ」
国王:「無礼者!。わしの前で義足を着けるとは何ごとじゃ」
梅花:「ガウンに盗聴器を仕掛けましたの。ばれた以上、性奴隷の芝居は終わりね。
動かないで下さい。この義足は器用に銃が撃てますのよ」
睦月:「やってみれば?。本当に出来るかな」
桜花:「ふふ、帝国の武官さん、いくらサイボーグでも達磨状態じゃ絶体絶命よね。貴女には、この場で消えて貰うわ。この徹甲弾入りのピストルでね。さよなら...」
睦月:「(身体制御CPU貴族特権モード、強制ハッキングリモートプログラム起動)
さっさと撃たないの?。どうしたの?。ん、ん?」
桜花:「え?。指が...」
梅花:「くっ。蹴り殺してやる。あちょーーー。あ、あれ」
桜花:「ぎゃっ。梅花、何をするの」
睦月:「うふふ。貴女達の足は、私の手足になったのよ。観念なさい」
(後日)
国王:「危ないところでした。薬で操って国を乗っ取ろうとしていたとは」
睦月:「大国はどこもここの石油をタダ同然で収奪しようと狙っていますよ」
国王:「工作員を捕まえたのは良いが、どうやって口を割らせるかな。一族が人質になっているのか拷問しても国の命令だとは白状しません」
睦月:「たとえ白状させたって相手が満漢では抗議しても無視でしょう」
国王:「うーん、腹立たしいが戦争して勝てる相手じゃないし...。見せしめにあの工作員どもを公開処刑で打ち首にしてやろうか。それも危険かな」
睦月:「我々の国では捕まえた工作員は人権削除刑に処されます。大国が相手では無駄なので抗議はしていません。見せしめも命令者には効果がないでしょう」
国王:「人権削除刑?。どんな刑罰ですか」
睦月:「非人という実験動物の身分になって主に非人間型のサイボーグにされます。たいていは人柱という施設管理装置にして無人惑星開発施設の管理を一生やらせます。我が国の法において正規のサイボーグには人権があるから、そんな使い方は許されません。その代わり、極刑相当の犯罪者を活用しています」
国王:「いいなあ。あいつらもただ処刑せずにそれくらいの目に遭わせてやりたいな。そうだ、ここでは私が法律だから、その人権削除刑を取り入れて宣告してしまおう。それで、宣告後にあなた方で引き取ってして処刑くれませんか?」
睦月:「いいですよ。では私どもでお引き取りしましょう(人柱素材2体確保ね)」
国王:「それから、もう一つお願いがあるのですが」
睦月:「何でしょう?」
国王:「もう一度寝て下さい。貴女本来の姿でいいです。填ってしまいました」
睦月:「あなたの国が特定友好国になって下さるなら喜んで、と言いたいところです。しかし、我々の外交方針として恫喝や買収は許されません。関係が長続きしないですから。そういう判断は、相手国が国益を良く見極めて自発的にしてもらうように規制されています。勿論、あなたが、プライベートでいち売春客として特区を訪問されたならお供しますわ」
国王:「外遊なんかするには、まず国内を安全にしないと。よーし、頑張るぞお」
(満漢人民共和国 工作員養成所)
外務委員長:「孫部長宛、処罰通告。一族処刑、食肉工場送付宣告」
孫:「暫時容赦!。工作員連絡途絶。此“予想外”也。失敗未確認。実際B王国無抗議」
外務委員長:「言訳無用」
孫:「堪忍、堪忍、堪忍!。我絶対善後策実施。約束必守」
外務委員長:「好。唯一回機会付与。藻前自身性転換達磨娘化、追潜入敢行、事実確認」
孫:「大泣。其過酷杉。他工作員使用許可願」
外務委員長:「否。藻前自身追潜入絶対条件。拒否即一族処刑」
孫:「嗚呼...了解。自身潜入準備。但、準備時間猶予必要」
外務委員長:「即刻手術。遅延即反抗認定一族処刑。覚悟如何」
孫:「即断承知。諸煩...」
(今回は帝国の娘達よりも満漢やアリババに輸出された製品の義肢が主役になってしまいました。氷の収集をやっただけでは、まだまだ地球外素体生産地の開拓は出来ません。次は帝国の娘達に一層忙しく飛び回って貰うことになります。次回予告:(32)金星プラットフォーム)

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