−−(32)金星プラットフォ−ム−−

(カロンの基地建設現場 採水施設用原子炉組み立て中)

知子3世:「はい右端もうチョイ上げて、あと3センチかな。うんOK」

マオ:「クレーン、位置連続補正モードにします。収縮誤差吸収可能時間3分」

マツ:「リベット打っちゃって良いですか?」

知子3世:「やって。温度差でずれないうちに手早く頼むわ。ミツとササも1/3ずつね」

ミツ、ササ:「やりまーす。それっ、連射連射」

ハル:「頂上部はまだ打たないんですか?」

知子3世:「恐らく3,4カ所は研磨で縁を合わせてからでないと耐圧限界が落ちるわ。地上と違って漏れても余所から文句は来ないけど、シュラウドが弱いと出力が減るでしょ。計画より5%以上目減りしたら、採水に時間がかかって帰還が遅れるのよ」

ミキ:「なるほど。ここで慌てるとかえって時間を損するんですか。機関は難しいなあ」

知子3世:「シビリアン徴兵の娘は素体訓練で原子炉工学ってやらないから仕方ないわ。所詮昔からある蒸気機関だから本当はたいして難しくないんだけど、馴染みが薄いとね。じゃあ、ミキのクレーン20センチほど上げて上蓋浮かせて頂戴。うん、そこよ。マオ、場所を体内CPU直接ファイル交換モードで指示するからポート開けて。よし、エキシマビーム発射用意。研磨だから出力は18%から始めるわ。よし、ここ」

マオ:「氏ね氏ねビーム、弱出力連続照射」

知子3世:「はい、止め。次の場所行くから降下艇移動させて...うん、そこ。停まって。研磨位置バイナリデータファイルプッシュ、発射はじめ」

マオ:「氏ね氏ねビーム、弱出力連続照射」

知子3世:「よーし。あと1カ所で良さそうだわ。移動して頂戴。そこ。位置プッシュ。発射」

マオ:「氏ね氏ねビーム、弱出力連続照射」

知子3世:「ミキ、クレーンゆっくり下げて。ハル、マツ、ミツ、ササ、リベット用意して散開よ。良し、ぴったり密着したわ。急いでリベット打っちゃって。収縮限界は3分以内よ」

ハル、マツ、ミツ、ササ:「はあはあ、何とか間に合いました」

知子3世:「よーし。ミキはクレーン畳んだらシュラウド一周しながらエキシマで継ぎ目の溶接よ。初期動作用の水作るからマオはエキシマで氷の切り出し、他の娘は氷を炉心の周りに積み上げて」


(帝国御前会議)

朝子10世:「今日審議していただきたい議題は、氷隕石の収集体制と使用計画に関してです。”なると”からの定期報告によると、カロン採水施設は無事原子炉に点火できました。したがって、次の高速連絡艦は予定通り専ら隕石移動装置の輸送を行えばよいことになります」

弥生:「1回に運べる隕石移動装置の数は確か3基でしたね。何とか増やせませんか?。初回は金星向けと満漢月基地向けに各1基が確定ですから、自由に使えるのはあと1基でしょ。先に報告したように、金払いの良いアリババ連合の依頼をこなすには一度に3基が必要です」

朝子10世:「通常4機搭載する重機と2隻搭載する降下艇を減らせば増やすことは可能です。”なると”で使用中のものを現地に残してくれば、その分は次の艦から降ろせます。航行中にエンジングリッドの整備が必要になるケースを考えると重機2機は最低必要です。また、残してきた搭載艇を取りに行くために降下艇1隻も必要ですから半減が限度です。それでなんとか隕石移動装置2基を余分に積み込めるでしょう」

財部大臣:「冥王星とカロンの重力均衡点に置いてくれば降下艇が不要になりませんか?」

文部大臣:「摂動で重力均衡面から外れたら冥王星かカロンに落ちてしまいますよ。1年近くも無人で放置するならカロンに降ろして置くしかないでしょう」

朝子10世:「その通りです。それに故障補充の余地も考えに入れておきませんと」

財部大臣:「取りに行くための降下に重機を使えないのですか?」

朝子10世:「極低温のため暖房に電力をかなり回すのでエンジン推力が大幅に低下します。カロンに自航降下させるのはかなり危険なので、置いてくる際も降下艇の荷台でとなります」

朝子8世:「氷隕石の経済価値を考える財部大臣の意図も分かりますが無理は避けましょう」

民部大臣:「高速連絡艦をもっと建造するとか大型化するというわけには行きませんか?」

朝子10世:「高速連絡艦を余分に建造しても乗組員の員数を揃えることが難しいんです。耐G特性の制限がありますからサイボーグなら誰でも良いわけじゃないですからね。艦の大型化も船体強度や工場衛星のドック施設、エンジンなど開発設計に時間がかかります」

刑部大臣:「もう少しシビリアンの徴兵率を引き上げられませんか?」

文部大臣:「現状で素体の質が限界だと言われていますので教育で補うのは苦しいですよ。精神主義を振りかざして素体適性の足りない者を徴兵しても使えるサイボーグになりません」

朝子10世:「下士官・兵や若手士官よりも幹部が足りないので徴兵を増やしても無駄です。脳血管の耐G特性は年齢とともに劣化しますから、幹部の耐G検査合格率が低いんです」

地軍大臣:「そうですねえ。地軍の戦闘機搭乗員ですら体を鍛えても脳がきついですから。根本的に脳の耐G強度を上げる技術って出来ないものですかねえ」

文部大臣:「帝大では脳血管を構成する細胞の若返りを促す薬を研究しています。しかし、血管形状的に弱い場合は効果がないし、副作用が酷くてまだ非人実験の段階です。血管壁が緻密になりすぎて物質交換が抑制され、気力や知能の低下が起きてしまうのです。それに安全な薬が出来ても、脳卒中が予防されるだけで脳神経自体の強度は変わりません。やはり、人格を構成しない小脳や脳幹・脊髄を機械化して脳自体を縮小するのが有効です」

朝子10世:「脳下位機能の機械化は特例志願兵活性化のためにも研究に力を入れています。しかし、最下位機能である脊髄ですら肝心な性感が代替できず難航しているのが現状です。この件は議論に時間がかかるので別途報告の場を設け、本題に戻りたいと思います」

朝子8世:「当面は高速連絡艦の大幅な増強が出来ない前提で資源の配分を考えましょう」

財部大臣:「金星の可住化は一説には1000年かかるといわれる気の長い事業です。第一便の氷隕石をどうしても使わなくてはならないというわけでもないでしょう?」

朝子10世:「”みくら”の探検時に送ったのが5万dの大隕石なので転用が効きません。アリババ連盟のように金払いがよくて満漢のように地上以外で使う買い手が憑けば別です。しかし、今のところ地上外での販売見込みは満漢の1個だけだし、要求時期も合いません。溶けるものだから、買い手の受入準備が出来てから引き渡さなくてはいけないんです。また、金星への投下は開始したら定期的に繰り返さないと効果が無くなります」

文部大臣:「最初に落としたのが溶けきらないうちに次を入れないとダメなんですよ。水たまりが消えて蒸発してしまうとかえって水蒸気による温暖化効果が生じます。雨が降る低温スポットを維持し続けないと炭酸ガスの吸収は進みません」

民部大臣:「なかなか大変ですね。水だけに頼らず、植物による炭酸同化を起こせませんか。初めは効果が僅かでも、一旦正の循環が始まれば後は加速度的に効くでしょう。可住化実現時期が100年でも早められるなら財部省も納得しやすくなりますよね」

文部大臣:「雨が降るといっても硫酸混じりなので氷の付近でも地上じゃ無理です。その代わり、上層大気に浮かべた浮遊プラットフォーム上での水耕を計画しています。灼熱の金星でも、上層大気には氷点下の低温層があるから高度を選べば良いんです」

朝子10世:「文部省案に沿って金星プラットフォームの試作は進んでいます。巨大な水素気球で長さ2000b、幅1000bの板を釣った飛行船の一種です。炭素固定施設の他に自転が遅すぎて実現不能な静止衛星に代わる基地の役も果たします。物は出来ましたが、最初の1基をどうやって金星大気に浮かべるかが難問になっています。1基設置できてしまえば、あとはそこを拠点に組み立てながら浮かべていけるのです。しかし、最初の1基だけは完成状態で大気圏に突入させ、巧く減速しなくてはなりません。高度が下がったり地上に降りてしまったら気球が保ちませんから非常に危険なのです。このため、突入操作を有人でやるわけにはいきません。リモート操作になります。原理は降下カプセルと同じですが、巨大なためアイスシールドの条件決定が難しいんです」

財部大臣:「投入成功率はどれくらいなのですか?」

朝子10世:「金星への大気圏突入事例が少ないため予測に幅があり、5から20%です。まずは、縮小版の観測ゾンデを何度か突入させて経験を積む必要がありますね。アイスシールドが溶けてから高温層に落ちる前に急速に気球を膨らませられるかが鍵です。リモート操作者の能力にも大きく依存します」

財部大臣:「すると、最初の1基が浮かぶまで相当数のロスが出ますね。きついなあ」

朝子10世:「隕石資源と用途のアンバランスのため工場衛星では常に鉄と水素が余剰です。他の金属のため金属質隕石を処理すると鉄が余り、酸素のため水を分解すると水素が余ります。売れる分は地上に降ろしていますが、重量や体積の関係で採算のとれる案件が足りないんです。この余剰資材を活用すると2ヶ月で1基は出来るのでコストは製造と輸送の手間分だけです」

民部大臣:「水素気球だと爆発事故の危険性がありますよね」

文部大臣:「金星大気は酸素が乏しいから今は大丈夫ですよ。将来増えたらあり得ますがね。一応、将来の成分変化に備えてヘリウムに切り替えられるように浮力の余裕を取っています」

朝子8世:「氷隕石落下後の地上観測拠点は必要なので余剰資材の範囲で試すべきと思います。財部大臣としては、同意し難いですか?」

財部大臣:「財政への影響が軽微な範囲であれば異存ありません」

朝子8世:「では、宙軍大臣は極力コストを引き下げることに留意して進めて下さい。第一便の隕石移動装置は5基搭載、金星と満漢向け各1基、アリババ向け3基で良いですね」

弥生:「高速連絡艦の出航時期は決まっていますか」

朝子10世:「当然”こっそる”も新造艦ですから幹部内定者が艤装検査に入っています。そこで問題が起きなければ、15日後に出航する予定です。隕石移動装置は在庫で足ります」

弥生:「良かったわ。産油国のアリババ連盟には不義理をしたくないですからね」


(カロンの採水基地建設現場 ドーム建屋組み立て中)

真理亜:「ドームが建つのって以外と早いわね。資材輸送をせかされたのには驚いたわ」

知子3世:「こちらこそ艦長が自ら降りてきたのには驚きました」

真理亜:「停泊中の留守番はかったるいから、たまには副長に押しつけないとね。それに資材輸送が遅いっていわれるほどの早技建築を見ておきたかったし」

知子3世:「原子炉さえ動いちゃえば降下艇のちゃちなクレーンに頼らなくなりますからね。あと40時間でここは屋内になって太陽灯も憑くので極低温に注意しなくて良くなりますよ。水の汲み上げも始まったので50時間で原子炉のリザーブ分は満タンになります。その後は電気分解に回せる分が出るので、いよいよ田んぼと人柱の設置ですね」

真理亜:「人柱の餌やりをしなくて済むようになるとマサの機嫌が良くなるわね。本国から氷隕石探しに色々細かい注文が来たから、そろそろ虐めを軽くしてやらないとね」

知子3世:「あ、人柱といえば移動トロッコのレールを天井が閉じる前に搬入しないと」

真理亜:「ついでに手伝うわよ。降下艇を天井の穴付近にホバリングさせれば良いわね」

知子3世:「お願いします。取り込みはビルクレーンで一掴みですからすぐ済みます」


(経済特区 メタロリホスピタル 受付兼お客様相談室)

カリスマ看板娘:「いらっしゃいませ。手足のことなら何でもありの当院にようこそ」

孫:「(嗚呼、((((;゚Д゚)))、逃亡希望、逃亡即一族処刑...。)あ、あのぉ...」

カリスマ看板娘:「どういった手足をお望みでしょう。といっても、口頭では難しいですよね。お客様がわかりやすいように、私は3機種を併用しています。左腕がノーマル機の標準外装です。こちらは、機能外観とも生身の腕の延長になります。但し、腕力は平均の1.5倍近く出ます。この左脚は、メタリック外皮です。膝下はさらに品種が分かれて、これは硬質金属外骨格型です。このタイプは、最近アリババ聖戦士が耐西欧連紛争で活躍した関係で人気が出てきていますね。一応民生仕様の合法品ですが、重い荷物を担いで時速40`で走れますし、耐衝撃性も良いです。 踵は差し替え可能ですので、足元の悪い場所で重労働をされる方にも安心してお勧めできます。標準型でも脚力は同等ですが、ヘビーデューティ用途だと靴がすぐに傷むという問題があります。靴代を考えるとお得なのですが、大東亜国とか住宅様式によっては使いづらい地域もありますね。こっちの右脚は外装が左足と同型式ですが、手指の憑いた腕機能併合型となっております。甲の部分に生えた指を肩の神経からコードレスで制御しますので腕が要らなくなり経済的です。民生仕様の脚はどの形式も制御基板に5軸集積レーザー加速度センサが組み込まれております。通常は神経断端の信号に従いますが、歩行やジャンプでは加速度を検知して自動補正します。このため、歩行の際に腕でバランスを取る必要は無く、腕が無くても転倒し難いので安心です。地底アイスワールド特区分園のショーに出ている”腕無しスケーターチーム”をご存じですか。慣れればあのように高度な技も出来てしまうんです。ブレードは特注ですけどね。私だって、踵を15aのピンヒールにしていますが、今まで一度も転んだことがありません」

孫:「(依然無腕恐怖。)絶対転ばないですか?」

カリスマ看板娘:「私はこの脚にする以前はよく転ぶドジッ娘だったのです。ここに就職してこの足にしたお陰で、すっかり、もう完全に汚名を返上できました。それに関節の自由度が大きいので、ほら、こんな風に髪を整えたり化粧もたやすく出来ます。よほど背骨が固い人以外は生活に支障ありません。おしっこの後あそこを拭くのも楽勝ですよ。ということで、私には右腕がありません。代わりに断端信号中継器が入った蓋が憑いています。もし、その他のタイプもご覧になりたければ別のモデルの娘もお呼びしましょうか?。」

孫:「(苦、依然命令絶対、勇気絞出。)う、腕機能併合型の膝下硬質メタリックで」

カリスマ看板娘:「でしたら、お見積もりはこのように。カードはお使いになりますか?。当院独自の低利ローンもございますが、ご利用の際は売春安全法による検査済証が必要です。万一、滞ってしまった時には売春による収入が担保となるので公認の方限定でございます」

孫:「(売春担保!。超非道徳。論外。)げ、現金でお願いします」

カリスマ看板娘:「お手持ちは、どちらの貨幣になりますでしょうか?」

孫:「じ、人民圓で持参したのですが」

カリスマ看板娘:「なるほど。最近は発行国の国際的地位が向上して強いですからね。 すると現在のレートですとこのようになります。ほら、脚で電卓操作も楽勝ですよ」

孫:「(交換率良好、支給資金少々余剰、非常逃亡費残存一安心。)でわこれ」


(メタロリホスピタル 第一手術室)

孫:「ぐうぐう」

例のダルマッ娘好き整形外科医:「えーと、骨盤部検査CT映像は...。なんだよう、元男か、卵巣無いぞ。貴重な美マンだって聞いたから休日出勤したのに。当直検査技師の奴め、ろくに映像見ないで外ばっかり眺めていたな。騙されやがって。うーん、しかし確かに良い仕上がりだな。満漢の手術は荒っぽいって評判なんだがな。一部には巧い奴もいるんだな。しかし、膣奥の人工物は何の意味があるんだ?。まあいいや。きもい性器さえ突き出ていなければちゃんとしたダルマッ娘にできる。さくっと四肢離断して仕上げるだけだな」

検査技師:「失礼します」

ダルマッ娘好き整形外科医:「あ、お主見事に騙されたな!。映像ちゃんと見たの?あ、そっちの人誰よ?。手術室に部外者入れちゃダメじゃん」

検査技師:「特区公安省違法薬物取締本部の方が...」

ダルマッ娘好き整形外科医:「えっ?。私は違法薬物なんか扱っていませんよ」

麻薬取締官:「失礼します。先生じゃなく、そっちの娘です。検査映像から疑いが」

検査技師:「以前、膣から薬物を出すように改造した娘が見つかったことがあって。それで膣奥に人工物を仕込んだ者がいたら、一応届け出ることになっていたんです」

麻薬取締官:「気づかれずに調べたいので全身麻酔中に膣の薬物検査をさせて下さい」

ダルマッ娘好き整形外科医:「そうですか。それならどうぞ」

麻薬取締官:「タンポンを入れて5分後に抜きます。滅菌済だから影響はないです」

ダルマッ娘好き整形外科医:「じゃあ、腕の離断を先にしてます。ざくっと...」

麻薬取締官:「よし、抜き取り。術中検査台をお借りして良いですか」

検査技師:「でしたら、こちらをお使い下さい」

麻薬取締官:「ポータブル微量分析機セットよし。スタート、...」

検査技師:「出ましたか?」

麻薬取締官:「うーん、白か。ただの人工粘液でしたね。練習用の液なんだろうな。非常に怪しいが、これでは逮捕できない。泳がせるしかないですね。お邪魔しました」

ダルマッ娘好き整形外科医:「あっそお。よかった邪魔が長引かなくて。っで動脈が...よし摘めたな。静脈に直結してこれで漏れ無しと。さて神経だな。ん、ここだここ。トラポン端子延ばして、こんなもんかな。試験器オン、微調...ぴくぴくしたな。よし。肩胛骨マウントのクランプはここで良いよな。仮固定して骨切りだ。チュイーンと...ホイ切れた。マウント締め付けてトラポン本体収納よしと。フラップ閉めて縁縫い...うーん、いつも我ながら美しい仕上がりだ。肩のラインはこうでなくっちゃね。これで右肩はよしと。連絡か、もしー、保存処理部?、右腕取れたから持って行ってね。さて、肩は飽きたから先に股関節やっちゃうか。やっぱVラインやってなんぼだよなぁ」

保存処理技師:「右腕取りに来ましたー。あれ?。次、左腕じゃないんですかぁ?。
気まぐれやられると手順狂っちゃうんですけどぉ」

ダルマッ娘好き整形外科医:「メンゴ。いつもは脚からなんだけど邪魔が入ってね」

保存処理技師:「しょうがないなぁ。じゃ、両脚のあと最後に左腕ですね。はいはい」

ダルマッ娘好き整形外科医:「内股のフラップライン取りはこれで良いな。ざくっと。で、動脈動脈...居た居た。摘んで切ってこっちに繋いで...よし漏れ無し。さあ神経だ。ほじほじ...よし掴んだ。トラポン端子入れて、テスト...。反応良いな。じゃ、骨切りと骨盤の穴開け、ドリルでチュイーン...開いたな。プレートで挟んでボルト...トルクよし。トラポン収納。神経余長問題なし。さーて、腕の見せ所のフラップ縫いだ...うーん、見事なVライン。こうでなくちゃ。よし、一気に左脚も行くぞぉ。私の早さなら保存はまとめてで間に合うよな...」

保存処理技師:「脚取りに来ま...一度に両足ですかぁ。ちゃんと1本ずつ呼んでよ」

ダルマッ娘好き整形外科医:「切断からの余裕時間は十分だろ。リズムってのもあるの。それよりどうよ、この見事なVラインの仕上がりは。やっぱ美マンは突端にあるべきよ。これは人工だけど、やっぱ、カエルみたいに股開かないでセクースできるって良いよね」

保存処理技師:「先生の腕は見事です。でも、見とれてないで左腕も真面目にやってよ」

ダルマッ娘好き整形外科医:「わかってるって。任せてちょ」


(麻酔科集中監視室)

麻薬取締官:「ここは見事に合理化されてますね。一人で10件の手術を見るとは」

麻酔科医:「全自動全身麻酔装置なんで、アラームが無い限りマンガ読んでいられます。アラームが重なったらちょっと厳しいけど滅多にないですし。ところで、何か?」

麻薬取締官:「あの1番の娘は、何時間で覚醒しますか?」

麻酔科医:「急ぎの用件ですか?。手術はじき終わるので苦痛を無視ならすぐにでも。なるべくなら、10時間くらいはそのまま寝かせてやりたいですけどね」

麻薬取締官:「別に急ぐわけでは無くて、逃亡可能な時期を知りたいだけです」

麻酔科医:「まさか。先払いだし、義肢が憑いて一通り訓練するまでは居るでしょう」

麻薬取締官:「工作員の疑いがあるので、泳がせておいて密かに監視したいんです。尾行要員の手配にどれくらい時間の余裕があるか知りたかっただけです」

麻酔科医:「そうですか。だったら逆に覚醒する時刻を遅らせてあげましょう。2時間なら延ばしても個人差の範囲って事で怪しまれないと思いますよ」

麻薬取締官:「助かります。では、一旦失礼します」


(”なると”艦橋)

真理亜:「採水施設内の田んぼが出来たそうだから、早速人柱を設置するわよ。マサ、マオ、ミキの3人でやって来なさい」

マサ:「ふう、あいつらと一緒に降りるのかぁ...」

真理亜:「あら、別れが辛いの?。地球に連れて帰りたいの?」

マサ:「滅相もありません。すぐやってきます。マオ、ミキ行くよ!」


(”なると”倉庫)

マサ:「カロン採水施設へ設置するため藻舞等を移送する」

キャサリン:「お前達のためになんか働くもんか。置き去りなら黙って勝手にしろ」

キャロル:「お前らが立ち去ったらカロンの採水施設なんか滅茶苦茶にしてやる」

マサ:「どう思おうが勝手よ。だが、田んぼに送られるのは採取した水の5%だわ。施設の調子が悪くなって水が不足したら命の綱のハイパーコシヒカリが枯れるわね。そうなったら、酸素と玄米が欠乏して藻前らはお陀仏ってことになるわよ。こっちは採水の調子が悪くても次の船の補給が少し手間取るだけで大して痛くないわ。命と引き替えに効果の乏しい仕返しをしたいなら自由にやって良いのよ。マオ、ミキ、暴れないように腕の神経接続止めたからこいつらを台車に移して頂戴」


(カロン基地上空)

マサ:「そういえば田んぼが出来たって聞いたけど大エアロックはまだだっけ?」

マオ:「耐圧溶接が面倒だから見かけは出来ていても使えないかも」

ミキ:「人柱って生命維持が1次相当だから真空にさらせないんでしたっけ?」

マサ:「体内の予備水を予備電池の電力で電気分解できるから暫くは保つわね。切換は自動だったかな?。念のため強制リモートで切り替えておいた方が良いか」

マオ:「そうしておいた方が安心ですよ」

マサ:「あ、見えてきたわ。ササたちが1号艇でエキシマビーム撃っているわね。ということはやっぱり大エアロックは溶接の途中だから、まだ使えないな。とりあえずなるべく近くに降りて真空に晒す時間を少なくしようか。高度2000b、落下速度秒速10b、4足逆噴射0.2b/秒/秒。よしちょっとだけ後ろ、戻して...噴射最大、止め、ひと吹き、はい着地。うーん、後ろ過ぎたか。5歩前進かな。ゾウの気分でよいしょっと、いいわ」

マオ:「キャサリンの方を降ろしますね。ミキはキャロルを頼むわ」

ミキ:「え?。見分けが付くんだっけ?」

マサ:「正式な素体番号は無いけど、近づくとき無線LANのIDは出るでしょ。IDの数字が小さい方がキャサリンよ。まあ、どっちも同じ人柱に過ぎないけど」


(カロン基地内採水施設)

マサ:「うわあ、眩しいなあ。日焼けしちゃいそう。厚化粧してこなかったのに」

知子3世:「確かに壁面の陽光LEDは普通の白色LEDと違って紫外線多いですよ。だけど、この新人工皮膚”白雪姫”は宇宙焼け対策も良いから変色しませんね」

マオ:「極低温どころか中は熱帯の暑さですね。地盤の氷が溶けませんか?」

知子3世:「長い間に沈むのは避けられないわ。だから底板が大きめなのよ」

ミキ:「なるほど。ドームに比べて無駄に広いと思ったら入り口確保のためか」

マサ:「トロッコはどこだっけ?。早く人柱を置いてしまおうよ」

知子3世:「機器搬入の邪魔だから入り口と反対側に停まっています」

マオ:「あったわ。2柱のどっちをどっちに置いても構いませんか?」

知子3世:「トロッコの運転は無線LANじゃなく直結だから区別無いわ」

ミキ:「人柱の底面ソケットをトロッコのピンに合わせて挿せば良いんですね」

知子3世:「挿したら、動かせるか試させて。メニューは地球で使っていたでしょ」

マオ:「さあ、キャサリン、ベロマウスで”電車でGO”のメニュー出しなさい」

キャサリン:「ふん。無視無視」

マオ:「言うことを聞きません」

マサ:「しょうがないなあ。おい非人の人柱!。もう餌やりはしてやらないんだ。これから藻前等は自力でここの田んぼを管理して玄米取らないと飢え死にだよ。そのトロッコが不良品だったらたちまち飢え死にだぞ。それで良いなら勝手にしろ」

キャサリン:「ちっ。わかったよ。べろべろ、べろ、電車ね。前進、べー」

マオ:「ああ、動いた。でも、随分のろいですね。これで田んぼ一周は大変だわ」

知子3世:「コストダウンのために模型用のDCCをそのまま乗せているのよ」

マサ:「なるほど。パワーがいまいちなはずだわ。だけど信頼性大丈夫かな?」

知子3世:「何しろ北米連からの輸入品だから単体の信頼性はいまいちだわ。でもレールの給電ブースターは並列に余分を入れてるから一部壊れても平気ね」

マサ:「北米製品か。それが不良で氏ぬんならこいつらも諦めがつくかな。じゃあ、次、キャロルのトロッコ動かしてみな」

ミキ:「キャロル、前進しなさい」

キャロル:「ちぇっ。べろべろ、べろ、電車メニュー、前進、べー」

マサ:「動いたね。いいわね。これで藻前等は一生そのレールの上で暮らすんだ。単線のループでポイントもないから喧嘩しても助け合わないと氏ぬぞ」

キャサリン、キャロル:「ぷいっ、「ふん。こっちの勝手でしょ」」

マサ:「やれやれ。やっと厄介払いが出来たわ。マオ、ミキ、帰って休もうよ」

知子3世:「ついでに集めた水を艦に運ぶ電気魔法瓶のテストをして下さい。工事中の大エアロック内に満タンで置いてあるから、ただ乗せて行くだけです。着いたときに凍結などの問題がなければ、そのまま補給に使って構いません」

マサ:「了解。たぶん問題は起きないから雀奴に良いセクース土産が出来たわ」


(静止軌道工場衛星付近の金星プラットフォーム試作現場)

リエ:「殆どただの鉄板とはいえ、このまま惑星間を移動するのは大変ですね。どうやって動かしたら良いんですか?」

華子:「500d入りの水タンクを前後に連結して隕石移動装置で押すのよ。水ならメインベルト産隕石からもかなり取れるから最近は余っているでしょ。推進に半分強消費して残りを凍らせ大気圏突入シールドに使おうってわけ」

リエ:「なるほど。シールドの付け加減が難しそうですね」

華子:「その通り。溶け具合で空力特性が変わってしまうから操作も難しいわ」

リエ:「宙軍省からは、私の小隊にとりあえず2週間の護衛を命じてきたんです。だけど、金星までの移動時間って遙かに長いですよね?」

華子:「隕石と同じ事で基本的には無人航行なのよ。警備は地球付近だけで十分ね。プラットフォームを奪っても他国には使い道がないけど政治的な意味はあるから」

リエ:「確かに惑星間有人飛行は帝国以外殆どやってないから警備は無駄ですね。テロリストに原子炉を盗まれたらまずいから地球付近だけは付けるって事ですか」

華子:「そういうこと。これから2月ごとに1基出来ちゃうから宜しくね」

リエ:「警備自体はお安いご用だけど、大気圏投入の操作は請け負いたく無いなあ」

華子:「1基目が浮かぶまでには、20基くらい失敗が出るのは宙軍省も承知よ。誰に操作をさせるかまだ議論中で、惑星間の移動が終わる頃まで決まらないようね。とりあえず、条件出しの小型ゾンデ飛行船突入実験は空けられる要員でやるけどね。”こっそる”が出て工場の手が空いたら、すぐに”さいぱん”の準備をする予定よ。たぶん、リエの部下からも誰か借りるようになるわね」

リエ:「特殊な物のリモート操作にたけたサイボーグって少ないですからね。だいたい、優秀な娘は殆ど冥王星定期航路に取られちゃっているし。うちも大して筋が良いのは残っていないですよ。うーん、誰が良いかな」

華子:「みどりは軌道警備に残っていたわよね」

リエ:「うちに残っている娘の中ではトップですけど、この仕事にはどうかな。冬子やハルに比べると、リモート系の能力はいまいちなんですよ。できれば、マサやハルが帰ってきてから始めて欲しいですね」

華子:「そういえば、5基目が金星に着く頃には”なると”が帰って来てるわね」

リエ:「あの艦のメンバーなら巧い香具師が多いから動員しちゃいましょう」

華子:「それも気の毒だから、その前の6基からどれか1基は成功させたいけどね」


(経済特区公安省違法薬物取締本部)

弥生:「それで、その者はまだ泳がせているのですね。」

本部長:「はい。薬物の検出が出来ていないので今は密かに監視するしかないです。昨日、義足の訓練を終えて退院したので、間もなく出国すると思われます」

弥生:「それでは念のため、各大使館にトランスポンダ番号の手配をかけましょう。出国が確認できれば、行き先が友好国なら入管に要員を待機させて識別できます。入国を許可するかどうかはその国次第ですが、事情を教えればたいてい拒否します。追い返されるようではその時点で任務失敗でしょう。満漢なら処分されますね。非友好国に行って悪さをするぶんには、放置で構いませんね」

秘書:「ターゲット移動の報告が入りました」

本部長:「ふむ。空港でなく港に向かったか」

弥生:「港ねえ。今日の出航予定は...うん、アイランドループか」

本部長:「そこらの島国を巡る循環高速船ですから、どこへ行くか読み辛いですね。薬物も途中から乗り込んだ仲間から渡されるのなら我々は手出しできません」

弥生:「経路に友好国も3つあるわ。先日似た手口の工作員が摘発されたB王国もね。でも、一度捕まったところにまたしつこくは来ないかな?。捕まったの知らないのか。成果が上がらないのでテコ入れに行くつもりなのかも。ま、今度来ても門前払いね」


(”なると”からカロンに向かう降下艇)

マオ:「これで水の輸送も3便目か。どうやら人柱どもも真面目に働いているようね」

ミキ:「やらなきゃ飢え死にだからね。あいつら執念深いから復讐は諦めないわ」

マオ:「ところで、超音波ブレードは持ってきたわね?」

ミキ:「当然だがや。何のためにこんな衣装で輸送任務を引き受けたと思っとるがね。そもそも、今回の主役は私だよ。あんたは前回しくじったから引き立て役やるのよ」

マオ:「いつそんなことを決めたのよ!。勝手な」

ミキ:「これ見てみなよ。あんたは、前の転倒片腕脱落事故のイメージ引きずって技が小粒になっとるがね。あれじゃ、永久に私には勝てないわ。私は人気急上昇でストーカーまで憑く勢いだし」

マオ:「トップ絵ごときでいい気になりなさんな。あんた最近太めじゃん。それじゃあジャンプが鈍くなるわよ。かわいさとジャンプ力で私に敵うもんですか」

ミキ:「太めなのは耐寒性能上げるため人工皮膚を厚めに作らせたからよ。カロンの寒さではその方が関節の動きがよくなるから却ってジャンプもうまく行くのよ」

マオ:「もうじき着陸だね。おや?。1号艇がまだ停まっているわ。どうしたのかな。向こうは珍しく理美が担当していたわね。この機会にドーム見学でもしてるのかな」

ミキ:「いくら普段留守番が多いからって、あの娘は油売るような性格じゃないわ。何か問題があって、水の積み込みがうまく行っていないのよ」


(カロン基地内採水施設)

マオ:「遅れているようね?。なんか、トラブルでもあったの?」

理美:「井戸が深くなったので、凍結防止用に送る高圧蒸気の調整が必要だったんです。不慣れな人柱がしくじったみたいで、先端の方が凍結しちゃったみたいなんですよ。ハルさんが機関長と連絡とりながら修復したんだけど汲み上げ量の回復待ちが必要です」

ハル:「さっきまで出が悪かったから、電気魔法瓶が一杯になるまであと1時間かかるの。そっちの分は、それから入れ始めたら手動で無理矢理ペース上げてもさらに2時間かな」

ミキ:「そんなんでこの先人柱だけになったら大丈夫かな。すぐ水不足で氏んだりして」

ハル:「機関長の話だと、もっと時間がかかってよければ人柱だけで対処できたんだって。あいつらは原子炉の調整権限が狭いから、思い切った出力引き上げが出来ないそうなの」

マオ:「3時間待ちか。おかげでたっぷりスケートやる時間が出来たわね」

理美:「あ、アイスショウですか。見たいなあ。直接見るのは初めてだわ」

ミキ:「予備の超音波ブレード持ってるから貴女達も滑らない?」

ハル:「良いですね。だけど、足を改造しなくても付けられるんですか?」

マオ:「私らは技がやりやすいように改造してるけど、普通の足首関節軸でも付くわよ。関節の軸受け塞いでるネジ込み蓋開けて、代わりにブレードの固定ボルト差し込むの」

理美:「スケートって初めてなんです。いきなりカロンでなんて大丈夫かな」


(カロン基地前の氷原)

理美:「あら。全然難しくないわ。少しは転ぶかと思ったのにいきなり出来てる」

マオ:「そりゃそうよ。宇宙に出るときはジャイロスタビライザーが入ってるもん。地上生活用の機器構成ならいくらサイボーグでも油断したら転ぶけどね」

ハル:「昔、マサさんがやったみたいに他人の運動データをコピーすれば別ですね」

理美:「えーっ、それじゃあ苦労してものを憶える楽しみが無いじゃないですか。サイボーグだからって、そんな機械人間になりきるようなことしちゃいけないわ」

ハル:「あの人は隠れてズルするために徹夜でビデオからデータの変換をやったのよ。 方向が違うだけで、ちゃんと努力もしてるわ。それも人間性なのよ」

ミキ:「でもズル無しでいきなりそれだけ滑れるなら理美は筋が良いわね。貴女は本当に天才かも知れないわ。帰ったら私らのアイスショウ手伝わない?」

理美:「え、初心者がそんな...無理です。あ、そろそろ採水が終わりますね」

マオ:「そう言わずに考えておいてよ。さて、私らは販売用のビデオ撮りやろうか」

ミキ:「よーし。本気出すわよ」

マオ:「主役は譲らないわよ」

ミキ:「頑張るのは自由だけど、前みたいにこんなのは無しよ。」


(B王国 首都の港 岸壁の入国管理所)

帝国大使館・情報収集担当書記官:「あ、ヒットした。こいつ手配者ですよ」

入国管理官:「貴女は入国拒否です。船に戻りなさい」

孫:「そんな、何故ですか」

入国管理官:「不審者手配リストに載っている特徴に一致します。戻りなさい」

孫:「何もしていないのに。ひどいじゃないですか」

入国管理官:「これからやるつもりだという疑いがかかっています。退去しなさい」

孫:「(苦。我推定島嶼巡回高速船内人民党監視員潜伏。帰船即任務失敗確定発覚。一族処刑不可避。現状最善選択肢単身逃亡也。監視員始末必要。監視員誰? 判別方法不明...。)恨みますよぉ。こんな酷い国には二度と来ません。ぷいっ」


(アイランドループ船内)

パンク男:「へい、彼女!。イカス手足してるじゃん。やっぱ最近流行の帝国製?」

孫:「(疑念。此奴監視員?。一見外人風。西域満漢人外人判別困難。油断不可)まあね。あんた、何人?。北米?西欧?」

パンク男:「一応北米人さ。太平洋の離島育ちで本土に住んだことはないけどよ」

孫:「北米連かぁ。最近大変ね」

パンク男:「別にぃ。俺の島は関係なかったぜ。食い物も普通にあるし。ただよお、愛国主義者みたいのが道徳とか言って威張りだしてよお。うざいんだなあ。俺みたいなモヒカンとか入れ墨やピアスにまでがみがみ文句言うバカが増えてな。人体改造なんて別に自分の体なんだからぁ、みんな好きなようにしたって良いじゃん」

孫:「(単純軟派?。一応利用検討)ねえ、暇なら足に燃料入れるの手伝ってよ。一応自分でも出来るけどやるときの姿勢が苦しいんだ」

パンク男:「おう。ヒマヒマ。そういう足がどうなってるか見たかったんだ」

孫:「(興味津々也。一発姦淫意志剥奪可能。対監視員盾要員確保)そんじゃ、お願い。船室まで付き合ってね」


(船内食堂)

船内ラーメン店員拉麺男=人民党監視員:「孫依然在船。当然任務放棄。電話報告。イ尓好。当方監視員xxx号。孫工作員未上陸確認。任務放棄認定。処置伺」

監視員司令所:「当然殺処分。部外者不識希望。深夜船上抹殺海洋投棄最良」

拉麺男:「承知」


(孫の船室)

パンク男:「へええ、太股内側のねじ込み蓋を抜いてエタノール入れるんだ。ねえ、この足外せるの?。どうやって外すの?。外して見せてよ」

孫:「お願いを聞いてくれる?。そしたら、足外した状態で淫らせて上げるわよ」

パンク男:「何でも聞く!」

孫:「誰かに命を狙われている気がするの。助けてくれないかな」

パンク男:「なあんだ。そんなことか、オレ喧嘩強いからお安いご用だぜ」


(深夜の甲板)

パンク男:「ねえ、あんたの目的地ってどこなの?」

孫:「行くつもりだった島で上陸を拒否されて、あてが無くなっちゃった。おそらく、私を追っている悪者が手を回したのよ」

パンク男:「だったら、悪者をやっつけてからオレの島に行こうよ」

孫:「(薬物効果十分模様、此奴潜伏先利用)それもいいわね」

拉麺男:「孫也。襲撃機会。撲殺即海洋投棄。邪魔者一名。為時間節約、巻添殺必要。検討...。結論、風来坊一名行方不明無問題。処刑実行優先。唖猪ーーー!」

孫:「(殺気!。回避。)誰!」

パンク男:「ゴルァ!。お前か、この娘を狙う悪者ってのは。ボコにしてやる」

拉麺男:「唖猪唖猪唖猪。(苦、独活大木撲殺手数大也)」

パンク男:「いててて。やったな、このやろう、絞め殺してやる。うがー」

拉麺男:「唖猪唖猪唖猪。(苦、打撃効果小。絞技応酬応戦。)絞!」

パンク男:「ぐっ。先に絞め殺してやる。うううう苦し...」

孫:「(監視員抹殺専門家。北米男不利。衆目誘致有利)きゃー、誰かあ」

拉麺男:「(苦、至急決着必要。絞殺集中。)絞!」

孫:「(監視員絞殺夢中。背後蹴技機会!)ピンヒールキーック!」

船内警備員:「何ごとです?。喧嘩ですか?」

拉麺男:「絞!...苦!。(激痛。不覚。金属義足蹴技威力絶大。肋骨亀裂。
衆目不都合。一旦退散。後日再襲撃。海中飛込決意。)跳躍!...」

孫:「暴漢に襲われた私を助けようとしてこの人が首を絞められました」

船内警備員:「大丈夫ですか。うわ、白目剥いてる。おい、あんた...」

パンク男:「うーん、このやろう、じたばた」

船内警備員:「お、生きている。水音がしたね。犯人は海に飛び込んで逃げたか」

パンク男:「うう、ぷるぷる。あ、犯人は?」

孫:「海へ逃げたわ。ありがとう、あなたのお陰で助かった」

パンク男:「喧嘩は強いって言っただろう。どんなもんだ、撃退したぜ。悪者に追われて行くところがないならオレの島に行かないか?」

孫:「(此奴之島北米連領。基地存在期待。機密知識売込保護要求。)そうね」


(金星周回軌道 プラットフォーム設置実験任務中の”さいぱん”)

奈々:「今日のところはお試し用のゾンデだから、気楽にやって良いのよ」

みどり:「そりゃそうですが、全敗だったら後でお姉ちゃんに笑われますよ。そうかと言って、半分以上成功したら本番1号機もやるんですよね。あんな大きな施設ロスしたらやっぱり負い目になるから気が重いです」

奈々:「ま、良いじゃないの。失敗にペナルティ無しで成功ボーナスのみだし。さあ、液体窒素の吹き付けが済んだわ。始めて頂戴」

みどり:「ふう。じゃ、始めますよ。リモートリンクプロトコル起動。応答確認。仮設バーニア点火。ゾンデ減速率0.01`b/秒/秒。突入1時間前...」

奈々:「さて、船外作業班、失敗前提で2個目にアイスシールド被覆始めて」

みどり:「うう。期待が薄いのも良いような悔しいような」


(6時間後)

みどり:「...5号ゾンデ底面温度100度。氷消失、逆噴射点火。対気速度M4。M3、M2、予備パラシュート放出。速度M1.2、M0.8、メインパラシュート放出。底面温度600度。トップカバー投棄、気球ガス注入開始....速度300`、気球膨張完了、落下速度20`、落下停まりました。浮いてきます。計測器動いています」

奈々:「何とか3勝2敗になったわね。手ぶらで帰らずに済むわ」

みどり:「えーっ、本番やるんですか?。1号ゾンデは浮いたけど計測器が壊れましたよ」

奈々:「あれは氷が薄すぎたせいでしょ。貴女の操作に問題はなかったわ。どうせダメもとの計画なんだから、本番だってやってみることに意義があるのよ。じゃ、みどりは明日の突入操作に備えて重力ブロックでしっかり寝ておきなさい。船外作業班は1号プラットフォームにに氷付けて。10時間後に突入実験よ。氷の厚みは一番良かった3号ゾンデの条件を拡張して先端部2bで行きましょう」


(10時間後)

みどり:「前部外付け固体推進器点火。プラットフォーム減速率0.008`b/秒/秒。大気圏突入まで80分。固体推進器燃焼終わり。投棄...」

奈々:「減速のGによる歪みは予想より小さいわね」

みどり:「予想値は氷で包まれたことによる補強効果を除いてますからこんなものです。問題は氷が無くなった後の高温で落下傘や気球に引っ張られたときの変形でしょう」

奈々:「結構癖が読めてるじゃないの。案外、1基目で成功しちゃうかも」

みどり:「もうヤケです。結果がどうなろうと知りませんよ。さて、大気抵抗来たな。底面中央部温度まだマイナス170度です。氷が保ちすぎて低くならないと良いけど。だいぶ溶けてきたかな。先端底面0度超えました。急速上昇中。逆噴射始め...。対気速度は順調に落ちてますが、落下速度が大きいです。中央部の氷が余分なんだわ。速度M3、落下大きいので予備パラシュート無理矢理出しますよ。よし効いたわ。続けてメインパラシュート放出。何とか持ちこたえています。速度300`。気球ガス注入...大きいから遅いな...早く膨らめよぉ...停まったわ。プラットフォーム上の監視カメラ出します。映像来ました。あ、こりゃダメだわ」

奈々:「うーん。超音速でパラシュート出すしかなかったから無理な力が掛かったわ。だけど、よくパラシュートが保ったわね。高温になっていると鉄の方が弱いとはねえ。浮くには浮いたけど補強の梁が曲がっちゃって鉄板の着陸床がよれよれかあ」

みどり:「これじゃあカプセルで降りたら転げ落ちて氏んじゃいます。失敗でした」

奈々:「まあ、でも浮いたんだから引き分けね。設備はどれくらい生きてるかしら?」

みどり:「あちこち壊れています。太陽電池は1/4しか機能しません。推進プロペラ動かしてみますね。あーあ、1基しか動かないわ。気流に流されますね。水耕水槽は割れていないわ。一応炭酸同化は出来ますね。水を補給にいけないけど」

奈々:「今回は地上に落ちて溶けないだけで上出来よ。成功成功、さあ帰ろうか」

みどり:「あとちょっとで大成功だったのに、悔しいわ」


(冥王星ーカロン重力均衡点の”なると”船外)

知子3世:「オーライ、オーライ。はいそこで停止。理美、ヴァギナルハッチ空けて」

理美:「おっぴろげ。オープン」

知子3世:「ハル。2号降下艇2b上昇、正確にね。理美、魔法瓶のノズル入るわよ」

ハル:「ぴったり填りました。圧送かけます」

理美:「あひ。あうあう...キター...はあはあ」

ハル:「これで2700d満タンですね」

知子3世:「人柱がしっかり働くようになって助かったわね」

ハル:「あいつらも、まだ飢え氏にしたくはないらしいですね」

真理亜:「さて、本国の指示通り降下艇と重機2機をカロンに置いて来ないとね。置いてくるのは、整備状態からすると1号艇と3,4号機が良いかしらね。マサ、ハル、マオ、ミキの4人でやって来なさい」

マサ:「置き場所は、カロン基地ドームのエアロック前で良いですね?あ、ところで魔法瓶はどうしますか?」

知子3世:「エアロック内ならドームの熱が伝わるから絶対氷に埋もれません。それに戸締まりが出来るから、中の方が核物質の管理上も好ましいでしょう。魔法瓶は空なら軽いから重機と一緒に乗せていっても積載超過にはなりません。置き場所はやはりエアロック内が良いでしょう。念のため2号艇は補給して下さい。満載で降りて帰ってくるとなると推進剤がぎりぎりになります」

真理亜:「こんな遠いところに部外者が来るとは考えられないけど一応そうしようか。うん、エアロックに入れておいて。あとは、4人が帰ったらすぐ帰還するからね。他の者は全員で発進に備えて艦内の高加速対応状況を点検しなさい」

マサ:「それじゃあ重機を降下艇の荷台に置くから4号機はハルがやって。行くよ」


(”なると”艦橋)

真理亜:「さて、4人の帰還待ちの間に本国に報告送るか。あら、向こうから来てる。なになに、金星プラットフォームの設置が難航しているからなるべく早く帰れとね。手伝いに動員されたら帰ってすぐ地上には降りられないか。誰にやらせるかな。マサは思いっきり文句出そうだな。まあ仕方ないか」

マサ:「ただいま戻りました。さあ早く帰って遊びましょう」

真理亜:「早く帰るのは大いに結構なんだけどね。休養入りはちょっと遅れそうよ」

マサ:「えーっ、どういうことです?」

真理亜:「金星のプラットフォーム設置作業がね、余りうまく行ってないのよ。リモートで大気圏突入させて浮かべるのが難航していて、早く帰って手伝えだって」

ハル:「誰か軌道警備に残っている娘で巧いの居ませんでしたっけ?」

真理亜:「みどりが1基浮揚に成功したけど、熱と急減速のGでよれよれになったわ。プラットフォームが酷く変形して降下カプセルが降りられそうにないくらいにね。その後条件を変えてやった2基は突入時の熱や高度下げすぎで燃えて落ちたわ」

ハル:「みどりはリモートの腕前がいまいちなのよね。あいつじゃしょうがないか」

マサ:「そりゃ、腕前の問題かな?。氷が薄けりゃ突入の摩擦熱で保たないでしょ。逆に厚すぎたら溶けるのが遅れて気球の展開高度が低くなって気温でやられますよね。厚みをいくら加減したって、あの巨体じゃそもそも両立する条件が無いのかもね。別の方法が要りますよ」

真理亜:「別の方法?」

マサ:「ええ。例えば、別の氷塊でも突入させてスリップストリームに入れるんです。そうすれば、プラットフォームのアイスシールドを薄くして逆噴射を早くできます」

真理亜:「なるほど。マサとハルでやれるかな?」

ハル:「みどりのしくじった尻拭いだし、私は当然手伝いますよ」

マサ:「工場衛星に寄ってると余計時間かかるから、”なると”で直行しませんか」

真理亜:「金星までは減速の軌道をずらせば行けるけど帰りの推進剤はどうする?」

マサ:「別の艦で運んできて貰えないかな。どうせ、資材を運ぶ艦を出すんでしょ」

真理亜:「それもそおねえ。こっちは遠いんだから、2ヶ月は節約できるわね。その通り要求してみましょう。先に行って余分の氷塊も作っておくようにってね」

マサ:「スリップストリームで摩擦が減った分、逆噴射エンジンの増設も要ります」

真理亜:「その工事もやっておくように伝えるわ。さて、さっさと発進しようか。理美、加速始めて頂戴」

理美:「原子炉出力上げます。推進剤電離開始、グリッド通電」

知子3世:「メインエンジン応力計測値OKよ。補助蒸気推進器いつでもどうぞ」

理美:「原子炉出力110%、推進剤補充注入開始、過熱水通路開放」

真理亜:「加速来たわね。予定通り、1時間の高加速警戒体制維持」


(半年後)

マサ:「そろそろ、2番艦”こっそる”とすれ違う頃ですね。挨拶ぐらい出来るかな」

真理亜:「最接近時の距離は近いけど速度差が大きいから、音声通話は無理かもね」

マサ:「パケット通信は送ってみましたが、...あ、これって、返信の電波か。さすがにドップラーシフトが目立ちますね。やっぱり、蓄積再生しか無理かな。内容は、...結局簡単な挨拶だけか」

真理亜:「金星の工事準備状況について本国からの伝言入ってないかな?」

マサ:「いいえ。寄り道ご苦労様、大変ですね、とだけです」

真理亜:「ま、何も言ってこないならちゃんと進んでるんでしょ」


(金星周回軌道 先行した”さいぱん”)

奈々:「よし、この軌道でプラットフォームとの位置関係を固定よ。工事始めて頂戴」

みどり:「プラットフォーム先端に逆噴射用の固体ロケットを増設するんですよね。高度が下がりすぎる前に減速して気球を開く意図は分かるけど氷はどうするんでしょう」

奈々:「氷だけの塊を先に落としてそのスリップストリームに入れる気らしいわ。その代わりプラットフォームのアイスシールドを薄くして破りやすくするのね。直径40bの氷塊を別に送ってきているでしょ。あれを使うのよ」

みどり:「そんな、編隊飛行みたいな状態で大気圏突入なんか出来ますか?」

奈々:「難しそうだけど、”なると”の面々の腕前ならあるいは成功するかもね。先端の大型ロケット以外にも姿勢制御エンジンを増強しておけっていうからね。そんなに一人で制御できないから、何人かで分担して操作するつもりかしら」

みどり:「お姉ちゃんもやるのかな。悔しいけどこういうことは敵わないわ」


(数週間後)

理美:「対金星速度秒速11`。補助蒸気推進器使用終了します」

真理亜:「針路、推進剤残量は?」

マサ:「針路このままで衛星軌道に乗れます。推進剤残り250d」

真理亜:「メインエンジンは引き続き最大出力を保て。姿勢0.3度東に」

マサ:「金星の第2宇宙速度ちょうどです」

理美:「前進バーニア噴射。100%、12秒」

マサ:「金星の重力に捕らえられました」

真理亜:「メイン止めて。あとはバーニアでちびちび合わせましょう」

理美:「メインエンジン停止。回頭始めます。ジャイロ旋回中。止めます。船体軸線軌道接線に合いました。後進バーニア20%、28秒」

みどり:「”なると”金星の衛星軌道に乗りました。会合まで60分です」

奈々:「さすがに空っぽだと減速早いわね。真理亜、遠いところご苦労様」

真理亜:「奈々侯、お久しぶりです。そちらこそ準備工事ご苦労様です」

奈々:「ちゃんと注文通り仕込んで置いたわよ。ところで補給はすぐやる?こっちは満載で来たから、ヴァギナルハッチ直結で500d出せるわよ」

真理亜:「会合し次第お願いします」

奈々:「オッケー。船外作業班、ヴァギナルハッチにジョイントホース挿して。操舵員、ヴァギナルハッチ空けて待機」

”さいぱん”操舵員:「はい、ぱくりんこ。早く入れて!。うっ、入った」

真理亜:「理美、落ち着いて合わせるのよ」

理美:「船体背面姿勢にします。”さいぱん”まで100`、速度差0.6`。後進10%15秒、...残り40`...残り5`、速度差秒速0.07`。後進5%2秒...微調整...速度差無し、直下で対向しました」

真理亜:「ヴァギナルハッチ空けて、そろり下降よ」

理美:「開けました。上部バーニア5%0.5秒。距離10b...あっうう。ジョイントホース填りました」

奈々:「良いようね。操舵員、潮吹き始め!」

”さいぱん”操舵員:「自慰体感イメージ再生...潮吹き出ました」

理美:「あっ、来ました。はあはあ。液が入ってきます。ううううう...」

みどり:「推進剤移動量、現在300d、...450d」

”さいぱん”操舵員:「自慰打ち切りイメージ再生...潮吹き停まりました」

理美:「補給バルブ閉鎖。船体離します。下部バーニア5%、0.5秒。うっ、抜けた。上部バーニア5%0.5秒噴射。ランデブー維持します」

真理亜:「ご苦労さん。準備状況の確認打ち合わせは私と奈々侯でやっておくわ。マサ、ハル、理美は、明日の操作に備えて重力ブロックで完全休養のこと」


(翌日)

真理亜:「手順の確認は良いわね。それで遠隔操作の分担なんだけど考えてある?」

マサ:「ええ、先行する氷の操作はハルに任せるのが良いでしょう。プラットフォームの方は、第二列と第三列のバーニアを理美、残りを私がやります。そして前部大型固体ブースターの点火は理美にやって貰いたいと思います。やり直しや中止が効かないので、最初の冥王星探検の経験分いくらか有利ですからね」

理美:「でも、あの時はあらかじめ十分計算された軌道計画に合わせるだけでしたよ。状況を見て臨機応変に対処したわけではありません」

マサ:「今度も固体ブースターの点火タイミングは事前計算で行くから同じ事よ。先行する氷が作る空気の渦なんかによる乱れは、バーニアで補うしかないからね。第2,3列は主に姿勢と横ズレの修正だから操舵員の方が得意だしね。前後のバーニアは大気抵抗差に応じて氷塊につかず離れずを保つから誰でも難しいわ。しょうがないから、案を考えた私がやります。どうせしくじっても罰はないしね。あとの、パラシュートや気球の展開は高高度で減速し切っちゃえれば楽勝よ」

真理亜:「なるほど。それでいいわ。じゃあ、始めて頂戴」

マサ:「よし全員リモートプロトコル機動。相互モニタリンクも張るのよ。いいかな?。じゃ、減速開始。シールド外仮設バーニア点火!。出力65%」

ハル、理美:「シンクロよし。バーニア点火」

マサ:「うん、揃ってるな。いけそうだぞ」

ハル:「氷塊、上層大気抵抗受け始めました」

マサ:「うん、距離詰まりだしたな。仮設バーニア全開、離れるな。ダウン5%。振動起きてるね。理美、横揺れ押さえ込んでね」

理美:「はい、まず前右上8%、次、後ろ左5%...戻りました」

マサ:「渦でいくらでも揺れるから独断でがっちり抑え続けるのよ」

理美:「やってます。うう、忙しい。保って頂戴...」

ハル:「氷塊のバーニア焼失。自由落下に移りました。あとは合わせて下さい。直径20bに縮小。5分ほどで溶けきりますね」

マサ:「大型固体ブースター点火タイミング同期始めて」

理美:「10秒前、9,8,..点火」

マサ:「少し前を下げて」

理美:「8度で良いですか」

マサ:「うん、そんなもんでいいよ。プラットフォーム前縁温度120度。速度マッハ5か。落下角度減ってきたな。いいぞ。もうちょいだ。マッハ3.5。あと少し保ってくれ」

理美:「固体ブースター燃え切ります」

マサ:「よし、前部バーニア全開。理美は姿勢維持頼むよ」

理美:「何とか持ちこたえてますが、緩くピッチングが生じてます」

マサ:「マッハ1.5。もうチョイで予備パラシュート出せるから頑張って」

理美:「ヨーイングも出てきました。もう限界です」

マサ:「わかった。もう大丈夫だろ。予備パラシュート展開。よし、衝撃軽いぞ。やった。音速を切った。前縁温度300度なら変形はないな」

理美:「速度マッハ0.3。もう、メイン良いんじゃ?」

マサ:「高度は十分だ。よし、メインパラシュート展開」

ハル:「外気温−10度超えました。そろそろ止めましょう」

マサ:「よし、気球ガス注入。...落下速度80`切ったな。保ったよ」

真理亜:「とりあえず浮いたわね。各部点検やって」

理美:「監視カメラ一巡させます。目立つ変形はないですね。温度も下がってます」

ハル:「太陽電池各系統機能しています。推進プロペラ展開します。動きました」

マサ:「水耕施設破損無し。付属実験室、気密良好。どうやら使えそうですね」

真理亜:「よくやったわ。ご苦労さん」

マサ:「でも、あそこに誰かが降りて作業するんでしょ。降りるの怖いなあ」

真理亜:「プラットフォームの広さは十分だからよほどへましなければ外れないわ。それに、ここで使うカプセルには非常用の浮揚気球展開装置だって付くのよ」

マサ:「でも、高度が下がりすぎてからじゃ手遅れになりますよ」

真理亜:「そおねえ、初めは無人カプセルのリモートで練習が要るかな」

マサ:「地上に降りたら絶対に脱出は無理ですよね」

真理亜:「気球やロケットが耐えられる温度じゃないから上がる手段がないわ。液体窒素で思い切り冷やして悪あがきしても2時間ほどでカプセル内は生存不能ね。まあ今回は藻前が降りなくても良いから安心しなさい。さ、帰ろうか」

奈々:「ご苦労様。早速無人カプセルの降下テストを始めるわ」

みどり:「カプセルぐらいなら私だって。お姉ちゃんに負けっ放しはなしよ」

真理亜:「我々はすぐに地球へ帰還します。それでは、お先に。理美、出して」

理美:「原子炉出力上昇。40%。メインエンジン始動します」

マサ:「今度こそ休養入りできますね」

真理亜:「まあね。でもその次はまた冥王星方面で氷集めかな」

マサ:「金星可住化って1000年かかるんでしょ。この生活が一生続くんですね」

真理亜:「どうかな。もっと難問が持ち上がって大変になったりして」


(極低温世界から灼熱の金星へと今回は過酷な旅でした。孫工作員にはもう1発大きな悪行をさせたかったのですが、手術に手間取りすぎました。観測拠点が出来て、いよいよ金星への氷投下作戦が始まります。それとは別に、マサ達には難問?が持ち上がる予定です。次回予告(33)金星冷却作戦)


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